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第129話 闇の獣人、各都市や村に結界を展開する

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 あれから世界各地にどこからともなく出てきたモンスターの変異種、上位種といった強力な個体は数こそ少ないものの、それぞれが強力な存在で、Sランクの冒険者でも苦戦しているようだった。

 とりあえず時間停止して世界各地に出てきている化け物達を退治していったが、どうも時間が経つにつれて増えていっているような感じがするのだ。

 そこで精液ポーション使って「3級創造神の神衣」の上位バージョンの「2級創造神の神衣」と「1級創造神の神衣」を購入した。

 まず以前購入した「3級創造神の神衣」だが、一人から大都市レベルまであらゆる種類の攻撃や爆発から守るための結界型アビリティだ。

 そしてレベル1だと2つ。または2人しか結界を貼れないが、レベル10だと10人か10個。

 レベル20だと100人か100個。レベル30だと1000人か1000個になるが、あまりにも範囲が広い場合はレベル30で大都市クラスをガードする結界が貼れる。

 「2級創造神の神衣」だと「3級創造神の神衣」を習得しているのが前提で、1億精液ポーションだが、精液ポーション必要数半減のおかげで5000万で購入できた。「1級創造神の神衣」と併せて1億精液ポーションで買えたのはありがたい。

 それで「2級創造神の神衣」だが、わかりやすく言えば「3級創造神の神衣」よりも多くの人数と範囲を守護できる。さらに「3級創造神の神衣」よりも細かく設定できるので、魔物や邪精霊・魔精霊など俺が知っている全ての敵対する存在をシャットアウトして都市や村、街に入れなくすることも可能だ。

 しかも消費MPが「3級創造神の神衣」と同じように一度使っただけであとは消費しないのがいいと思う。

 ま、設置型のアビリティだからな。もちろん防護の意味でも俺がもらった「海神王の槍」の30レベルの槍の直撃を受けても3回までは耐えられるんだから、その防御力の効果は推して知るべし。

 ちなみにレベル制はなしなのも嬉しかった。いちいち都市を作って、結界貼ってまた壊して、なんてめんどくさいことをこの非常事態にやるのはアホらしいからな。

 で、次に「1級創造神の神衣」はやはり効果が大きく違った。まず守護できる人数も2000万人までだし、その防護効果も30レベルの「海神王の槍」を5発まで耐えられるほどだ。

 さらに一度に耐えきれないほどの膨大な量の魔力や攻撃力を受けたらまずいが、逆を言えば耐久度以下の攻撃魔法やあらゆる種類の攻撃だと、そのエネルギーを吸収して結界を再生、維持できる効力がある。

 それだけじゃない。術者(この場合は俺)の魔力を吸収して、結界内部の人々の肉体を癒す効果もある。

 この場合は俺の分身にも設定可能なので、ダンジョンの地下131階層にいる俺の分身達の魔力から吸収することにした。何しろ精液ポーション作るのに400名もいるからな。一人につき各都市や街の結界の維持の為に魔力供給すると、念話で説明したら喜んで同意してくれましたよ。

 おかげで俺は結界を設置するだけで済むのがありがたいね。

 ただこの癒し効果。あくまで肉体の損傷や疫病によるものから治療するだけで、精神的なものまでは回復してくれないってのがネックだよな。代わりに「2級創造神の神衣」と重ね掛けできるのがいいけど。

 まあ防御の意味でも大したもんだけど。これもレベル制じゃないので、早速時空の大精霊セレソロインの連絡に従って、世界中の都市に「2級創造神の神衣」と「1級創造神の神衣」を重ね掛けしていきました。

 ちなみに「2級創造神の神衣」で設置するMPが1000万。「1級創造神の神衣」で設置するMPが2000万だから、こりゃ俺くらいじゃないと設置できないよな。

 もちろん帝都の方にもうんと離れた所から「2級創造神の神衣」と「1級創造神の神衣」を展開させておきましたよ? この場合は帝都の地下にいる邪神が地上に出られないように設定しておきました。

 この場合はミュリエール皇子に念話で伝達済みだ。そしたら皇子からの返事はかなり投げ槍で俺の好きなようにしていいとのことだった。

 悪いが世界中で正体不明の化け物がどこからともなく涌いて出ているこの状況だと、帝都の人々の安全よりも、世界各地の都市や村、街にいる人々の安全の方が最優先だ。

 この二重の結界によって邪神が本格的に暴れて帝都を破壊するようになってもな。

 かといって帝都に結界を貼らないと、どうして帝国だけ結界貼らないんだ!? と非難されるのは目に見えているからな。

 こんな感じで世界各地の村や街とか隠れ里とか村とかいえない小部落とかにも、自在門を使ってどんどん設置していきました。

 ただ問題なのが王都ジェルロンドだよな。王都にあるダンジョンの影響で、多くのモンスターの変異種や上位種が王都に集まりやすくなっているらしい。

 そうなんだよな。ダンジョンの放つ魔力のせいで今まで結界なんて貼れなかったし、貼れたとしてもすぐに消えちゃうんだよな。

 特に今じゃダンジョンは地下1000階層にまで発展しちゃったし。

 ま、それは俺がコア・ブランチに大量の精液ポーション吸収させてしまったからなんだけど。

 そういう意味でも俺は世界各地のどの国から誘われても、レナリアーラ王国から離れることはない。

 例えそうなったとしても、こっそりと隠れてこの国を守るのは決定事項だ。

 何しろ世界最高の難易度を誇るダンジョンにしたのは俺なんだし。

 だから邪神や悪魔が国民を扇動して俺を国外に追放しても、俺は陰からこの国を守らないといけない。

 それがダンジョンを1000階層にまで拡張させた俺の責任、ってやつだな。

 だってダンジョンが拡張されるということは、お宝も価値があるものが多くなるが…当然ながらそのお宝を守るためのモンスターも強力な奴らが設置されるということだ。
 
 そうなったらスタンピード現象が起きたら、さすがに1000階層のダンジョンだと世界中の軍隊を集めても阻止できるかわからない。だから俺はこのレナリアーラ王国を命のある限り守らないといけないんだ。

 それは国外の住民や邪神・悪魔だけじゃなくてダンジョンから溢れたモンスターから守るという意味でもある。

 まあ国外からの攻撃は結界を二重に貼ったからよほどの事がない限り、大丈夫だけど…合計して「海神王の槍」を8発まで耐えられるし…あれ? 何か忘れているような感じがする…?

 あ、そういえば元・廃村のヴァイソン村と無人島のノランディアの街に結界を展開するの忘れていたわ。

 これは急がないと…って自在門が開けるから、急ぐ必要はないんだよな。まず門の扉に手を当てて、はるか上空から見下ろす形でヴァイソン村を見てみる。

 すると特に異常はないようだったので、「2級創造神の神衣」と「1級創造神の神衣」を重ね掛けしてやる。

 それから無人島のノランディアの街の方にも異常は…ってあるじゃねーか!
 
 でかい空飛ぶサンドワームみたいな、大きなミミズの化け物。全長は30メートルくらいだろうか。

 そのミミズの化け物の背中には半透明のハエとも蝶ともいえぬ蟲の羽が10も生えていたので、俺は自在門から飛び出して、街の近くまで飛んできたそいつの寿命を根こそぎ奪ってやった。

 奪った寿命は3000年。結構長生きするんだな、こいつ。鑑定したら異世界の怪物で詳細までは鑑定できなかったが、死亡していたのは鑑定できたので、そのまま闇の鎖で拘束した後で闇の中の空間に放り込んでやった。

 それからノランディアの街に「2級創造神の神衣」と「1級創造神の神衣」をかけてやった。

 後は…やっぱり説明しておかないとまずいよな。俺はため息をつくと、眼下のノランディアの街へとゆっくりと降りていった。


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