幻想冒険譚:科学世界の魔法使い

猫フクロウ

文字の大きさ
42 / 88
局と魔法と原石たち

限界突破

しおりを挟む
壁に大きな亀裂が入ったと思ったら、すぐに割れてしまった。

そして割れると同時に白い光に包まれる。

(まずい!死・・・・)

動けずにいたが魔法の壁に守られた。

「こっちよ!」

身体を引かれながら状況を理解した。

ティーナの魔法の壁で光線を防ぎ、ソニアが地面に穴を空けそこに全員を避難して光線を避けようとしたのだ。

ティーナも逃げるが、壁が壊れ光線が襲う。

が間一髪ティーナはソニアに引かれ穴に逃げ込むことに成功した。

「あらあら~、ギリギリだったわね~」

真の抜けたような話し方に危機感が感じられないが、バリアジャケットの一部は燃えたように消えていた。

「アグリッター、構えるのよ」

光線の発生元を確認したソニアはミナに伝えた。

それはポーラが失敗したことを示す。

そして視界を奪われた。

「さっきの砲撃が局のシステムを壊したみたいね」

局の会場に施されていた拡大の魔法が解かれたと同時に照明の魔法も消えた。

だが真っ暗な視界の中、彼の放つ白い光は大いに役立った。

「いくわよ、アグリッター!」

「はい!」

ポーラ達が倒れたからには、ソニアとミナでやるしかない。

あわよくば後衛のアルフォートとティアと協力して止める。

「純粋な涙は穢れを嫌う。純白のその身は全てを阻む。“デウス・プロテア”!」

ティーナによる防御強化魔法がソニアとミナの全身を包む。

これで高い防御性能を手に入れたので多少の攻撃には耐えられるだろう。

幸いポーラ達のおかげでトウヤの息はかなり上がっている。

これなら封印することは出来るかもしれない。

ソニアとミナは勝利を確信していた。



「ティーナさん・・・回復を・・・リンシェンに回復を・・・」

ポーラのものと思われる通信が届いた。

「ポーラさん?何処?見えないと回復出来ないわ」

ふと足元の土が盛り上がるのが見えた。それは何かを伝えるように奥へ進んで行く。

その盛り上がりに従い、ついて行った先にポーラ、ファイゼン、リーシャがいた。

ポーラは魔法での防御が間に合い比較的怪我が軽いが、衝撃から身を守れなかったのか苦しそうである。

隣のファイゼンは頭から血が流れていただけでこちらも目立った外傷はない。

おそらく一番問題なのがリーシャ。彼女はぐったりとうつ伏せに倒れていて反応が無い。

「あっち側に・・・リンシェンが・・・」

「わかったわ。でも見えないからあなたたちが先よ」

ティーナは簡単な回復魔法をポーラとファイゼンにかけた。

比較的軽症の二人はすぐに体を動かせるようになった。

「ファイゼンはティーナさんと一緒にリンシェンの元へ、私はトウヤの方に行くわ」

そう言い残すとポーラは即座に駆け出した。

「あらあら~、痛み止めをしたら死ぬまで戦いそうね~」

「あいつはあいつで責任を感じてるんですよ」

ファイゼンはそう言うとリーシャを担ぎ上げる。

「あなたが守ってあげないといけないわね~」

「は、はい。そのつもりです」

そう言うと二人はリンシェンの元へ急いだ。



「く、息が上がってるのに何てスピードで動くのよ」

息も上がり魔力も残り少ないと思われる状況。

それでも機敏に動き攻撃してくる様子は、自分の身体の限界を無視しているようでしかなかった。

ソニアもミナも好条件下で戦闘を始めたのに一向に好転しない。

これがトウヤの潜在能力だとすると、推定S+オーバーエスランクなんて結果は納得せざるえない。

「プラズマ・フィスト!」「火纏かてん剛槌ごうつち!」

そこへ援軍が駆けつけ、重い一撃をお見舞いし吹っ飛ばす。

「セレス!?大丈夫なの?」

応援に駆け付けた友人をポーラは心配した。

「大丈夫・・・と言い切りたいが自信は無い。でも出来る限りのことは精一杯やるわ」

吹っ飛ばされたトウヤがセレスに飛びかかるがパンと数発音が鳴ると、トウヤはまた吹っ飛んだ。

「狙撃、ってことはティアも行けるのね」

「ええ。相棒の援護は任せて」

戦力が再度揃いつつある。

「待たせたな。俺も参加できるぜ」

アルフォートも狙撃できる体制になったようだ。

「力の出し惜しみは無し!全員で全力で止めましょ!」

ポーラの掛け声に合わせて全員が「オー!」と返事する。

そして前線の四人は同時に呪文を唱える。

限界突破オーバードライブ!」



限界突破オーバードライブは一時的な強化である為、この数分が物を言う。

火纏かてん刺蜂しほうまい!」

セレスは炎を纏ったデバイスで突き刺す。その突きは威力こそ軽いが凄まじい手数で相手を襲う。

そして舞が終わると同時にポーラと交代し、攻撃の手を緩めない。

「トライデント・スマッシャー!!」

強力な砲撃が零距離で放たれる。

ポーラとセレス、好敵手ライバル同士のコンビネーションは素晴らしく息の合ったやり取りだった。

吹っ飛んだトウヤは宙で止まり反撃に出る。

身体はボロボロ、かなり疲弊した様子が出ているのに動きを止めないのは暴走の影響だろう。

反撃に出たトウヤの位置で大きな爆発が起こる。ミナの魔法“爆滅浄化エクスパージ”だ。

トウヤに直接ダメージを与える爆発と、力を逸らす爆発を巧みに使いわけ、トウヤを誘導する。

そして誘導された先ではソニアが用意した魔法に襲われる。巨大且つ無数の槍状の氷が地面から突き上げトウヤを宙に舞わせる。

舞った体勢を整え直おそうとするトウヤだが、アルフォートとティアの狙撃がそれを許さない。

銃のデバイスで乱射され、トウヤは地面に倒れて動かなくなった。



風打ちのしずめ、ソニアの檻を破壊した砲撃、そして長時間の暴走。

魔力を大量に消費する魔法をこれだけ使わせても暴走が収まらないのは予定外だったが終わりが見えてきた。

獣のようだった黒い魔力も消えそうになっている。

セレスとポーラが確認し今が封印のチャンスだと確信した時、トウヤはセレスに飛びかかった。



ドクン



一瞬恐怖心に襲われ身動きがとれなくなってしまった。

「しま・・・!」

その瞬間、トウヤとセレスの間に誰かが立ちはだかった。



ポタッ



ポタッ



トウヤの腕から鮮血が落ちる。

腕は立ちはだかった少女のお腹を突きぬけていた。

「っ・・・はっ・・」

口からも血を吐いてしまう。

「ルー!!」

少女の行動に誰もが身動き出来ずに驚き、言葉を失う中、ミナだけは少女の名を叫び駆け出した。

ルーはトウヤを抱くように倒れる。

「・・あんた・・・まだ暴れるなんて・・・・バカ・・じゃないの・・・?」

ルーは力尽き、そのまま地面に倒れた。

「あ・・・ああ・・・ああああああ!」

突如トウヤは叫びだし頭を抱える。

その叫び声で我に返ったポーラは即座に封印魔法を展開し、トウヤの力を封印した。



「ルー!ルー!!」

ミナの呼び声に反応は無い。

「ティーナ!急いで回復を!」

ソニアが回復魔法が得意なティーナを呼ぶ。

後方にいたティーナは急いで駆け付け、ルーの傷口を確認する。

「か・・・貫通したように見えたけど掠めただけのようね」

全員腕がお腹を貫通したと思っていたが、実際は脇腹を切っただけのようだ。

しかしその傷は内臓のいくつかを損傷。出血も多かった。

「ここでは止血して汚染させない事しか出来ないわ。あとは局内の病院で手術しないと」

回復魔法は表面的な傷を治すことは出来るが、切れた血管を繋ぐなどの行為は手術でなくてはならない。

あくまでも自然の回復力を活性化させることが基本である。

魔法と言っても自然のことわりを壊すような真似は出来ないということだ。

ティーナの応急処置が終わるとミナはルーを病院へ運んだ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?

Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。 簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。 一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。 ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。 そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。 オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。 オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。 「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」 「はい?」 ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。 *--*--* 覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾ ★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。 ★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓ このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。 第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」 第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」 第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」 どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ もしよかったら宜しくお願いしますね!

大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。 それが約50年前。 聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。 英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。 俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。 でも…英雄は5人もいらないな。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

処理中です...