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「ひゃ、百パーセント、なのか……?九十とかでなく?」
「今重要なのはそこじゃないです」
「う、うむ」
「はぁ。好きな子に上手く優しく出来ず辛く当たって嫌われちゃうパターンはよく聞きますが、まさか何も話さない理由がカッコつけたいとか弱音を吐けないからとか……それ夫婦になりようがないじゃないですか」
「いや、俺はリーアが傍にいてくれれば幸せだから__」
「私は不安でしょうがないです」
「リーア……」

(そんな綺麗な顔で哀しそうにしないでくださいよ)
「__私が苛めてるみたいじゃないですか……」
ボソッと小さく呟くと、
「君になら、苛められたって構わないぞ?」
「真面目に返さないで下さい。もう、幼い頃の約束なんて気にしなくて良いんですよ、エドワード様はどなたとでも、好きな方と結婚できるんです、よっ…!?」
最後のところでぐ、と腕を掴まれエドワードの胸元に抱き込まれた。
「どういう意味だ?」
見上げたエドワードの顔は憤怒に満ちていて、アルスリーアは身を竦ませる。

肩の震えに気付いたエドワードが慌てて籠めていた力を抜き、
「すまない、乱暴にしてしまって。けどリーア、今のはどういう意味?」
「どうって、そのままの」
言いかけた言葉は尻切れとんぼになる。
「君は俺に別の人と結婚して欲しいの?それがリーアの幸せ?」
そんなことは望んでいない。
「リーア?」
なのに、どうして今さら責めるの。
「……い、」
「え 今なん、」
「望んでない!今まで何も言わずに放置してたくせに今さらごめんとか好きだとか結婚だとか言うな!!」

「リ、」
「好きだったんならちゃんと言ってよ!手紙でも態度でもちゃんと示してよ!デビュタントに間に合わないのが分かり切ってて自然消滅狙ってたんじゃないならちゃんと知らせて!私は魔法使いじゃないから貴方の行動原理が私にあったかどうかなんてわからない、貴方がカッコつけて知らせなかったせいで全然わかんないわよ、昔も今も!お陰でこんなに可愛げのない頭でっかちに育っちゃったじゃない!」
「え 可愛げって、リーア?」
突然爆発したアルスリーアにエドワードはただアワアワしている。

「好きだから籍だけでも入れて行きたいって言ってくれれば無事を祈りながら待つ女の子でいられた、手紙でそう伝えてくれたら花嫁修行しながら待つ女の子にもなれた、せめてデビュタントまでに何かひとつでいいその想いの一部でも知らせてくれたら良かった……!」
そう叫ぶアルスリーアの瞳から大粒の涙が溢れ出てエドワードは言葉を失う。
「私は貴方の無事を祈りながら待つ女の子になれなかった、可愛いくて健気な貴方の理想にはなれなかった、ただの小賢しくて可愛げのない女にしかなれなかった……!」

「俺の理想が君じゃないなんて、誰が言ったんだ?」
(え?)
「ねぇリーア、教えて?」
涙を拭いながら尋ねるエドワードは這わせる指先は優しいのに、表情は酷く複雑だった。
___まるで怒りを押し殺しているように。
「だって、泣き虫の私を守りたくて騎士になったんですよね?」
「ああ」
「私に泣いて止められると困るから黙って行ったんですよね?」
「まあ、そうだね」
「で、私がおとなしく黙って待ってると思ってたんですよね?」
「う……まあそうだけど、」
「そういう女性が理想なんですよね?」
「うぅ……ん?」
「今の私は、貴方の理想からかけ離れちゃってますよね?」
「__は?」



















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