5 / 22
現場
しおりを挟む
現場検証・・・・
それは、探偵にとって必須とも言える行為だ。
今回の現場は、この街の片隅の狭い路地裏だ。
そこで警官二人殺されたとあって、現場は封じられてあったが、櫂は深夜にここを訪れ、何か手がかりはないかと、探ってみた。
深夜の街には煙草が似合う。
櫂はヘビースモーカーではないが、時にはこの嗜好品に中毒的になることがあった。
深夜の路地裏・・・・・・・・
そこには誰も居ない。
よく探してみると、地面には二箇所、何かが焼け焦げた後があった。
ニュースでは、警官二人は焼死したと言っていた。するとここが、彼らの体が燃えた場所だろうか?
だがその場所は少し離れている。
どうやら警官二人は同時に燃やされたわけではないらしい。
一人は抵抗したのだろうか?
路地裏の奥には大きな焼け焦げのあとがある。
火、犯人はおそらく火の異能らしい。
火の異能は日向櫂もやりあったことがある。しかしどんな異能なのか。
あまい考えは、自らの命に致命傷を負わせる。
櫂はそのことについて嫌と言うほど経験があった。
まだ若い頃には櫂は自分の戦闘能力に異常に自信を持っていた。
しかしその自信ゆえに命が危うかったことも何度かある。
『そこをどうして俺は生き抜いてこれたのだろう?あの時に死んでいれば、今の自分はない。けれど俺のような虫けら同然の殺人鬼がどうしてここまで生き残ってこれたのか・・・・・・まるで俺には分からない』
櫂は一人現場でそんなことを考えていた。
あれは遠い冬の日、日向櫂が殺人鬼だったころ・・・・・・
吐く息も白かった。けれど体は少しも凍えてなかった・・・・そこまで思い出して櫂は思いだすのを止めた。
あの頃のことは出来れば思い出したくない。
現場を後にする。後は所長にお願いして警官からの証言を書類で確認しよう。そう思い櫂は、 深夜の街を歩いていた。
今夜は風もなく、月明かりが眩い。
いい夜だ。こんな日には、家でウイスキーでも飲もうか。そんな考えが起こった頃だった。
突然、櫂は後ろから殺気を感じた。
とっさに転がり攻撃をかわす櫂。
櫂が居た、その場に向けて炎が放たれた。
「ちっ仕留めそこなったか」
「お前は誰だ?」
「俺の名前は日比谷連。最近有名になった男だ」
「そうか。お前が警官殺しの犯人か」
「ああ」
「なぜ警官を殺した?おかげでこっちはこの寒いのに、深夜まで働かなきゃならない。まったくいい迷惑だよ」
「なんだと!」
日比谷はカッとしたようだ。
「喰らえ!」
そう言い日比谷は櫂に向けて炎の塊を放つ。
しかしその速度は異能の力にしては遅い。
櫂はエモノであるナイフを取り出した。
そうして攻撃を避ける。
すぐに櫂は洞察した。
『この相手には何か秘密がある。何だ。いったい?』
二度、三度、四度と放たれる炎の塊。
しかしそれらは全て櫂に交わされた。
少し息を荒げる日比谷。
攻撃がやんだ所で、軽く相手を刺激する為、仕掛ける櫂。
とうてい人とは思えない速さで日比谷に迫る櫂。
しかし日比谷はそれを見て笑った。
日比谷の左腕をナイフが掠める。
日比谷はそれを確認すると、後ろに下がった。
「日向櫂、俺のことを知っているか?」
『不自然な会話だ。ひょっとしてこの異能は条件付き?』
「いや、俺はお前などには興味は無い。ただどうして殺人をした?それを聞いておきたい」
「殺人なんてたいしたことじゃないだろ!知っているぞ日向櫂、かつてはお前も殺人鬼だった。お前は故郷の街で殺人を犯した。俺のしたことと何が違う?俺は日比谷だ!」
『この話し方は・・・・・・・条件は二つか三つだろう。おそらく残りの一つ以外は満たしている。なんだ?何かを言わせようとしているな。もし俺がこの能力を使うのだったら・・・・・』
「堪忍しろ、日比谷」
そう言うと、日比谷は喜んだ。
その表情を確認した後、櫂は身構える。
次の瞬間、日向櫂の全身は炎に包まれた。
それは、探偵にとって必須とも言える行為だ。
今回の現場は、この街の片隅の狭い路地裏だ。
そこで警官二人殺されたとあって、現場は封じられてあったが、櫂は深夜にここを訪れ、何か手がかりはないかと、探ってみた。
深夜の街には煙草が似合う。
櫂はヘビースモーカーではないが、時にはこの嗜好品に中毒的になることがあった。
深夜の路地裏・・・・・・・・
そこには誰も居ない。
よく探してみると、地面には二箇所、何かが焼け焦げた後があった。
ニュースでは、警官二人は焼死したと言っていた。するとここが、彼らの体が燃えた場所だろうか?
だがその場所は少し離れている。
どうやら警官二人は同時に燃やされたわけではないらしい。
一人は抵抗したのだろうか?
路地裏の奥には大きな焼け焦げのあとがある。
火、犯人はおそらく火の異能らしい。
火の異能は日向櫂もやりあったことがある。しかしどんな異能なのか。
あまい考えは、自らの命に致命傷を負わせる。
櫂はそのことについて嫌と言うほど経験があった。
まだ若い頃には櫂は自分の戦闘能力に異常に自信を持っていた。
しかしその自信ゆえに命が危うかったことも何度かある。
『そこをどうして俺は生き抜いてこれたのだろう?あの時に死んでいれば、今の自分はない。けれど俺のような虫けら同然の殺人鬼がどうしてここまで生き残ってこれたのか・・・・・・まるで俺には分からない』
櫂は一人現場でそんなことを考えていた。
あれは遠い冬の日、日向櫂が殺人鬼だったころ・・・・・・
吐く息も白かった。けれど体は少しも凍えてなかった・・・・そこまで思い出して櫂は思いだすのを止めた。
あの頃のことは出来れば思い出したくない。
現場を後にする。後は所長にお願いして警官からの証言を書類で確認しよう。そう思い櫂は、 深夜の街を歩いていた。
今夜は風もなく、月明かりが眩い。
いい夜だ。こんな日には、家でウイスキーでも飲もうか。そんな考えが起こった頃だった。
突然、櫂は後ろから殺気を感じた。
とっさに転がり攻撃をかわす櫂。
櫂が居た、その場に向けて炎が放たれた。
「ちっ仕留めそこなったか」
「お前は誰だ?」
「俺の名前は日比谷連。最近有名になった男だ」
「そうか。お前が警官殺しの犯人か」
「ああ」
「なぜ警官を殺した?おかげでこっちはこの寒いのに、深夜まで働かなきゃならない。まったくいい迷惑だよ」
「なんだと!」
日比谷はカッとしたようだ。
「喰らえ!」
そう言い日比谷は櫂に向けて炎の塊を放つ。
しかしその速度は異能の力にしては遅い。
櫂はエモノであるナイフを取り出した。
そうして攻撃を避ける。
すぐに櫂は洞察した。
『この相手には何か秘密がある。何だ。いったい?』
二度、三度、四度と放たれる炎の塊。
しかしそれらは全て櫂に交わされた。
少し息を荒げる日比谷。
攻撃がやんだ所で、軽く相手を刺激する為、仕掛ける櫂。
とうてい人とは思えない速さで日比谷に迫る櫂。
しかし日比谷はそれを見て笑った。
日比谷の左腕をナイフが掠める。
日比谷はそれを確認すると、後ろに下がった。
「日向櫂、俺のことを知っているか?」
『不自然な会話だ。ひょっとしてこの異能は条件付き?』
「いや、俺はお前などには興味は無い。ただどうして殺人をした?それを聞いておきたい」
「殺人なんてたいしたことじゃないだろ!知っているぞ日向櫂、かつてはお前も殺人鬼だった。お前は故郷の街で殺人を犯した。俺のしたことと何が違う?俺は日比谷だ!」
『この話し方は・・・・・・・条件は二つか三つだろう。おそらく残りの一つ以外は満たしている。なんだ?何かを言わせようとしているな。もし俺がこの能力を使うのだったら・・・・・』
「堪忍しろ、日比谷」
そう言うと、日比谷は喜んだ。
その表情を確認した後、櫂は身構える。
次の瞬間、日向櫂の全身は炎に包まれた。
0
あなたにおすすめの小説
ヤクザに医官はおりません
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした
会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。
シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。
無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。
反社会組織の集まりか!
ヤ◯ザに見初められたら逃げられない?
勘違いから始まる異文化交流のお話です。
※もちろんフィクションです。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
✿ 私は彼のことが好きなのに、彼は私なんかよりずっと若くてきれいでスタイルの良い女が好きらしい
設楽理沙
ライト文芸
累計ポイント110万ポイント超えました。皆さま、ありがとうございます。❀
結婚後、2か月足らずで夫の心変わりを知ることに。
結婚前から他の女性と付き合っていたんだって。
それならそうと、ちゃんと話してくれていれば、結婚なんて
しなかった。
呆れた私はすぐに家を出て自立の道を探すことにした。
それなのに、私と別れたくないなんて信じられない
世迷言を言ってくる夫。
だめだめ、信用できないからね~。
さようなら。
*******.✿..✿.*******
◇|日比野滉星《ひびのこうせい》32才 会社員
◇ 日比野ひまり 32才
◇ 石田唯 29才 滉星の同僚
◇新堂冬也 25才 ひまりの転職先の先輩(鉄道会社)
2025.4.11 完結 25649字
結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~
馬村 はくあ
ライト文芸
「久しぶりだね、ちとせちゃん」
入社した会社の社長に
息子と結婚するように言われて
「ま、なぶくん……」
指示された家で出迎えてくれたのは
ずっとずっと好きだった初恋相手だった。
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
ちょっぴり照れ屋な新人保険師
鈴野 ちとせ -Chitose Suzuno-
×
俺様なイケメン副社長
遊佐 学 -Manabu Yusa-
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
「これからよろくね、ちとせ」
ずっと人生を諦めてたちとせにとって
これは好きな人と幸せになれる
大大大チャンス到来!
「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」
この先には幸せな未来しかないと思っていたのに。
「感謝してるよ、ちとせのおかげで俺の将来も安泰だ」
自分の立場しか考えてなくて
いつだってそこに愛はないんだと
覚悟して臨んだ結婚生活
「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」
「あいつと仲良くするのはやめろ」
「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」
好きじゃないって言うくせに
いつだって、強引で、惑わせてくる。
「かわいい、ちとせ」
溺れる日はすぐそこかもしれない
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
俺様なイケメン副社長と
そんな彼がずっとすきなウブな女の子
愛が本物になる日は……
お茶をしましょう、若菜さん。〜強面自衛官、スイーツと君の笑顔を守ります〜
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
陸上自衛隊衛生科所属の安達四季陸曹長は、見た目がどうもヤのつく人ににていて怖い。
「だって顔に大きな傷があるんだもん!」
体力徽章もレンジャー徽章も持った看護官は、鬼神のように荒野を走る。
実は怖いのは顔だけで、本当はとても優しくて怒鳴ったりイライラしたりしない自衛官。
寺の住職になった方が良いのでは?そう思うくらいに懐が大きく、上官からも部下からも慕われ頼りにされている。
スイーツ大好き、奥さん大好きな安達陸曹長の若かりし日々を振り返るお話です。
※フィクションです。
※カクヨム、小説家になろうにも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる