学生服の悪魔

雨竜真という男

桜井真理花は先に雪ヶ谷探偵事務所で保護される。
　それは今回の事件の貸しと借りで警察と日向櫂(雪ヶ谷探偵事務所）の両者の合意の元になった・・・・・・・・



三日後。雪ヶ谷探偵事務所。

　日向櫂は五日ぶりに雪ヶ谷探偵事務所に出社した。
　この事務所も五日前と何も変わらない。そう櫂が思っていると、
「櫂、久々ね」
　そう唯が言う。
　櫂は知らない。唯が櫂を切ろうとしていたことを。
「ああ、だが頭が痛い。それから肘と肩も」
「なんでよ。なんかあったの？」
「ああ、今回の事件はまだ終わったわけでないからな」
「それはそうだけど・・・・・あんたに敗れて例の灰原ガロアってのも大人しくなったでしょう？」
「それはとんだ見解の相違だな。奴は今、力を溜めているんだ。いずれまた現れる。それの対策と後は・・・・・体を鍛えていたんだ。もっと素早く、もっと鋭い感性で動けるようにな」
「そう・・・・・・・・・時頼さんとは話した？」
「ああ、電話で話したよ。警察とのいざこぞは例の舞田と話をする予定だ。そうして金稼ぎのことなんだが・・・・・・」
「何よ。なにか案があるの？」
「バウンディハンターって知ってるか？唯」
「いいえ」
「ようは昔の賞金首だよ。日本の犯罪者を見つけて通報すれば・・・・・あーアメリカでは自分で捕まえてもいいんだったな。そうすれば懸賞金が出るって言う制度だ」
「へえーそういえばテレビでちらっと見たことあるかも。あんたそれをやるつもりなの？」
「ああ」
「普段の業務に支障が出たらどうするの？」
「そこは考えてある。ただ一人の大物を狙う」
「誰？それは？」
「その男はこの世界の闇の世界の住人。この世で最強の暗殺者・・・・・雨竜真（うりゅうまこと）」
「そう。懸賞金は？」
「十億」
「・・・・・・・・・・・そう。でもそんな大物を本当に捕まえられる？」
「安心しろ。これは俺向きの事件だよ。それと真理花も連れて行く」
「真理花って・・・・はあ。あの子は確かに協定上、雪ヶ谷探偵事務所に所属しているけれど女の子だし」
「だが戦闘向きだ。雨竜の時にはパートナーとなってもらう予定だ。まあ案はこんなことだ。来年の四月以降に執筆・・・・・いや実行する」
「はあ？」
「いや、なんでもないよ。それと善は急げ、だよな。今からちょっと舞田に連絡して会ってくるよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・会うって、連絡先どこで手に入れたの？」
「解放された時だ。後で言いたいことがあると言ったら教えてくれたよ」
「そう。もう私にはわかんない。舞田刑事は最大の壁だったのに。何で今更、仲良くなろうとしてるの？」
「ＬＩＮＥも送ってみたが、あんまり打ち明けた話はできなかったしな。後、早く警察署に来いと昨日、返ってきたよ、ＬＩＮＥで・・・・・」
「そう。せいぜい下半身の交渉にならないように気をつけてね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ」
「本当にね？」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・勿論」
「そう。だったらさっさと行ってきなさい」
「ああ、悪いな、唯」
「何がよ」
「色々。真理花を引き受けてくれたのは、助かった。なんだかんだで所長も甘いじゃないか」
「何、何よ！そんなこと言うと首にしちゃいたくなるでしょ！もういい。さっさといきなさい」
　そう唯が言うと、日向櫂は出て行った。
　おそらく、警察署に向かうのだろう。
　櫂はジャケットを羽織り、表へと出て行く。
　途中、射してくる陽がやけに眩しく感じられた・・・・・・・・