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閑話 ある日の宮中

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「お姉さま!次は私に抱っこさせてくださいまし」
「駄目よ漸く眠ったところなのに……それにあなたの小さいお手では無理よ?」
「お姉さまばっかりずるい!私だってあか様抱っこしたい!」
女一の宮と女四の宮が喧嘩をしている__私の子供をどっちが抱っこするかで。

微笑ましい光景ではあるが、そういえば女一の宮は結婚しないのだろうか?
(まあ夕霧の六の君さえ、薫か匂宮しかあり得ないってくらい婿君の取り合いみたくなってたそうだから現在相応しい公達が宮中にいないってことなんだろうけど)
そう思っていると、
「た 大変でございます!ただいま匂宮様がこちらに__」
女房が告げ終わるより早く、
「やあ、可愛い姪の顔を見に来たんだ」
と几帳から恋愛脳男匂宮が顔を出した。

「お兄様!」
とまだ幼い四の宮は抱きつくが、私と女一の宮は眉を顰めた。
私は無言で扇で顔を隠し、
「まあ__なんてなさりよう、女ばかりの部屋に踏み込んでくるなんて」
女一の宮が非難した。
「人聞きの悪い、俺たちは兄妹じゃないか。妹たちが歓談していると聞いて混ぜてもらおうとしただけだ。薫のヤツが俺から隠すせいで姪っ子の顔もろくに見せてもらえないからな」
「日頃の行いが悪いからでしょう、少しは薫の君を見習いませ」
「ああうるさいどいつもこいつも薫、薫と!だったら薫を次の東宮にしたらいい」
どっかと座り込み、女一の宮から姫を奪うように抱きかかえる。
(やめろ、お前に触れられたら孕みそうだ)
と心の中で悪態をつくが降嫁した身で発言するわけにもいかない。
(絶対後で薫と中君にチクってやる)
そう決心した織羽だったが、女一の宮の方が早かった。
中宮様お母さまにお知らせして頂戴」

__結果、匂宮は謹慎となり、ついでに女姉妹の宮達の住まう棟へは出禁になった。










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