戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石

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第58話 計算外

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「何者だ!!」

たった一人の男により劣勢とまでいかないが優勢だった状態が完全に狂わされた。

近衛騎士とは姿が異なる男・・・第四王子のエルドが、ルークに向かって詰問する。

近衛騎士所属第三部隊隊長であるガイルは、ゆっくりと近衛騎士達の最後尾に移動していく。

(なんてことだ、まだ数の有利はあるがあの二人相手だと分が悪い。レギアス相手であれば私の方が分があるが『剣鬼』相手では荷が重過ぎる)

ガイルは自分の障害になりうる人物には目をつけていた。

すなわち、
色付きの騎士である近衛騎士所属第一部隊員、
近衛騎士所属第二部隊隊長のメリッサ・カイザス、
メリッサの姉である強国対策支部長兼大隊長のエルザード・カイザス、
そして一番の障害は強国対策支部第7部隊副隊長『剣鬼』ルーク・スターリン
である。

そのため、ルークの姿を見てすぐに『剣鬼』であることが分かったのだ。

「逆賊に名乗る名前はない」

ルークが淡々とエルドをいなす。

「な、なんだと!この私を誰だと思っている!!」

目に見えて青筋を浮かべるが、ルークは冷静に相手方との間合いを詰めていく。

(まだ、あちらの方が人数が多く優勢だ。向こうが冷静になる前に決着をつけねば)

「もういいだろう。エルドよ。大人しく抵抗をやめて投降せよ」

国王がエルドに投降を勧める。

「馬鹿な!私が投降などあり得ませんよ。父上。そうだ、一つ問題を出しましょうか」

エルドが国王の言葉に声を荒げるが、冷静さを取り戻し、そんなことを言ってくる。

「問題だと?」

国王が問答無用でレギアスに制圧させないのは相手方がまだ優勢だということに気づいているからだろう。

エルドの言葉につき合う。

「ええ、私とともについてきた真の英雄である近衛騎士第三部隊員ですが、数が少ないと思いませんか?」

「・・・まさか!?」

国王がエルドの言わんとしていることに気づく。

「はーはっはっ!!その通りですよ。父上の家族や要職の者たちは既に私の手の平です。死なせたくなければこの二人に武器を捨てさせてください」

「ぐぅ」

国王が悔しさで歯ぎしりをし、レギアス達に武器を捨てさせようか悩む。

その時、タイミング良く女の声が謁見の間に響いた。

「残念でしたね。第四王子。他の部下は全員拘束済みです」

いつの間にか部下を連れてやってきたメリッサが堂々とそう言った。

「そんなばかな!」

今度こそエルドが挙動不信となり、自分の部下に頼る。

「ガイル!何とかしろ!!」

ピィィィィィ

エルドが、叫んだ瞬間だった。

いつの間にか壁際まで下がっていた男が、指笛を吹いたのは。

それから先はあっという間の出来事であった。

「ぐぅ」

まず、近衛騎士の一人がエルドの背中から剣を刺した。

そして残りの近衛騎士達が国王とルークやメリッサの方へ斬りかかる。

さらに

ドガァァァン

ガイルが壁を壊し、この場から離脱したのだった。
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