他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石

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第486話

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「・・・エリスよ。もしや気づいているのか?」

国王はエリスの様子を見て、尋ねる。

「ええ。私《わたくし》も同じことを言われましたから」

エリスはにっこりと笑みを浮かべる。

「ふっ、そうか・・・筋金入りだな」

国王は謁見室であったグレイの顔を思い浮かべ、笑みを浮かべる。

(儂の周りには欲に塗れた人間は多くいるが、あそこまで無欲な人間は初めてだな)

「ええ。本当に仰る通りですね」

エリスの言葉を聞いて国王はふと思った。

「・・・まさかとは思うが、以前馬車が襲われていた時に救ってくれた人物というのは・・・」

国王は、何故そう思ったのか自分でも分からなかったが思わずエリスに訪ねてしまう。

(いやいや・・・何を馬鹿なことを。儂も疲れているようだな・・・)

「・・・ご想像にお任せいたしますわ。それでは私《わたくし》は失礼いたしますわ」

だが、国王の予想に反してエリスは笑みを浮かべるや挨拶もそこそこに部屋を出て行ってしまった。

「・・・何ということだ」

国王はエリスの様子を見て全てを察すると、愕然とする。

「・・・まさか、あの者が愛娘の命の恩人であったとは今から呼び寄せ直して褒美を取らせねば・・・」

国王はそこまで呟いてはっとなる。

「いかんいかん。それでは、あの者が困るだけだな・・・それにエリスが約束を破ったということにもなってしまう」

エリスを助けた礼をグレイにしてしまうとグレイとの約束を破ってエリスが国王にそのことを話したということになってしまうのだ。

国王は数分頭を抱えた上で、

「・・・仕方がない。このことは儂の胸にしまっておこう。そして、あの者が何か困ったことがあればそれとなく手助けをしてやろう」

国王はそういうと、久しぶりの小休止をゆっくり過ごすことにした。



「・・・はぁ。あの対応はよろしくなかったですわね」

国王の私室を出たエリスはしばらく歩くと立ち止まり、自己嫌悪に至る。

「結果だけを見ればズー様との約束を破ってしまったことになりますもの・・・」

(御父様がズー様を再び呼び戻して礼をしてしまったりしないかしら?)

エリスはそこまで考えてから首を振り、自分の考えを否定する。

(・・・きっと私《わたくし》とズー様との約束を尊重してくださるから大丈夫ですわね)

「・・・ほっとしたところで、私《わたくし》もアリシアやズー様と会いに行こうかしら?」

エリスは笑みを浮かべると、まずは残った仕事を片付けるため、早足で執務室に向かうのであった。
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