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第24話
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「っ!・・・なんだ・・・」
あっ、呆けてたみたい・・・これが正常な反応よねぇ。
外面にそれを悟られまいとしていたみたいだが、かえってわかってしまう。
「こいつの話を聞くかぎり、お前も世界大会に出場するみたいだな?」
ダラスの言葉にシークスはただ黙って頷く。
「今日の借りは大会ではらす!だから俺に当たるまで負けんじゃねぇぞ!」
ダラスはシークスの返事も聞かずにさっさと立ち去っていった。
ひょっとしたら、ただ単に一刻も早くここから立ち去りたかっただけかもしれない・・・。
「ふぅ、これでここの事態は収集できた。次に行くか・・・と、わすれるところだった・・・シークス・ブライト!」
「なっ、なんでしょうか」
男の言葉にシークスはまるで悪戯を注意されている子供のように緊張と不安の入り交じった声で返事をする。
当然姿勢も伸ばしている。
「どんな経緯があったのかは私の知るところではないが、間違いなくダラスとは試合で当たるだろう。世界大会とはそういうところだ。本当にやりたいやつと当たる。生半可な覚悟で出るというなら、私はいまここで君をはいつくばせてでも止めなければならない。一生悔いが残るからな」
シークスは憑き物が落ちたかのような晴れ晴れとした顔で、
「大丈夫です。生半可な気持ちで来たわけじゃあありませんから!」
男はシークスを眩しそうに見てから、
「どうやら、言うまでもなかったみたいだな」
男はそういってその場を立ち去ろうとシークスのいる場所を後にする。
シークスは男の背にむかって深々と頭を下げた。
どうしよう、こっちに来るわ!偶々なのだろう、なぜか男はこちら側に向かって歩いてきていた。
もう、断言しても問題ないと思うけど、この男はおそらく世界で一番強い男・・・バガルト・スターリンだろう。
話には聞いていた、彼がいかに常人場慣れしているか、だがあたしは内心、人間であるかぎり、何とかなるだろうと思っていた。
しかしどうだろう、彼がこちら側に近寄るにつれてあたしの心音が段々と上がってくる。これは、あたしが臆しているからなのか、それとも世界で一番強い男を間近で見られることへの興奮なのか。
あたしは内心の葛藤を得意の精神制御で何とか表に出さないことに成功した。
スターリンはまさに目と鼻の先の位置まで来ている。
彼の足があたしの目の前に踏み出される。ちょうどその時であった。
「マーヘン様っ!お待たせいたしました!」
ギルバートの声が沈黙を破ったのは。
スターリンが足を止め、あたしを見てきた。
ギルバートったら、なんて間が悪い奴なのかしら!あたしはスターリンの持つ圧倒的な重圧に負けじと、目を逸らさずに頑張る。
「あっ、スターリン様お久しぶりです」
いつのまにか傍まで来ていたギルバートがあたしの目の前にいた男・・・やはり、予想通りバガルト・スターリンだったみたいね・・・にすんなりと話し掛ける。
「誰かと思えば、ギルバートか。久しいな」
スターリンはあたしから視線を逸らし、ギルバートに話し掛けた。
先程までの威圧感は何だったのか身が軽くなった気がした。
「はい!お久しぶりです」
ギルバートが深々と頭を下げる。
「・・・いつもと雰囲気が違うようだが?何かあったか?」
スターリンが何を不審に思ったのか、ギルバートに疑問をぶつける。
はて、ギルバートは至っていつもとかわらない気がするけども・・・。
「えっ、そうですか」
ギルバートが聞きかえす、何もないように装っているがあたしはギルバートの頬に一筋の汗があるのを見逃さなかった。
「そうか・・・ならいいが・・・」
当然スターリンにもギルバートが何もないように装っていることには気が付いているのだろうが、あえて触れる気がないようだ。
確かに世の中には気づかないでいてあげるやさしさもあるものね。
あっ、呆けてたみたい・・・これが正常な反応よねぇ。
外面にそれを悟られまいとしていたみたいだが、かえってわかってしまう。
「こいつの話を聞くかぎり、お前も世界大会に出場するみたいだな?」
ダラスの言葉にシークスはただ黙って頷く。
「今日の借りは大会ではらす!だから俺に当たるまで負けんじゃねぇぞ!」
ダラスはシークスの返事も聞かずにさっさと立ち去っていった。
ひょっとしたら、ただ単に一刻も早くここから立ち去りたかっただけかもしれない・・・。
「ふぅ、これでここの事態は収集できた。次に行くか・・・と、わすれるところだった・・・シークス・ブライト!」
「なっ、なんでしょうか」
男の言葉にシークスはまるで悪戯を注意されている子供のように緊張と不安の入り交じった声で返事をする。
当然姿勢も伸ばしている。
「どんな経緯があったのかは私の知るところではないが、間違いなくダラスとは試合で当たるだろう。世界大会とはそういうところだ。本当にやりたいやつと当たる。生半可な覚悟で出るというなら、私はいまここで君をはいつくばせてでも止めなければならない。一生悔いが残るからな」
シークスは憑き物が落ちたかのような晴れ晴れとした顔で、
「大丈夫です。生半可な気持ちで来たわけじゃあありませんから!」
男はシークスを眩しそうに見てから、
「どうやら、言うまでもなかったみたいだな」
男はそういってその場を立ち去ろうとシークスのいる場所を後にする。
シークスは男の背にむかって深々と頭を下げた。
どうしよう、こっちに来るわ!偶々なのだろう、なぜか男はこちら側に向かって歩いてきていた。
もう、断言しても問題ないと思うけど、この男はおそらく世界で一番強い男・・・バガルト・スターリンだろう。
話には聞いていた、彼がいかに常人場慣れしているか、だがあたしは内心、人間であるかぎり、何とかなるだろうと思っていた。
しかしどうだろう、彼がこちら側に近寄るにつれてあたしの心音が段々と上がってくる。これは、あたしが臆しているからなのか、それとも世界で一番強い男を間近で見られることへの興奮なのか。
あたしは内心の葛藤を得意の精神制御で何とか表に出さないことに成功した。
スターリンはまさに目と鼻の先の位置まで来ている。
彼の足があたしの目の前に踏み出される。ちょうどその時であった。
「マーヘン様っ!お待たせいたしました!」
ギルバートの声が沈黙を破ったのは。
スターリンが足を止め、あたしを見てきた。
ギルバートったら、なんて間が悪い奴なのかしら!あたしはスターリンの持つ圧倒的な重圧に負けじと、目を逸らさずに頑張る。
「あっ、スターリン様お久しぶりです」
いつのまにか傍まで来ていたギルバートがあたしの目の前にいた男・・・やはり、予想通りバガルト・スターリンだったみたいね・・・にすんなりと話し掛ける。
「誰かと思えば、ギルバートか。久しいな」
スターリンはあたしから視線を逸らし、ギルバートに話し掛けた。
先程までの威圧感は何だったのか身が軽くなった気がした。
「はい!お久しぶりです」
ギルバートが深々と頭を下げる。
「・・・いつもと雰囲気が違うようだが?何かあったか?」
スターリンが何を不審に思ったのか、ギルバートに疑問をぶつける。
はて、ギルバートは至っていつもとかわらない気がするけども・・・。
「えっ、そうですか」
ギルバートが聞きかえす、何もないように装っているがあたしはギルバートの頬に一筋の汗があるのを見逃さなかった。
「そうか・・・ならいいが・・・」
当然スターリンにもギルバートが何もないように装っていることには気が付いているのだろうが、あえて触れる気がないようだ。
確かに世の中には気づかないでいてあげるやさしさもあるものね。
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