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第63話 王との対話

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「ルーク殿!ここにいらっしゃいましたか!ミリーナ君もいたならちょうど良い」

メリッサがルークとミリーナのところにやってきた。

「どうかしたか?」

ルークがメリッサに尋ねる。

メリッサは一緒にいた二人の様子を興味深そうに一瞬見てから話し始める。

「国王様がルーク殿にお話があるとのことでお呼びに参りました」

「分かった。連れていってくれ」

「畏まりました。ミリーナ君、君も来てくれるか?」

「え!私もですか?」

「ああ、謁見の間での君の声掛けが無ければレギアス隊長もやられ、最悪この国は終わっていた可能性があるとのことで、直接礼を言いたいそうだ。やるじゃないか」

「ほう。やるな」

「そんな!恐れ多い・・・ありがとうございます」

メリッサとルークに褒められ赤くなるミリーナ。

二人はメリッサに連れられ再び王城の中に入っていった。



「よくぞ来てくれた。さあ、そこに座ってくれ」

応接室なのだろう豪華な内装の部屋に通されたルークとミリーナは驚いたことに国王様に出迎えられ、ソファに座るように勧められた。

ルークは言われた通りソファに腰掛け、ミリーナはお礼を言ってからルークの隣に腰掛けた。

(何このソファ、めちゃくちゃ座り心地が良い!)

ミリーナはずっと立ったままだったのでソファの魔力に負けそうになるが何とかダラけそうになるのを堪える。

「ルーク殿・・・いや『剣鬼』殿と言ったほうがよいかな。この度は誠に大儀であった」

国王様がルークに礼を言う。

(『剣鬼』ってどこかで聞いた事がある気がするわ)

隣で聞いていたミリーナが後で調べようと心の中でメモする。

流石に『剣鬼』の通り名は騎士にはある程度広まっているが騎士見習いまでは広がっていなかったのでミリーナが知らなくても無理はない。

「私はやれることをやれるときにやっただけですのでお気になさらないでください。それと、ルークとお呼びくだされば結構です」

「分かった。ルーク殿と呼ばせて貰おう。ルーク殿が気にしなくとも我々、そしてこの国も含めて助かったことには違いない。心から礼を言わせてもらう」

改めて国王様がルークに礼を言った。

ルークもひとまず頭を下げることで応える。

そして国王様は今度はミリーナに顔を向け、

「そしてこの事は、ミリーナよ。そなたの勇気ある忠告のお陰でもある礼を言う」

礼を言ってきた。

「い、いえ!私がもっと早くに伝えられていればよかったのですが・・・」

「気にするでない。用意周到なガイルのことだ。お主が気づいたとて我々の誰かに伝えることは不可能だったろう」

「王よ」

ここで、国王様の隣に控えたレギアスが話に入る

「そうだったな、良いぞ。発言して構わぬ」

「ありがとうございます。ルーク殿にミリーナ騎士見習い、二人には感謝しかない。もちろん、他に助力してくれた皆にもだが。二人の貢献は特に感謝している」

レギアスも礼を言い、二人は頷くことで返した。

「あの、他の色付きの騎士の方はご無事でしたか?」

ミリーナはレギアスに気になっていたことを聞く。

レギアスは国王様を見ると国王様が頷くのを見てから応える。

「ミリーナ殿のお陰で致命傷は避けられた。リハビリは必要だがしばらくすれば復帰できるはずだ」

「それは良かったです!」

ミリーナが胸を撫で下ろした。

「さて、ではこれからのことを話す」

国王様が、再び話し始めた。

「まず、勲章授与式だが残念ながらこの有様なので数刻の後、簡易的に行わせてもらう」

その言葉にミリーナは頷く。

「そして、ルーク殿。そなたに褒賞を与えたいのだが欲しいものは無いか?」

ルークは少し考えた後、

「特にはないですね」

一瞬、パーになってしまった年金の話をしようと思ったがあれは理由があったとはいえ規律を破ってしまった自分への戒めだったのでやめた。

「欲がないのだな、分かった。こちらに関しては考えておく」

「最後にミリーナ。そなたは今回の功績を称え、通常一段階上がる階級を二段階上げることとする」

「っ!?・・・ありがたき幸せ」

ミリーナは国王様の言葉に驚きの声が出るのを何とか堪える、当たり障りのない返答をしたのだった。

通常二級騎士になるのは騎士学校を出れば良いが一級騎士になるにはとても大変だ。

10年が一つの目安になっており、10年で一級騎士になれない場合は騎士の道を諦めるのが騎士団での常識となっている。

逆にいえば一級騎士に成れさえすれば一生食べていけるといっても過言ではない。

(順風満帆過ぎないかな?あたしの人生)

ミリーナがうまく行き過ぎている人生に段々と恐怖を感じ始めるのも無理はなかった。
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