60 / 354
第60話 仕切り直し
しおりを挟む
国王様が未だに悲しみにくれている中ルークはそっと謁見の間を後にする。
ルークは長い軍生活の中で多くの生死に関わってきた。
瀕死の状態で何とか一命を取り留めた者、あと一歩間に合わず死んでしまった者、最期の言葉すら言えぬまま死んでいった者、様々だ。
ルークはこう考える。
結局のところ残されたものにできるのはその者の立場になって悲しむくらいしかできない。
そしてその者の想いを胸に前に進むだけなんだと。
二人の間には部外者である自分はいらない。
謁見の間から離れて行くと、誰かがルークを呼び止める。
「待ってくれ」
ルークが振り返るとそこには赤色の騎士レジアスがいた。
鎧の上からでも筋骨隆々であることが分かる。
「あんたは・・・」
ルークとて『色付きの騎士』の存在は話には聞いていた。
「失礼、私はレギアス・バドラー。これでも近衛騎士所属第一部隊隊長を務めている」
ルークの素っ気ない言葉遣いに対しても腹を立てた様子もなく、自己紹介をするレギアス。
「ルークだ。所属はない」
無所属という言い方にも慣れてきたな。
とそう思いながらルークが答える。
「ルーク殿、此度の御助力本当に助かった。感謝する」
「成り行きだ。気にするな。・・・それよりも」
ルークはいつものように自分が出来ることを出来るときに行っただけだ。
ルークはレギアスの後ろに来たメリッサを見ながら言いよどむ。
「「それよりも?」」
レギアスはルークの目線の先にいるメリッサを
メリッサは何故か注目されて
ルークの言葉を待つ。
「・・・色々壊してしまったが弁償しろとかないよな?」
若干気まずそうにルークがそう呟いた。
レギアスとメリッサは目を合わせた後、
「「(あ)ははははははっ!」」
声を揃えて大爆笑をし始めた。
「?」
ルークは何故二人が笑い始めたか分からない。
「ルーク殿。あなた程の方がそのような事気にしなくて大丈夫ですよ」
メリッサがそう答えるとレギアスも
「そうですよ。ルーク殿がいなければこの国は終わっていたでしょうから。弁償などという輩がいれば私が粛清しましょう」
「・・・なら良かった」
「ルーク殿はこれからどこへ?申し訳ありませんがしばらくは王城内に居ていただきたいのですが」
メリッサがルークの行動を尋ねる。
「先に逃した人たちがどうだったか気になってな」
ルークは勲章授与式に来ていた3人の騎士と参列者たちの生存を確認したかった。
「それでしたら、部下が無事に確保したとの連絡があり、今は王城の庭に特設の医療施設を作って待機してもらっております」
メリッサが居場所を教えてくれる。
「分かった。なら俺もそこにいるようにする。約束もあるからな」
「畏まりました。恐らく、後で国王様からも褒美があると思いますのでくれぐれも王城の敷地内に居てください。勲章授与式も仕切り直すと思いますので是非近くでご覧になってください」
ルークはメリッサの言葉に頷くと少し前に、謁見の間から出る女騎士と約束したことを思い出しながら歩きだす。
『あの!後でちゃんとお礼を言わせてください!!』
ルークは人生の中で約束を破ったことは過去に一度だけだった。
それは自分にはどうしようも出来なかったがなんと言おうと結果を見れば破ったことに変わりはない。
(もう、二度と約束は破らない)
「あの男が『剣鬼』か」
レギアスが遠ざかるルークを見ながら呟く。
「はい。不思議な人でしょう?」
メリッサがレギアスに答える。
「ああ、言葉だけ聞けば不敬な言い方しかしてないが、不思議と嫌な感じがしない。それに、あの強さ。私の血が滾る相手は久々だ。是非一度戦って見たいものだ」
「レギアス様から見てもそうなのですね。やはり、是非とも我が騎士団に入ってもらわねば」
「何だと!そういうことなら私が貰い受ける!!」
「この件に関しては譲る気はありませんからね!では、私は事後処理があるので失礼致します!」
これ以上話すとレギアスが本気になってしまうかもしれない。
そう思ったメリッサはすぐさまこの場を離れたのだった。
「・・・逃げ足の早いやつだ」
レギアスは呆然とメリッサが居なくなった方を見て呟いたのだった。
ルークは長い軍生活の中で多くの生死に関わってきた。
瀕死の状態で何とか一命を取り留めた者、あと一歩間に合わず死んでしまった者、最期の言葉すら言えぬまま死んでいった者、様々だ。
ルークはこう考える。
結局のところ残されたものにできるのはその者の立場になって悲しむくらいしかできない。
そしてその者の想いを胸に前に進むだけなんだと。
二人の間には部外者である自分はいらない。
謁見の間から離れて行くと、誰かがルークを呼び止める。
「待ってくれ」
ルークが振り返るとそこには赤色の騎士レジアスがいた。
鎧の上からでも筋骨隆々であることが分かる。
「あんたは・・・」
ルークとて『色付きの騎士』の存在は話には聞いていた。
「失礼、私はレギアス・バドラー。これでも近衛騎士所属第一部隊隊長を務めている」
ルークの素っ気ない言葉遣いに対しても腹を立てた様子もなく、自己紹介をするレギアス。
「ルークだ。所属はない」
無所属という言い方にも慣れてきたな。
とそう思いながらルークが答える。
「ルーク殿、此度の御助力本当に助かった。感謝する」
「成り行きだ。気にするな。・・・それよりも」
ルークはいつものように自分が出来ることを出来るときに行っただけだ。
ルークはレギアスの後ろに来たメリッサを見ながら言いよどむ。
「「それよりも?」」
レギアスはルークの目線の先にいるメリッサを
メリッサは何故か注目されて
ルークの言葉を待つ。
「・・・色々壊してしまったが弁償しろとかないよな?」
若干気まずそうにルークがそう呟いた。
レギアスとメリッサは目を合わせた後、
「「(あ)ははははははっ!」」
声を揃えて大爆笑をし始めた。
「?」
ルークは何故二人が笑い始めたか分からない。
「ルーク殿。あなた程の方がそのような事気にしなくて大丈夫ですよ」
メリッサがそう答えるとレギアスも
「そうですよ。ルーク殿がいなければこの国は終わっていたでしょうから。弁償などという輩がいれば私が粛清しましょう」
「・・・なら良かった」
「ルーク殿はこれからどこへ?申し訳ありませんがしばらくは王城内に居ていただきたいのですが」
メリッサがルークの行動を尋ねる。
「先に逃した人たちがどうだったか気になってな」
ルークは勲章授与式に来ていた3人の騎士と参列者たちの生存を確認したかった。
「それでしたら、部下が無事に確保したとの連絡があり、今は王城の庭に特設の医療施設を作って待機してもらっております」
メリッサが居場所を教えてくれる。
「分かった。なら俺もそこにいるようにする。約束もあるからな」
「畏まりました。恐らく、後で国王様からも褒美があると思いますのでくれぐれも王城の敷地内に居てください。勲章授与式も仕切り直すと思いますので是非近くでご覧になってください」
ルークはメリッサの言葉に頷くと少し前に、謁見の間から出る女騎士と約束したことを思い出しながら歩きだす。
『あの!後でちゃんとお礼を言わせてください!!』
ルークは人生の中で約束を破ったことは過去に一度だけだった。
それは自分にはどうしようも出来なかったがなんと言おうと結果を見れば破ったことに変わりはない。
(もう、二度と約束は破らない)
「あの男が『剣鬼』か」
レギアスが遠ざかるルークを見ながら呟く。
「はい。不思議な人でしょう?」
メリッサがレギアスに答える。
「ああ、言葉だけ聞けば不敬な言い方しかしてないが、不思議と嫌な感じがしない。それに、あの強さ。私の血が滾る相手は久々だ。是非一度戦って見たいものだ」
「レギアス様から見てもそうなのですね。やはり、是非とも我が騎士団に入ってもらわねば」
「何だと!そういうことなら私が貰い受ける!!」
「この件に関しては譲る気はありませんからね!では、私は事後処理があるので失礼致します!」
これ以上話すとレギアスが本気になってしまうかもしれない。
そう思ったメリッサはすぐさまこの場を離れたのだった。
「・・・逃げ足の早いやつだ」
レギアスは呆然とメリッサが居なくなった方を見て呟いたのだった。
82
あなたにおすすめの小説
勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。
応援本当に有難うございました。
イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。
書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」
から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。
書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。
WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。
この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。
本当にありがとうございました。
【以下あらすじ】
パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった...
ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから...
第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。
何と!『現在3巻まで書籍化されています』
そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。
応援、本当にありがとうございました!
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
学校一の美人から恋人にならないと迷惑系Vtuberになると脅された。俺を切り捨てた幼馴染を確実に見返せるけど……迷惑系Vtuberて何それ?
宇多田真紀
青春
学校一の美人、姫川菜乃。
栗色でゆるふわな髪に整った目鼻立ち、声質は少し強いのに優し気な雰囲気の女子だ。
その彼女に脅された。
「恋人にならないと、迷惑系Vtuberになるわよ?」
今日は、大好きな幼馴染みから彼氏ができたと知らされて、心底落ち込んでいた。
でもこれで、確実に幼馴染みを見返すことができる!
しかしだ。迷惑系Vtuberってなんだ??
訳が分からない……。それ、俺困るの?
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
勇者パーティーに追放された支援術士、実はとんでもない回復能力を持っていた~極めて幅広い回復術を生かしてなんでも屋で成り上がる~
名無し
ファンタジー
突如、幼馴染の【勇者】から追放処分を言い渡される【支援術士】のグレイス。確かになんでもできるが、中途半端で物足りないという理不尽な理由だった。
自分はパーティーの要として頑張ってきたから納得できないと食い下がるグレイスに対し、【勇者】はその代わりに【治癒術士】と【補助術士】を入れたのでもうお前は一切必要ないと宣言する。
もう一人の幼馴染である【魔術士】の少女を頼むと言い残し、グレイスはパーティーから立ち去ることに。
だが、グレイスの【支援術士】としての腕は【勇者】の想像を遥かに超えるものであり、ありとあらゆるものを回復する能力を秘めていた。
グレイスがその卓越した技術を生かし、【なんでも屋】で生計を立てて評判を高めていく一方、勇者パーティーはグレイスが去った影響で歯車が狂い始め、何をやっても上手くいかなくなる。
人脈を広げていったグレイスの周りにはいつしか賞賛する人々で溢れ、落ちぶれていく【勇者】とは対照的に地位や名声をどんどん高めていくのだった。
【完】転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい
冬月光輝
ファンタジー
【勇者】のパーティーの一員であったルシアは職業を極めては転職を繰り返していたが、ある日、勇者から追放(クビ)を宣告される。
何もかもに疲れたルシアは適当に隠居先でも見つけようと旅に出たが、【天界】から追放された元(もと)【守護天使】の【堕天使】ラミアを【悪魔】の手から救ったことで新たな物語が始まる。
「わたくし達、追放仲間ですね」、「一生お慕いします」とラミアからの熱烈なアプローチに折れて仕方なくルシアは共に旅をすることにした。
その後、隣国の王女エリスに力を認められ、仕えるようになり、2人は数奇な運命に巻き込まれることに……。
追放コンビは不運な運命を逆転できるのか?
(完結記念に澄石アラン様からラミアのイラストを頂きましたので、表紙に使用させてもらいました)
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる