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第360話
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「アリシア!」
誰よりも早く反応したのはアリシアの父であるゾルムであった。
アリシア達の姿を見た瞬間に駆け寄ってくる。
「お父様!」
アリシアは返事をし、再会を喜ぶ。
普段はどんな時でも冷静なゾルムだったが、流石に今回は冷静なままでは居られなかった。
「大丈夫か?」
ゾルムが心配そうにアリシアに尋ねる。
「はい。服の損傷は激しいですが体は大丈夫ですわ」
アリシアはゾルムを安心させるように笑みを浮かべ肯定する。
「そうか・・・良かった。本当に」
ゾルムはアリシアの状態を目視で観察すると安堵する。
「・・・再会を喜んでいるところすまない」
アリシアとゾルムの会話が一段落した時に、遠慮がちに声を掛けて来る人物が居た。
その声を聴いたゾルムはアリシアの前を譲る。
「シェリルおば様!」
「久しいな、アリシア。それと娘を救ってくれてありがとう」
マギル家当主のシェリル・フォン・マギルである。
「はい。お久しぶりです。いえ・・・私《わたくし》は何もできませんでした」
アリシアは背負っていたユリアをシェリルに丁寧に渡す。
「そんなことはない。恩に着る・・・」
シェリルは優しくユリアを受け取り、安らかな顔を見て安堵する。
「あとで改めて礼をさせてくれ」
シェリルはそう言うと、アリシアに背を向けて歩き出す。
ユリアを休ませてあげたいのだろう。
「・・・はい。畏まりました」
アリシアはシェリルのしたいことをさせないのもどうかと思い、ひとまずはそう返事をした。
(私《わたくし》が礼を言われる筋合いはありませんので、落ち着いたころにしっかりとお断りをさせていただきましょう)
アリシアが心の中でそう思っていると、今度は別の人間がやってきた。
「アリシア!」
「姫様っ!!」
「本当にあなたは・・・心配させないでくださいっ!」
久しぶりに見る姫の目には涙が浮かんでいた。
「・・・申し訳ありません」
アリシアは、滅多にどうようしない姫が自分のために泣いてくれていたことを理解するとただただ謝罪する他なかった。
(姫様がここまで私《わたくし》のことを思っていてくださったとは思いませんでしたわ)
「・・・本当に良かった」
謝罪したアリシアに対して姫はそれ以上追及したりはせず、安堵する。
『おい。アリシア。悠長にしていて良いのか?』
姫の様子を見ていると、アリシアの右肩に姿を消して待機しているイズがアリシアにしか聞こえない声で尋ねる。
「ありがとうございます。この場所は外から見て思っていたほど、環境は悪くないようなので下手に何かをしない方が良いと思います。逆に結界を破壊すると状況が変わる可能性もありますので・・・」
アリシアは貴賓席の様子を見ながらイズと同様に自分の考えを小さな声で答えた。
誰よりも早く反応したのはアリシアの父であるゾルムであった。
アリシア達の姿を見た瞬間に駆け寄ってくる。
「お父様!」
アリシアは返事をし、再会を喜ぶ。
普段はどんな時でも冷静なゾルムだったが、流石に今回は冷静なままでは居られなかった。
「大丈夫か?」
ゾルムが心配そうにアリシアに尋ねる。
「はい。服の損傷は激しいですが体は大丈夫ですわ」
アリシアはゾルムを安心させるように笑みを浮かべ肯定する。
「そうか・・・良かった。本当に」
ゾルムはアリシアの状態を目視で観察すると安堵する。
「・・・再会を喜んでいるところすまない」
アリシアとゾルムの会話が一段落した時に、遠慮がちに声を掛けて来る人物が居た。
その声を聴いたゾルムはアリシアの前を譲る。
「シェリルおば様!」
「久しいな、アリシア。それと娘を救ってくれてありがとう」
マギル家当主のシェリル・フォン・マギルである。
「はい。お久しぶりです。いえ・・・私《わたくし》は何もできませんでした」
アリシアは背負っていたユリアをシェリルに丁寧に渡す。
「そんなことはない。恩に着る・・・」
シェリルは優しくユリアを受け取り、安らかな顔を見て安堵する。
「あとで改めて礼をさせてくれ」
シェリルはそう言うと、アリシアに背を向けて歩き出す。
ユリアを休ませてあげたいのだろう。
「・・・はい。畏まりました」
アリシアはシェリルのしたいことをさせないのもどうかと思い、ひとまずはそう返事をした。
(私《わたくし》が礼を言われる筋合いはありませんので、落ち着いたころにしっかりとお断りをさせていただきましょう)
アリシアが心の中でそう思っていると、今度は別の人間がやってきた。
「アリシア!」
「姫様っ!!」
「本当にあなたは・・・心配させないでくださいっ!」
久しぶりに見る姫の目には涙が浮かんでいた。
「・・・申し訳ありません」
アリシアは、滅多にどうようしない姫が自分のために泣いてくれていたことを理解するとただただ謝罪する他なかった。
(姫様がここまで私《わたくし》のことを思っていてくださったとは思いませんでしたわ)
「・・・本当に良かった」
謝罪したアリシアに対して姫はそれ以上追及したりはせず、安堵する。
『おい。アリシア。悠長にしていて良いのか?』
姫の様子を見ていると、アリシアの右肩に姿を消して待機しているイズがアリシアにしか聞こえない声で尋ねる。
「ありがとうございます。この場所は外から見て思っていたほど、環境は悪くないようなので下手に何かをしない方が良いと思います。逆に結界を破壊すると状況が変わる可能性もありますので・・・」
アリシアは貴賓席の様子を見ながらイズと同様に自分の考えを小さな声で答えた。
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