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第144話 ヒルダ・ノーム・ジークムント⑥

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「ただいま!」

「戻ったのじゃ」

「おかえり」

夕食の支度があらかた終えた頃、ミリーナとヒルダが、戻ってきた。

「ねぇ見てルーク。ヒルダちゃん、すごく可愛いわよ!」

ミリーナに言われてルークは改めてヒルダを見る。

汚れていて分からなかった髪の色は透き通るような銀色であった。

汚れていても分かった整った顔立ちは綺麗にしたことでより一層目立っていた。

さすがに替えの服はなかったのか服装は元のままだ。

「本当だな。見違えたよ」

「あ、当たり前じゃ。これでも王女なんじゃからな」

明らかに照れ隠しだろう。

ミリーナとルークの褒め言葉に顔を赤くしながらそう言って胸をはるヒルダ。

「そうだったな。ほら、二人共冷める前に食べてしまおう」

「美味しそうね!ヒルダちゃん、頂きましょう」

「美味しそうじゃな!うむ、頂こう」

二人共美味しい美味しいと言って食べてくれた。

「ありがとうルーク」

「ルーク・・・さん、礼を言うぞ」

「気にするな」

ルークはミリーナとヒルダの言葉に返事をし、気になっていた事を聞くことにした。

「ところで、ヒルダ。聞いてもいいか?」

「ん、なんじゃ?」

ヒルダはミリーナに食べ物で汚れた口周りを拭いてもらいながらルークに答える。

「大した話じゃないんだが、『魔人鬼』とはどんな形で伝わっているんだ?」

「あ、それあたしも気になってた」

ジークムント王国では明らかに自分のことを恐怖の象徴と言った形で伝えている様子だったのが流石に気になって聞いてみる。

「ああ、そのことか・・・聞いても怒ったりしないかの?」

ヒルダが様子を伺う。

それはさながら小動物が震えているような様子に見えた。

「もちろんだ・・・内容によるが」

「ひぃぃぃ」

ルークがそう言うとヒルダが恐怖を思い出したかのように悲鳴を上げ、ミリーナの後ろに隠れる。

「ちょっとルーク、冗談言ったら可哀想でしょ」

ミリーナはルークの発言が冗談だということに気づき苦言を呈す。

「冗談・・・なのか?」

そろ~っと言った感じで顔を出し、ルークの様子を伺うヒルダ。

(流石にこれ以上は可哀想だな)

「ああ、冗談だ。聞かせてくれるか?」

ルークは、これ以上からかうのは悪いと感じ、前言を否定する。

「よ、よし・・・。話すぞ。心臓に悪いからもう冗談は本当にやめてくれよ」

ヒルダが様子を伺いながらミリーナの後ろから元の位置に戻り、ぽつりぽつりと語り始めた。
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