戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石

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第234話 剣術大会本戦㉜

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「もう戦争は終わったんだ。無駄な命の取り合いはしばらく遠慮しておく」

ルークが肩を竦めて言う。

「ふ・・・ふははははは!!お主本当に『魔人鬼』か?」

バグラス大将軍がまるでイメージの違うルークに毒気を抜かれ思わず笑い出す。

「・・・そんなことはあんたが一番分かってるだろうよ」

ルークがぶっきらぼうに答える。

「かっかっかっ、それはそうだ。儂を負かせる事のできる男なぞ『魔人鬼』しかおらんかったな」

何がおかしいのかバグラス大将軍は笑ってばかりだ。

「・・・それと、『魔人鬼』って呼ばれ方は余り好きじゃない」

ルークはそのように言ってからバグラス大将軍に配慮して左手を差し出す。

バグラス大将軍は一瞬呆けたあと、ニヤリと笑い、

「それは失礼した。『ルーク』よ。お主は大した男だ」

ルークの左手に対して自分の手を出し固く握手をした。

パチパチパチパチパチ!!!

「2人共凄かったぞ!!」

「ああ、まさに『剣術大会』に相応しい戦いだった!!」

2人の様子を見ていた観客達が褒め称える。

観客全員が立ち上がっていた。

「ふっ。こういうのも悪くないのぉ」

バグラス大将軍が呟く。

「そうだな」

ルークも同意する。

「どうだ。今夜辺り酒でも飲まんか?ここでは満足に話せぬしな」

バグラス大将軍が驚きの提案をする。

「・・・もしかしたら連れも来るが良いか?」

ルークは少し考えてから答える。

「もちろん構わん。女か?」

バグラス大将軍がにやにやしながら聞いてくる。

「・・・そうだ」

激しく誤解される気もするがバグラス大将軍のニュアンスとは違うものの本当のことなので肯定する。

「ふはははっ。そうかそうか!」

バグラス大将軍は何が楽しいのかルークの背中をバシバシ叩く。

「・・・力が強すぎだ」

流石のルークでもバグラス大将軍の力で叩かれると痛かった。

「さて、準備も整いましたのでこのまま表彰式に入らせて頂きます!!!」

赤服運営長が会場中に聞こえるように宣言すると観客達が盛り上りを見せる。

「まずはこの方に来ていただきましょう!!主催者であるボルン領主です!!!」

「「「おぉぉぉぉぉ!!」」」

赤服運営長の言葉に反応し、来賓室からボルン領主がゆっくりと降りてくる。

やがてリング中央のルークとバグラス大将軍が居るところまでやってきた。

「お二人共素晴らしい戦いでした。私が見て来た中で最も激しく、最も速く、最もレベルの高い試合でした」

ボルン領主がルークとバグラス大将軍に向けて皆に聞こえないように声を掛ける。

「ふははは。当然だろう」

「どうもありがとうございます」

2人なりの返事をする。

「それではまず、準優勝の表彰を行います!バグラス大将軍、前へ!!」

赤服運営長の言葉に従いボルン領主の前に歩いていくバグラス大将軍。

「準優勝おめでとうございます!間違いなく貴方の実力であれば例年であれば優勝だったでしょう。本日は間違いなく歴史に残る戦いでした」

ボルン領主がバグラス大将軍にそう言うと包みを渡す。

恐らく中身に賞金の金貨500枚が入っているのだろう。

「ありがたく頂こう」

バグラス大将軍はそう礼を言う。

会場中から拍手喝采贈られる。

「それでは、優勝の表彰を行います!ルーク選手、前へ!!」

赤服運営長の言葉に従いボルン領主の前に今度はルークが歩いていく。

「優勝おめでとうございます!3連覇中のレイ選手を倒し、更にはジークムント王国最強とされるバグラス大将軍によくぞ打ち勝ちました。本大会は長い間人々に語り継がれることでしょう!!」

ボルン領主がルークにそう言うと包みを渡す。

こちらは優勝賞金の金貨1000枚が入っているのだろう

「ありがとうございます」

ルークが礼を言って受け取ると、バグラス大将軍の時以上の拍手喝采が会場中から贈られる。

「それでは、ルーク選手。優勝者のあなたは私が出来る範囲で叶えられる願いを一つだけ言ってください」

会場中の観客は今大会の熱に浮かされながら盛り上がり各々酒を持ち出し宴会が始まった。

そのため、ボルン領主の言葉は聞こえていない。

まぁ、観客にとっては優勝者が大事であって、願い事云々はあまり興味が無いのだろう。

「それでは・・・」

ルークは周りに聞かれないこの状況は寧ろ好都合と考え、大会参加に至った一番の理由でもある願いごとをボルン領主に返答したのだった。
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