戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石

文字の大きさ
83 / 354

第83話 事情

しおりを挟む
「待たせたわね」

そうミリーナが声を掛けてきたのはルークが食堂に向かってからしばらく経ってからであった。

ミリーナの後ろからイリアも付いてきている。

「「「おお!」」」

食堂にいる他の客も含めてミリーナやイリアの姿を見て感嘆の声を上げた。

無理も無い。二人共美少女と美女なのだから。

「早かったな」

ルークは二人のために確保していた場所を勧めながら呟く。

「「ありがとう」」

二人も座りながら礼を言う。

既に料理はルークが頼んでいたようで机に並んでいた。

「ここはひと目が多いから、家まで送ってから事情を聞くということでいいか?」

周りの嫉妬の視線がルークに突き刺さるが気にせずイリアに尋ねる。

領主の娘がこんなところにいるとは誰も思わないだろうが念には念を入れて敬語は使わない。

そのことは予めミリーナを通じてイリアに話していた。

ちなみに承諾が得られない場合、ミリーナの第一声は敬語にするように伝えていた。

ルークの言葉に頷くイリア。

その後は言葉少なく、三人とも黙々とモーニングセットを食べるのだった。





「何だか、ミッションを遂行しているスパイみたいで楽しかったですわ!」

食事を終えた三人は領主の館に向かっている最中である。

イリアが楽しそうに呟いた。

「それは良かったです」

ミリーナが相槌をうつ。

ルークは寡黙に襲撃に備えて気を張っている。

「ええ。家にいると息が詰まりそうで嫌になりますわ。先程のような食事も偶には良いものですわね!!」

「は、はぁ。そういうものなのですね」

ミリーナも貴族ではあるが、両親特に母親の教育方針からガンガン外に出て色々経験するように言われていたためあまり共感できてはいなかった。

「そういうものなのです。基本的に家を出るなと言われてきましたから、、、こんな状況でなければこのまま街を巡りたいくらいですわ!」

イリアが喋った直後にルークが素早い動きで二人の前に出る。

「ミリーナ!」

ミリーナもルークの掛け声でいつでも剣を抜けるようにスタンバイする。

「・・・」

空気は読めるイリアも二人の様子に黙って口を噤む。

「おうおう、見せびらかしてくれるじゃねぇか!」

いかにもゴロツキといった連中が数人出てきてルーク達を囲む。

(・・・7人か。人数は分からないがかなり遠くから様子を伺っている奴もいるな)

「何か用か?」

ルークが相手の人数を把握しながら先程声を掛けてきた男に答える。

「ふん。野郎には用はねぇ。てめぇら、やっちまえ!」

問答無用とはまさにこの事だ。

ルークの周りにいた子分たち3人が一斉に手に持った棍棒で襲いかかる。

「「「ぐはっ」」」

ルークが何かをした瞬間、持っていた棍棒が切れ、子分たち3人とも地面に倒れる。

「はっ!」

「ぐぅ」

ミリーナがそれに乗じて子分の内の1人を倒す。

これで残り後3人。

「「う、うわぁぁぁぁ」」

圧倒的な差を見て勝てないと思った子分の二人は逃げ出した。

「・・・人望無いんだな」

ルークは残り1人になった男に向かって剣を向けた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。 応援本当に有難うございました。 イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。 書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」 から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。 書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。 WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。 この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。 本当にありがとうございました。 【以下あらすじ】 パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった... ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから... 第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。 何と!『現在3巻まで書籍化されています』 そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。 応援、本当にありがとうございました!

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】 魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。 ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。 グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、 「・・・知ったからには黙っていられないよな」 と何とかしようと行動を開始する。 そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。 他の投稿サイトでも掲載してます。 ※表紙の絵はAIが生成したものであり、著作権に関する最終的な責任は負いかねます。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

学校一の美人から恋人にならないと迷惑系Vtuberになると脅された。俺を切り捨てた幼馴染を確実に見返せるけど……迷惑系Vtuberて何それ?

宇多田真紀
青春
学校一の美人、姫川菜乃。 栗色でゆるふわな髪に整った目鼻立ち、声質は少し強いのに優し気な雰囲気の女子だ。 その彼女に脅された。 「恋人にならないと、迷惑系Vtuberになるわよ?」 今日は、大好きな幼馴染みから彼氏ができたと知らされて、心底落ち込んでいた。 でもこれで、確実に幼馴染みを見返すことができる! しかしだ。迷惑系Vtuberってなんだ?? 訳が分からない……。それ、俺困るの?

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

処理中です...