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七章 蜃気楼都市小閑編
おにぎりころころ
クズノハ商会に併設されている飲食店。
澪が協力してくれてるとこで亜空からも料理好きが呼ばれて働いてる。
僕が意図してた感じではスーパーなんかに入ってるお好み焼きとかたこ焼きを売ってるお店、なんて感覚だったんだけど澪の料理スキルはいつの間にかツィーゲでも有名になる程高まっていて……開店当初から店の規模の割に澪の知り合いから冒険者に商人、それに観光客まで幅広い人が列を作る様な状況になってた。
テイクアウトの弁当とおにぎりがこれまた主に冒険者に好評で、かつて環と激戦を繰り広げたおにぎり戦争を経たメニューは十分すぎるほどのラインナップとして頑張っているらしい。
「これをパクるのは流石にまずくないっすかね?」
「別に澪サンが私しか作るなって言いまわってるワケじゃねえだろ? 誰だってやってる事だ、構やしねえよ」
二人にしては大量のおにぎりを抱えた男が二人。
話の内容からすると飲食関係?
おにぎりをパクる……いや別にまずくないよ。
弁当にせよおにぎりにせよ、正直な話ウチとしては特許的なものを主張する気はさらさら無い。
大体よく考えてみて欲しい。
ここはツィーゲだ。
食文化としてははっきりいって米とは無縁の地域だ。
そしておにぎりも弁当も幅が広すぎて澪のスペシャルですと出すようなメニューでもない。
真似したいなら好きにやってくれていいし、それでツィーゲの冒険者以外の層に……欲張るなら一般の人たちにもお米食べる習慣が少しでも付いてくれたら嬉しいくらい。
今でこそわずかながら米を扱う飲食店も増えてきたし、クズノハ商会でも扱ってるけど米、ライスなんてのはサラダでたまに使われてるのを見る程度の代物だ。
圧倒的にパンや点心みたいな饅頭の方が強いんだよな。
「それに……」
「んだよ」
「米なんて仕入れた事ねえっす。扱い方もよくわかりゃしませんし……ここ以外でそうそう見かけねえのが気になります」
「つうと?」
「クズノハ商会お抱えの料理人だから扱えるような難しい食材だったら、俺たちじゃ持て余すんじゃねえかと」
「……じゃ、代わりに何で勝負すんだよ?」
「そ、それは……」
「オロシャ、てめえが慎重なのは臆病だからじゃねえってのは良く知ってるがよ。俺たちの今の状況、わかってるか?」
「が、崖っぷちっす」
「だな。わかってんじゃねえか。今回バトマさんに見捨てられたら俺らはここじゃ商売できねえ」
バトマ?
ははぁ、この二人あそこに抱えられてる……確か群れ、群れ、群商会!
それだ。
最近何かとごたごたしてるって聞いてるけど、何か問題ある感じか。
「は、はい」
「おにぎり以外、他の連中とまともに戦えそうな案、あんのか?」
兄貴分と弟分。
そんな雰囲気の二人だ。
オロシャって呼ばれてた方が下っぽいな。
「……考えつかないっす」
素直!
でも、実は何か考えてる様子もある。
なんだろうな、少し気になる。
中は識先生に任せてちょっと得意先回りでもしようかと思ったけど、もう少し聞いてみるか。
「その顔、実は考えてる事あんだろ。もう後がねえんだって、言ってみろよ」
「……実は旦那さんから駅ってもんの事を聞いて思ってた事があって」
「おう、聞かせてみ」
「携帯できる容器に飲み物を入れて売るのはありじゃないかって」
「!!」
「ただ、それだけだと弱えし中身をよっぽど考えねえとすぐパクられて終わっちまうと思ってて……」
……なるほど。
飲み物っていうのは凄く着眼点が良いような。
そして何の対策もしないとすぐに真似されて終わるってのもまたリアルな……。
「ノミモンか! そりゃありだぜオロシャ!」
「でもエツ兄、俺らそんなに飲み物に詳しい訳でもねえっす。酒も扱えねえし」
「おにぎりとセットで売るんだよ! 弁当の亜種みたいなもんだ! 容器は……まあ冒険者が使ってるようなの見て研究すりゃいいべ!」
「セット……そ、それは良い考えっす!」
「しゃ! じゃまずは木だ! 押さえに行くぜオロシャ!」
「木? すか?」
木?
メインのおにぎりはどこにいった?
「食い物と飲み物を入れる器は木だろ! 飲むもんなんぞ適当な茶と水、それに甘いのがあれば上等だろ。おにぎりは米を茹でて塩振って丸めるだけ! 器さえクリアすれば楽勝だ――」
「ええーー!?」
「な訳あるか!! 米なめんな!!」
「へ?」
「……あ」
ふざけた発言につい、口が出てしまった。
既に走り去ったエツ兄なる男は姿も見えず。
早速木材を見に行ったのだろう。
行動力だけは商人としても凄いものを持っている気がする。
パワーがある、とでもいおうか。
振り返って僕を見ている弟分、オロシャは思慮深い。
が、でもでもだってになりそうなネガティブさも感じる。
……。
上手くかみ合えばかなり相性が良い二人じゃなかろうか。
「あ、あの」
「……すまない。つい君たちの話声が耳に入ってきてしまった。つい余計な事を」
「いえ! もしかして、その」
あちゃー。
そりゃ店の近くだしバレるか。
「あー……」
「米か飲料に詳しい方ですか!?」
……あーそっちもあったか。
恥ずかしっ!!
ちょっと有名人になった気がして正体ばれちゃったよ的な空気出しちゃったのめっちゃ恥ずかしい!
「う、うん。そうなんだよ。実は、故郷が米をそこそこ食べる地域だったので」
「米を! じゃあこのお店には故郷の味を求めて?」
「そんな、ところだよ」
「……あ、質問ばかりしてしまってすみません。私、今はバトマ商会傘下で活動しているルシリー商会のオロシャと言います」
「ああ、オロシャさんか。私はクズノハ商会に荷を卸しているら、まこ、マゴットです」
「ラマコマゴットさん、ですか。クズノハ商会と取引があるとなればお忙しいのでしょうねえ」
ラマコッ!?
「……いえいえ、バトマ商会の参加で活動なさっているというと……話に聞く群商会という」
「ええ。お詳しいですね、主に屋台をやってる商会なんて名ばかりの下っ端も下っ端です」
オロシャの口調は若干自虐的だったけど、まあ事実だろう。
バトマ商会は弱い商会を囲う。
潰れないよう守っている一面もあるけど、飼い殺しにしている一面もある。
そもそも単体ではこの街で生き残っていけない商会の扱いというのは、難しい。
あのエツ兄もオロシャもまだかなり若いが……それだけにツィーゲで生き残る夢もまた強く持ってる、か。
「しかし、今は何やら明るそうな話題をしているようでしたね」
「明るく……もあるんですがそれだけでもなくて。最近旦那さん、バトマ商会の方針が変わってきましてね。ツィーゲでまともに商売ができないような弱小商会については切り離しも考えているみたいで」
「ふむ……」
「今回は確かにチャンスでもあるんです。若手や弱小商会のみを競わせて今後街の各所に出来るらしい駅という施設の内部、または付近で店をやる商会を決めるって企画でして」
へえ。
群商会を整理する気でいるのかな。
バトマさんも新生ツィーゲへの適応にむけて色々考えているとみえる。
まあ、このまま流されるままじゃ力は削がれる一方だし娘のアーシェスの方がアイドル業で稼ぐようになりかねないもんな。
親父としても頑張りどころか。
「それでおにぎりに目を付けましたか」
中々良いじゃないか。
まだまだツィーゲでは広まっていないお米とおにぎりを駅で売ってもらえるならこれは嬉しい事ですよ。
正直肉屋のライアンさんがライスを導入してくれるだけでも満足できるけど、より広がってくれるならその方が僕も嬉しい。
「兄貴、エッセンはそのつもりみたいです。不安しかないですが、すごく行動力はある人なんで頼りになるのも事実で……俺はどうも考えすぎて始めるところまでいかずにぐじぐじ悩んじまう性質で」
「どちらも商売には大事です。動くも止まるも信じるも疑うも」
「……あのラマコ、ラマさん」
もはや原型もない名前になった!?
まあ僕の名前も顔も知らない人と話すのも新鮮だし、ラマさんでもいいか。
にしても、肩書きとかを隠して話をするとなるとどうもな。
オロシャもエツ兄も多分三十前ってとこで、僕よりも年上だ。
年齢ってとこに引っ張られて結局丁寧に話してしまう。
もはやサガだな。
クズノハ商会のライドウとしてならまだ気を付けて話せるんだけどなあ。
「……なにか?」
「あまりお支払いは出来ないんですが、俺たちの勝負、どうか手助けしちゃもらえないでしょうか!」
「と言いますと?」
「米の扱いを、基本的なところだけでも教えて頂きたいんです! 兄貴が、エッセンが言ってたように茹でて塩振るだけじゃ駄目なんでしょう!?」
ああ、そういう事か。
米の炊き方くらいならまあ、ドワーフが調理器具面では随分頑張ってくれたから僕でも教えてあげられる程度ではある。
1セットの商談、か。
まさに肉屋を思い出す。
あの時は思いがけず無煙ロースター的なものが結構売れる結果になった。
今回もそう上手くいくとは思えないけれど、おにぎりに可能性を見出してくれるこの二人の力になるというのも悪くない。
少し長い気分転換になるかもしれないけど、ひとまず企画とやらの間付き合ってみようか。
「私としても米に親しむ者としておにぎりを褒めてくれる方のお力になりたい。あまり時間は取れませんがそれでもよければお二人の挑戦を支えてみましょうか」
「あ、ありがとうございます! では早速! 早速我がルシリー商会の事務所に! 狭いところですがご案内します!!」
オロシャに手を引かれて街の雑踏をかき分けていく。
バトマ商会が幾つの駅に店を置き商会に割り振るつもりなのかはわからない。
けれどそのうちの一つに米を売りにする所があっても面白い。
謎のコメ好きラマさんとして一つツィーゲっ子に米の炊き方を教えてやるとしますか!
澪が協力してくれてるとこで亜空からも料理好きが呼ばれて働いてる。
僕が意図してた感じではスーパーなんかに入ってるお好み焼きとかたこ焼きを売ってるお店、なんて感覚だったんだけど澪の料理スキルはいつの間にかツィーゲでも有名になる程高まっていて……開店当初から店の規模の割に澪の知り合いから冒険者に商人、それに観光客まで幅広い人が列を作る様な状況になってた。
テイクアウトの弁当とおにぎりがこれまた主に冒険者に好評で、かつて環と激戦を繰り広げたおにぎり戦争を経たメニューは十分すぎるほどのラインナップとして頑張っているらしい。
「これをパクるのは流石にまずくないっすかね?」
「別に澪サンが私しか作るなって言いまわってるワケじゃねえだろ? 誰だってやってる事だ、構やしねえよ」
二人にしては大量のおにぎりを抱えた男が二人。
話の内容からすると飲食関係?
おにぎりをパクる……いや別にまずくないよ。
弁当にせよおにぎりにせよ、正直な話ウチとしては特許的なものを主張する気はさらさら無い。
大体よく考えてみて欲しい。
ここはツィーゲだ。
食文化としてははっきりいって米とは無縁の地域だ。
そしておにぎりも弁当も幅が広すぎて澪のスペシャルですと出すようなメニューでもない。
真似したいなら好きにやってくれていいし、それでツィーゲの冒険者以外の層に……欲張るなら一般の人たちにもお米食べる習慣が少しでも付いてくれたら嬉しいくらい。
今でこそわずかながら米を扱う飲食店も増えてきたし、クズノハ商会でも扱ってるけど米、ライスなんてのはサラダでたまに使われてるのを見る程度の代物だ。
圧倒的にパンや点心みたいな饅頭の方が強いんだよな。
「それに……」
「んだよ」
「米なんて仕入れた事ねえっす。扱い方もよくわかりゃしませんし……ここ以外でそうそう見かけねえのが気になります」
「つうと?」
「クズノハ商会お抱えの料理人だから扱えるような難しい食材だったら、俺たちじゃ持て余すんじゃねえかと」
「……じゃ、代わりに何で勝負すんだよ?」
「そ、それは……」
「オロシャ、てめえが慎重なのは臆病だからじゃねえってのは良く知ってるがよ。俺たちの今の状況、わかってるか?」
「が、崖っぷちっす」
「だな。わかってんじゃねえか。今回バトマさんに見捨てられたら俺らはここじゃ商売できねえ」
バトマ?
ははぁ、この二人あそこに抱えられてる……確か群れ、群れ、群商会!
それだ。
最近何かとごたごたしてるって聞いてるけど、何か問題ある感じか。
「は、はい」
「おにぎり以外、他の連中とまともに戦えそうな案、あんのか?」
兄貴分と弟分。
そんな雰囲気の二人だ。
オロシャって呼ばれてた方が下っぽいな。
「……考えつかないっす」
素直!
でも、実は何か考えてる様子もある。
なんだろうな、少し気になる。
中は識先生に任せてちょっと得意先回りでもしようかと思ったけど、もう少し聞いてみるか。
「その顔、実は考えてる事あんだろ。もう後がねえんだって、言ってみろよ」
「……実は旦那さんから駅ってもんの事を聞いて思ってた事があって」
「おう、聞かせてみ」
「携帯できる容器に飲み物を入れて売るのはありじゃないかって」
「!!」
「ただ、それだけだと弱えし中身をよっぽど考えねえとすぐパクられて終わっちまうと思ってて……」
……なるほど。
飲み物っていうのは凄く着眼点が良いような。
そして何の対策もしないとすぐに真似されて終わるってのもまたリアルな……。
「ノミモンか! そりゃありだぜオロシャ!」
「でもエツ兄、俺らそんなに飲み物に詳しい訳でもねえっす。酒も扱えねえし」
「おにぎりとセットで売るんだよ! 弁当の亜種みたいなもんだ! 容器は……まあ冒険者が使ってるようなの見て研究すりゃいいべ!」
「セット……そ、それは良い考えっす!」
「しゃ! じゃまずは木だ! 押さえに行くぜオロシャ!」
「木? すか?」
木?
メインのおにぎりはどこにいった?
「食い物と飲み物を入れる器は木だろ! 飲むもんなんぞ適当な茶と水、それに甘いのがあれば上等だろ。おにぎりは米を茹でて塩振って丸めるだけ! 器さえクリアすれば楽勝だ――」
「ええーー!?」
「な訳あるか!! 米なめんな!!」
「へ?」
「……あ」
ふざけた発言につい、口が出てしまった。
既に走り去ったエツ兄なる男は姿も見えず。
早速木材を見に行ったのだろう。
行動力だけは商人としても凄いものを持っている気がする。
パワーがある、とでもいおうか。
振り返って僕を見ている弟分、オロシャは思慮深い。
が、でもでもだってになりそうなネガティブさも感じる。
……。
上手くかみ合えばかなり相性が良い二人じゃなかろうか。
「あ、あの」
「……すまない。つい君たちの話声が耳に入ってきてしまった。つい余計な事を」
「いえ! もしかして、その」
あちゃー。
そりゃ店の近くだしバレるか。
「あー……」
「米か飲料に詳しい方ですか!?」
……あーそっちもあったか。
恥ずかしっ!!
ちょっと有名人になった気がして正体ばれちゃったよ的な空気出しちゃったのめっちゃ恥ずかしい!
「う、うん。そうなんだよ。実は、故郷が米をそこそこ食べる地域だったので」
「米を! じゃあこのお店には故郷の味を求めて?」
「そんな、ところだよ」
「……あ、質問ばかりしてしまってすみません。私、今はバトマ商会傘下で活動しているルシリー商会のオロシャと言います」
「ああ、オロシャさんか。私はクズノハ商会に荷を卸しているら、まこ、マゴットです」
「ラマコマゴットさん、ですか。クズノハ商会と取引があるとなればお忙しいのでしょうねえ」
ラマコッ!?
「……いえいえ、バトマ商会の参加で活動なさっているというと……話に聞く群商会という」
「ええ。お詳しいですね、主に屋台をやってる商会なんて名ばかりの下っ端も下っ端です」
オロシャの口調は若干自虐的だったけど、まあ事実だろう。
バトマ商会は弱い商会を囲う。
潰れないよう守っている一面もあるけど、飼い殺しにしている一面もある。
そもそも単体ではこの街で生き残っていけない商会の扱いというのは、難しい。
あのエツ兄もオロシャもまだかなり若いが……それだけにツィーゲで生き残る夢もまた強く持ってる、か。
「しかし、今は何やら明るそうな話題をしているようでしたね」
「明るく……もあるんですがそれだけでもなくて。最近旦那さん、バトマ商会の方針が変わってきましてね。ツィーゲでまともに商売ができないような弱小商会については切り離しも考えているみたいで」
「ふむ……」
「今回は確かにチャンスでもあるんです。若手や弱小商会のみを競わせて今後街の各所に出来るらしい駅という施設の内部、または付近で店をやる商会を決めるって企画でして」
へえ。
群商会を整理する気でいるのかな。
バトマさんも新生ツィーゲへの適応にむけて色々考えているとみえる。
まあ、このまま流されるままじゃ力は削がれる一方だし娘のアーシェスの方がアイドル業で稼ぐようになりかねないもんな。
親父としても頑張りどころか。
「それでおにぎりに目を付けましたか」
中々良いじゃないか。
まだまだツィーゲでは広まっていないお米とおにぎりを駅で売ってもらえるならこれは嬉しい事ですよ。
正直肉屋のライアンさんがライスを導入してくれるだけでも満足できるけど、より広がってくれるならその方が僕も嬉しい。
「兄貴、エッセンはそのつもりみたいです。不安しかないですが、すごく行動力はある人なんで頼りになるのも事実で……俺はどうも考えすぎて始めるところまでいかずにぐじぐじ悩んじまう性質で」
「どちらも商売には大事です。動くも止まるも信じるも疑うも」
「……あのラマコ、ラマさん」
もはや原型もない名前になった!?
まあ僕の名前も顔も知らない人と話すのも新鮮だし、ラマさんでもいいか。
にしても、肩書きとかを隠して話をするとなるとどうもな。
オロシャもエツ兄も多分三十前ってとこで、僕よりも年上だ。
年齢ってとこに引っ張られて結局丁寧に話してしまう。
もはやサガだな。
クズノハ商会のライドウとしてならまだ気を付けて話せるんだけどなあ。
「……なにか?」
「あまりお支払いは出来ないんですが、俺たちの勝負、どうか手助けしちゃもらえないでしょうか!」
「と言いますと?」
「米の扱いを、基本的なところだけでも教えて頂きたいんです! 兄貴が、エッセンが言ってたように茹でて塩振るだけじゃ駄目なんでしょう!?」
ああ、そういう事か。
米の炊き方くらいならまあ、ドワーフが調理器具面では随分頑張ってくれたから僕でも教えてあげられる程度ではある。
1セットの商談、か。
まさに肉屋を思い出す。
あの時は思いがけず無煙ロースター的なものが結構売れる結果になった。
今回もそう上手くいくとは思えないけれど、おにぎりに可能性を見出してくれるこの二人の力になるというのも悪くない。
少し長い気分転換になるかもしれないけど、ひとまず企画とやらの間付き合ってみようか。
「私としても米に親しむ者としておにぎりを褒めてくれる方のお力になりたい。あまり時間は取れませんがそれでもよければお二人の挑戦を支えてみましょうか」
「あ、ありがとうございます! では早速! 早速我がルシリー商会の事務所に! 狭いところですがご案内します!!」
オロシャに手を引かれて街の雑踏をかき分けていく。
バトマ商会が幾つの駅に店を置き商会に割り振るつもりなのかはわからない。
けれどそのうちの一つに米を売りにする所があっても面白い。
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