戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石

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第236話 宿敵との杯②

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闘技場を出たルーク、ミリーナ、ヒルダの3人は無事銀行にお金を預け、宿に向かって歩いていた。

「ところでルーク。ボルン領主にどんなお願いをしたの?」

ミリーナが思い出して尋ねる。

「お、そうじゃった!?確か、『剣術大会』に参加するのを決めた一番の理由だったのぉ」

ヒルダも思い出してミリーナの質問に興味津々となる。

ルークは一度立ち止まり、ミリーナとヒルダを見る。

「・・・そのことだが、実はな。ヒルダの」

「ん?我の??」

ヒルダがルークが思いもよらず自分の名前を出すことに不思議そうに復唱する。

「ああ。ヒルダの『セインツ王国における証』を作って貰うことをお願いした。正確には『ボルン領民証』の発行だが」

「なっ!」

ヒルダが驚きの声を上げる。

一方、

「なるほど!流石はルークね!ヒルダちゃん良かったわね!!」

ミリーナは両手を挙げて喜ぶ。

「そ、そこまでして貰うわけには・・・」

ヒルダが愕然とする。

(本当に、どこまでお人好しなんじゃあ此奴は)

確かにヒルダの場合はジークムント王国民なため、セインツ王国内での銀行を使えないことやその他王国民用の様々なサービスを受けることが出来ない。

しかしながら、他国の人間がセインツ王国民証を得るのはかなりハードルが高かった。

「気にするな。ヒルダは俺たちの仲間だろう?お互い持ちつ持たれつでいこう」

そう言うと照れくさいのかルークは再び歩き出す。

「あ・・・りがとう」

ヒルダは絞り出すようにお礼を口にする。

「・・・」

ミリーナは俯いているヒルダの地面がどんどん濡れているのを見ながら、そっと頭を撫でそっと言う。

「・・・行きましょう」

「・・・うん」

ヒルダは声を押し殺しながら頷くとミリーナと2人でゆっくりとルークについて歩いていった。

ルークも気配でわかるのか普段よりも歩くスピードを遅くしているのが分かる。

「本当、不器用ね」

ミリーナはルークの様子を見ながらぼそっと嬉しそうに呟くのであった。




「ここか」

その後、数時間が経過し、ルークはとある酒場の前までやってきていた。

もちろん。バグラス大将軍と酒を飲むためだ。

ちなみにルークの他には誰もおらず、ミリーナとヒルダに関しては酒が飲めないのと流石にジークムント王国のヒルダに対する出方が分からないためバグラス大将軍との接触は避けることにした。

ルークの勘ではバグラス大将軍のヒルダに対する関与は無いと確信してはいるが、取り巻きの従者がどうかはわからないので念には念を入れることにした形である。

「・・・行くか」

ルークがバグラス大将軍の指定の場所ということを再度確認した後、酒場の中に入っていった。
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