戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石

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第57話 二度目

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突然、扉が破壊された後、一人の男が飛び込んできた。

あの男の人だ!

あたしはヤムイ村で助けてもらった時に僅かな時間しか見ていなかったがすぐにその時と同じ人だと確信した。

あんな存在感を持った人などそうそういるわけがない。

男は扉から飛び込むとすぐさま扉付近にいた4人の近衛騎士達を倒す。

今だ!!

あたしは千載一遇の好機がやってきたと確信する。

先輩騎士達を見やるとあたしと同じ意見なのか頷いてくる。

あたしたちは同時に動き、突然のことで動揺している近衛騎士をそれぞれ1人ずつ倒した。

「がはぁ」

「ぐふ」

「ぎゃぁぁぁ」

よしっ!あと2人!!

と思ったときには既にあの男の人が残りの2人の近衛騎士を倒していた。

・・・早すぎる。

あたしが驚いていると男の人が声をかけてきた。

「お前たちとは奇妙な縁だな。再会を喜びたいところだがその人たちを連れて逃げてくれないか?」

「「「はっ!!!」」」

何故だろう。あたしと先輩騎士達も自然と返事をしていた。

あの男の人があたしたちのことを覚えててくれた。

そんなことだけでとても嬉しくなる。

あたしは再び先輩騎士達と目を合わせ、2人の先輩騎士が先頭をあたしが殿を務めることになった。

後ろからの敵はほぼやって来ないという判断からだろう。

参列者の皆さんが先輩騎士達に連れられて扉から出始める。

あたしはその僅かな時間を使って男の人に話し掛けることにした。

何て話そう。時間が無い中必死で考える。ううう。こんなに悩んだのは生まれて初めてかもしれない。

「あの!後でちゃんとお礼を言わせてください!!」

今度こそちゃんと時間を作って話したかったので、再会の約束を投げかけることにした。

緊張していたのか声が裏返っていたかもしれない。

「・・・分かった。気をつけていけ!」

男の人はあたしの言葉が思いがけなかったのか驚いた顔をした。

こんな顔もするんだ。

当たり前のことなのに男の人の違う表情が見れたことと再会の約束ができたことから嬉しくなる。

「はい!あなたもお気をつけて!!」

あたしは元気にそういうと参列者たちの最後尾について扉を出た。

扉から離れて行くときにあの人の声が聞こえてきた。

「さて、どうする?」

おそらく残った敵に向かって言ったのだろう。

自信に溢れたその言葉を聞き、あたしはきっともう大丈夫なのだと安心する。

二度目だ。あの男の人に助けてもらうのは。

助けてもらうということは自分の力が足りないということではあるのだが、あたしは不思議と不甲斐なさよりも遥かに嬉しさの方が勝っていることに気づいた。

どうしちゃったんだろう。あたし。

でも嫌な気分じゃない。

むしろとても良い気分であった。
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