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2章
22.甘く意識は飲み込まれ……そして
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本庄エリィは雫の背中を指の腹で強く抉るように触れ、その感触に大きく息を吸い込んだ。 うねるような模様を描いた痣は、確かに肌を染め上げられているだけ、なのに……その触り心地は羽毛のような柔らかで心地の良い滑らかさを持っていた。
「はぁ……」
なんて素敵……。
渦巻いていた怒りや、悲しみが、霧散しそうになり、恨みをかき集めるように組み敷いた雫を見下ろした。
押さえつけた事で、顔を横に向けている雫の瞳は潤み、呼吸は乱れている。 苦しそうに繰り返される呼吸が嗜虐心を煽ってくる。
彼等は……誘われた?
ソレは謎を解明しようなどと言う思いではなく、もう自分の衝動に対する言い訳でしかない。
耐えなければ……。 普通であれば、汚い灰色の斑の痣等触れる事も不気味だと思うだろう。 なのに、なぜ、こうも心地良いのか……。 ソレがとても恐ろしい……。
なのに次の瞬間には、こう考えているのだ。
何処までなら、許される?
「くっ……」
雫の飲み込むような声。
赤い爪先が、柔らかな肌に食い込み赤い液体が流れだしていた。 血を見れば、手が飲み込まれていくかのような温かな感触は、雫の肌なのだと実感できた。
雫が化け物ではなく、人なのだと言う証のように感じた。
流れる血に、唇を寄せ舐める。 ぴちゃぴちゃと音を立て夢中に舌を這わせれば、狂わされているのだと言う気がして……そして酔い溺れそうになる。
彼等もきっと……私と同じ……。
それは、繰り返される言い訳。
本庄は、手放す事もできず、正気を手繰り寄せるように肌を撫で、舌を這わせた。
「雫が殺した、殺したのよ……えぇ……そうに決まっている。 こうやって誘い、殺したのね」
そんな言葉を幾度も繰り返した。
扉を叩く音に苛立ちながら。
「違う!!」
雫の否定は噛みつき止め、夢中に肌を舐め、血をすする音を響かせ、呻く雫の甘い声に耳を傾けた。
「はぁ……」
雫の背に触れたまま、重ねるように、覆いかぶさるように本庄は身体を寄せ、耳元に囁いた。
「どんな傷も癒し、欠損すらも再生させる奇跡の存在と言われたアナタが……こんなにも醜い印を刻んでいるなんて……ねぇ、教えて頂戴。 これは、何時からなの?」
どれほどの傷を与えれば、苦しみを与えれば、報いを受けるのか……そんな恐怖に鼓動が早くなる。
「知らないわ……。 背中は見えないもの……」
「とても不思議な触り心地、これを知れば研究者の爺様達はさぞかし喜び、この肌に触れて、裂いて、腹の中まで、念入りにその力を確認したがるでしょうね」
「やっ……お願い、止めて……」
雫の瞳から溢れ出る涙を舌先で本庄は受け止める。
頭の奥が痺れるような感覚を本庄は覚えた。
「はぁ……」
身体が熱くて熱くて……身体を起こし、大きく息を吸った。 ユックリと妖艶に指先が背を撫でる。
「ぁ、いやっ……」
「嫌って感じには思えないけど?」
背を撫でる指はユックリと面積を増し、手の平をピトリと肌に触れさせた。 吸い込まれるような奇妙な感覚に眩暈がする。 触れるだけでそうなら……彼女の身の内はどれほどの快楽を得られるのだろうか?
着物の裾をわけ、滑らかな足を撫で、背後から首筋に口づけた。 舌先で抉るように舐め、ネットリとなぶるように舐めれば、甘い果実の香りがしたような気がした。
「いたっ!!」
興奮に耐えられなくなった本庄に雫の首筋に噛みついた。 雫の首筋から血が流れ落ちる。
もう、本庄の脳裏からはカラスと言う恐怖が失われていた。
「はぁ……」
なんて素敵……。
渦巻いていた怒りや、悲しみが、霧散しそうになり、恨みをかき集めるように組み敷いた雫を見下ろした。
押さえつけた事で、顔を横に向けている雫の瞳は潤み、呼吸は乱れている。 苦しそうに繰り返される呼吸が嗜虐心を煽ってくる。
彼等は……誘われた?
ソレは謎を解明しようなどと言う思いではなく、もう自分の衝動に対する言い訳でしかない。
耐えなければ……。 普通であれば、汚い灰色の斑の痣等触れる事も不気味だと思うだろう。 なのに、なぜ、こうも心地良いのか……。 ソレがとても恐ろしい……。
なのに次の瞬間には、こう考えているのだ。
何処までなら、許される?
「くっ……」
雫の飲み込むような声。
赤い爪先が、柔らかな肌に食い込み赤い液体が流れだしていた。 血を見れば、手が飲み込まれていくかのような温かな感触は、雫の肌なのだと実感できた。
雫が化け物ではなく、人なのだと言う証のように感じた。
流れる血に、唇を寄せ舐める。 ぴちゃぴちゃと音を立て夢中に舌を這わせれば、狂わされているのだと言う気がして……そして酔い溺れそうになる。
彼等もきっと……私と同じ……。
それは、繰り返される言い訳。
本庄は、手放す事もできず、正気を手繰り寄せるように肌を撫で、舌を這わせた。
「雫が殺した、殺したのよ……えぇ……そうに決まっている。 こうやって誘い、殺したのね」
そんな言葉を幾度も繰り返した。
扉を叩く音に苛立ちながら。
「違う!!」
雫の否定は噛みつき止め、夢中に肌を舐め、血をすする音を響かせ、呻く雫の甘い声に耳を傾けた。
「はぁ……」
雫の背に触れたまま、重ねるように、覆いかぶさるように本庄は身体を寄せ、耳元に囁いた。
「どんな傷も癒し、欠損すらも再生させる奇跡の存在と言われたアナタが……こんなにも醜い印を刻んでいるなんて……ねぇ、教えて頂戴。 これは、何時からなの?」
どれほどの傷を与えれば、苦しみを与えれば、報いを受けるのか……そんな恐怖に鼓動が早くなる。
「知らないわ……。 背中は見えないもの……」
「とても不思議な触り心地、これを知れば研究者の爺様達はさぞかし喜び、この肌に触れて、裂いて、腹の中まで、念入りにその力を確認したがるでしょうね」
「やっ……お願い、止めて……」
雫の瞳から溢れ出る涙を舌先で本庄は受け止める。
頭の奥が痺れるような感覚を本庄は覚えた。
「はぁ……」
身体が熱くて熱くて……身体を起こし、大きく息を吸った。 ユックリと妖艶に指先が背を撫でる。
「ぁ、いやっ……」
「嫌って感じには思えないけど?」
背を撫でる指はユックリと面積を増し、手の平をピトリと肌に触れさせた。 吸い込まれるような奇妙な感覚に眩暈がする。 触れるだけでそうなら……彼女の身の内はどれほどの快楽を得られるのだろうか?
着物の裾をわけ、滑らかな足を撫で、背後から首筋に口づけた。 舌先で抉るように舐め、ネットリとなぶるように舐めれば、甘い果実の香りがしたような気がした。
「いたっ!!」
興奮に耐えられなくなった本庄に雫の首筋に噛みついた。 雫の首筋から血が流れ落ちる。
もう、本庄の脳裏からはカラスと言う恐怖が失われていた。
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