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第59話 一段落
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「お前たち!反逆者ガイルを追え!!」
ガイルの逃走に自身は謁見の間に残った近衛騎士達を無力化しながらすぐに部下に指示を出すメリッサ。
部下たちの半分がここに残り、その他は別のルートでガイルを追いかける。
レギアスにメリッサとメリッサの部下、そしてルークがいたのでそれからはすぐに決着がついた。
ルークが直ぐに穴の開いた壁まで走り、覗き込むが既に男の姿は無かった。
「やつはあれでも近衛騎士所属第三部隊部隊長のガイルです。逃げに徹したのなら捕まえることはできないでしょう」
いつの間にか傍まで来ていたメリッサがルークに声を掛ける。
「・・・そうか。なら、今回の騒動はこれで終わりだな」
(あの男・・・ガイルといったか、どこかで見たことがある気がする)
王都の中枢にいるような男にルークが会う機会は無いはずだ。
現にメリッサと会った時も初めてだった。
それなのにガイルはどこかで会ったことがある気がした。
(・・・気のせいか)
ルークは結論が出ないので、これ以上考えるのをやめることにした。
壁から謁見の間に視線を戻すと国王様が瀕死状態の第四王子を抱えて叫んでいるのが目に入った。
「おい!早く、医者を呼んで参れ!!このままでは息子が死んでしまう!」
メリッサの部下たちがその言葉にすぐさま走り出す。
「国王様、何があるか分かりません。お離れください」
近衛騎士所属第一部隊隊長のレギアスが血で汚れるのにも関わらず第四王子を抱える国王様を遠ざけようとする。
「構わぬ!医者はまだか!!」
「ち・・・ちちうえ」
気を失っていた第四王子が国王様の声で目を覚ますとか細い声で父親を呼んだ。
「!?エルド!目が覚めたか!待っておれ、今すぐに医者が来るからな!!」
国王が第四王子を元気づける。
「もう・・・まにあいま・・・せぬ」
第四王子が否定する。
国王様が更に否定しようとしたが、何かを言うのをルークが止める。
「!?」
国王様が驚いたようにルークを見るがルークはただ首を振り、もう間に合わないことと最期の言葉を聞いてあげようということを示した。
ルークのこの行為は一国の王に向かって不敬そのものであったが、レギアスもメリッサも何も言わなかった。
「ちち・・うえ、ばかな・・・ことを・・・してもうし・・・わけ・・・」
第四王子は言葉の途中で息絶えたのだった。
恐らく、『馬鹿なことをして申しわけなかった』とそう言いたかったのだろう。
「おおお!エルドぉぉぉ!」
例え謀反を企てたとしても息子は息子。国王様といえども悲しまないわけはない。
謁見の間にはしばらくの間、国王様の慟哭の声が響き渡ったのだ。
ガイルの逃走に自身は謁見の間に残った近衛騎士達を無力化しながらすぐに部下に指示を出すメリッサ。
部下たちの半分がここに残り、その他は別のルートでガイルを追いかける。
レギアスにメリッサとメリッサの部下、そしてルークがいたのでそれからはすぐに決着がついた。
ルークが直ぐに穴の開いた壁まで走り、覗き込むが既に男の姿は無かった。
「やつはあれでも近衛騎士所属第三部隊部隊長のガイルです。逃げに徹したのなら捕まえることはできないでしょう」
いつの間にか傍まで来ていたメリッサがルークに声を掛ける。
「・・・そうか。なら、今回の騒動はこれで終わりだな」
(あの男・・・ガイルといったか、どこかで見たことがある気がする)
王都の中枢にいるような男にルークが会う機会は無いはずだ。
現にメリッサと会った時も初めてだった。
それなのにガイルはどこかで会ったことがある気がした。
(・・・気のせいか)
ルークは結論が出ないので、これ以上考えるのをやめることにした。
壁から謁見の間に視線を戻すと国王様が瀕死状態の第四王子を抱えて叫んでいるのが目に入った。
「おい!早く、医者を呼んで参れ!!このままでは息子が死んでしまう!」
メリッサの部下たちがその言葉にすぐさま走り出す。
「国王様、何があるか分かりません。お離れください」
近衛騎士所属第一部隊隊長のレギアスが血で汚れるのにも関わらず第四王子を抱える国王様を遠ざけようとする。
「構わぬ!医者はまだか!!」
「ち・・・ちちうえ」
気を失っていた第四王子が国王様の声で目を覚ますとか細い声で父親を呼んだ。
「!?エルド!目が覚めたか!待っておれ、今すぐに医者が来るからな!!」
国王が第四王子を元気づける。
「もう・・・まにあいま・・・せぬ」
第四王子が否定する。
国王様が更に否定しようとしたが、何かを言うのをルークが止める。
「!?」
国王様が驚いたようにルークを見るがルークはただ首を振り、もう間に合わないことと最期の言葉を聞いてあげようということを示した。
ルークのこの行為は一国の王に向かって不敬そのものであったが、レギアスもメリッサも何も言わなかった。
「ちち・・うえ、ばかな・・・ことを・・・してもうし・・・わけ・・・」
第四王子は言葉の途中で息絶えたのだった。
恐らく、『馬鹿なことをして申しわけなかった』とそう言いたかったのだろう。
「おおお!エルドぉぉぉ!」
例え謀反を企てたとしても息子は息子。国王様といえども悲しまないわけはない。
謁見の間にはしばらくの間、国王様の慟哭の声が響き渡ったのだ。
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