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Story2 三度目の出逢い
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3か月後…。
季節は夏になっていた。
あれから碧はバイクに触る余裕もないほど忙しい日々を送っていた。
「碧さん」
「ん?なーに?」
「そろそろ休みを取って下さいね」
「そうねぇ…」
スタッフが声をかけてきた。
「倒れるまで働くんじゃなくて
ユックリ過ごす休日ですよ。
前回は3か月前ですから」
『あの時か…』
「季節だって変わってますし。
リフレッシュも必要です。
はいっ!…という事で、もう
仕事はオフして下さーい!」
「えっ…もう?だって…今、
これだけでも…」
「ダメです!碧さんは誰かが
ストップかけないと、いつまでも
仕事してますから。スタッフが
休む為にも、まずは碧さんが
休みを取って、あとは私達に
任せて下さい」
「わかりました。それじゃあ、
後は任せた!ほーんと…
どちらが上司なんだろうねー。
でも、いつもありがとうね」
スタッフに仕事を任せ、休みが取れた碧は相棒のバイクでいつものカフェへ向かう事にした。
久しぶりの相棒は快調な走りで気持ち良い風を感じた。
カフェに到着した碧は、何も考えずにコーヒーを飲みながら
窓の外を見ていた。この静かな時間が碧は好きだった。しばらくすると、そこにタミオがやって来た。
「タミオさん…ですよね?
お久しぶりです」
「この間はどうも。覚えていて
くれたんだ」
「はい。あの時バイクに 挟まって
いたメモ見ました。タミオさん
も元気そうですね」
「元気!元気!あのメモか。
飛ばなくて良かった。そうだ!
次に会えたら名前を聞こうと
思ってたんだ」
「そう言えば言ってなかった
ですよね。碧って言います。
3度目の偶然…ホントに
ありましたね」
「ホントだね。嬉しいなー。
碧さんか…ステキな名前だね。
改めてタミオです。よろしく」
「こちらこそ。そう言えば
ラジオ、聴きましたよー!」
「えっ…ホント?聴いてない
だろうと思ってたから。
なんか恥ずかしいな」
「フフっ…いつも、あの番組は
好きで、よく聴いているんです。
なんだか、聴いたことある声の
人が喋ってるな…とは思ったん
ですけど…名前を紹介されたら
メモと同じ名前で驚きましたよ。
ミュージシャンなんですね」
「まだデビューしてないけどね。
今度ライブも聴きに来てよ。
今日は?また海へ行くの?」
「いえ、今日と明日休みなので、
たまには山の方まで走りたいなと
思ってます」
「それなら一緒に行こうよ!」
「えっ?一緒に?」
「絶景ポイントがあるんだ。
行こう!」
そういうとタミオは碧の手を引きバイクへ向かった。3か月ぶりに相棒を走らせたら意外と早く着いた。3度目の偶然。それだけでも驚くべき出来事なのに、一緒に山へ行くことになるなんて…。
「一緒に行くのが心配?」
「いえ、そんな…」
「絶対気に入ると思うよ」
タミオの後ろを追いかけて、バイクを走らせ山へ向かった。辿り着いた先には、息を呑むほどの絶景が待っていた。
「凄い…」
疲れているのだろうか…いや…違う。碧は絶景を見た瞬間、涙があふれた。
「ありがとう。これは嬉しい」
「凄いでしょ?絶景だよねー。
何度来ても感動するわぁー。
そうだ!今度はキャンプにも
行こうよ」
「キャンプ?」
「そう。現地で一通りレンタル
出来るから揃える必要もなくて
初心者でも安心して利用できる
所なんだよ。だから今度一緒に
行こうよ!」
「えっ…あっ…ハイ」
「それと、その敬語…やめない?
多分変わらないでしょ?」
「この間、ラジオで話してるの
聞いたら1つしか違わないから
ビックリしま…いや、した」
「でしょ?もうこの年齢になったら
同年代一緒だよ。だから敬語は
ナシ!OK?」
「ありがとう」
碧は積極的なタミオに戸惑っていたが、次にまた会える約束が楽しみになっている自分もいた。でも連絡先を交換するのは早いと思い、約束の日にちと場所を決めて待ち合わせる事にした。
そしてキャンプ当日。
待ち合わせの場所に向かうと、すでにタミオが待っていた。
「おはよう。お待たせ!」
「おっ!おはよう。行こうか」
タミオの後ろ姿を追うように、碧もバイクを走らせた。目的地に到着すると、整備されたキレイなキャンプ場だった。タミオは受付もキャンプのセッティングも、手慣れた様子でサクサクとこなしていた。
「何か手伝うこと…ない?」
「料理の時に少し手伝って
もらうから、今は大丈夫。
とりあえずオレに任せて」
碧は女の子として扱ってもらえていることが新鮮で嬉しかった。
「ハイ、熱いうちにどうぞ」
あっという間に料理までしてくれた。
「ありがとう。ほとんど
手伝えなくてゴメンね」
「オレがやりたくてやってる
だけだから気にしないで。
女の子に危ない事は
させられないから」
久しぶりにそんな事を言われて碧はドキッとした。
「女の子って…年でもないよ」
「オレにとって碧ちゃんは
女の子だよ。でも今度は、
何か作ってほしいな」
「いいですよ。何、作ろっかなー」
どうせ冗談だろうと思い、何となく返事をしてみたものの…本当は次の約束があるみたいで嬉しい気持ちを隠すのに精一杯だった。
「そうそう!今度ライブやるんだ!
招待するから碧ちゃんも来てよ」
「えっ…うん。ありがとう」
健全なキャンプデートを楽しんだ2人は同じ道をたどり、いつものカフェまでバイクを走らせた。
「楽しかったー!誘ってくれて
どうもありがとう」
「オレも楽しかったよ。ライブも
必ず観に来て。碧ちゃんが
来てくれたら頑張れるからさ」
「うん、楽しみにしてる」
「それじゃあ、碧ちゃんまたね」
「タミオさんも気を付けて…」
普段なら相手のペースに合わせるなんて仕事以外は絶対しないけど、タミオとは違った。ライブにも行ってみたかった。タミオのペースで次々と予定が決まっていく事に戸惑いながらも、いつもと違うワクワクした気持ちもあった。
季節は夏になっていた。
あれから碧はバイクに触る余裕もないほど忙しい日々を送っていた。
「碧さん」
「ん?なーに?」
「そろそろ休みを取って下さいね」
「そうねぇ…」
スタッフが声をかけてきた。
「倒れるまで働くんじゃなくて
ユックリ過ごす休日ですよ。
前回は3か月前ですから」
『あの時か…』
「季節だって変わってますし。
リフレッシュも必要です。
はいっ!…という事で、もう
仕事はオフして下さーい!」
「えっ…もう?だって…今、
これだけでも…」
「ダメです!碧さんは誰かが
ストップかけないと、いつまでも
仕事してますから。スタッフが
休む為にも、まずは碧さんが
休みを取って、あとは私達に
任せて下さい」
「わかりました。それじゃあ、
後は任せた!ほーんと…
どちらが上司なんだろうねー。
でも、いつもありがとうね」
スタッフに仕事を任せ、休みが取れた碧は相棒のバイクでいつものカフェへ向かう事にした。
久しぶりの相棒は快調な走りで気持ち良い風を感じた。
カフェに到着した碧は、何も考えずにコーヒーを飲みながら
窓の外を見ていた。この静かな時間が碧は好きだった。しばらくすると、そこにタミオがやって来た。
「タミオさん…ですよね?
お久しぶりです」
「この間はどうも。覚えていて
くれたんだ」
「はい。あの時バイクに 挟まって
いたメモ見ました。タミオさん
も元気そうですね」
「元気!元気!あのメモか。
飛ばなくて良かった。そうだ!
次に会えたら名前を聞こうと
思ってたんだ」
「そう言えば言ってなかった
ですよね。碧って言います。
3度目の偶然…ホントに
ありましたね」
「ホントだね。嬉しいなー。
碧さんか…ステキな名前だね。
改めてタミオです。よろしく」
「こちらこそ。そう言えば
ラジオ、聴きましたよー!」
「えっ…ホント?聴いてない
だろうと思ってたから。
なんか恥ずかしいな」
「フフっ…いつも、あの番組は
好きで、よく聴いているんです。
なんだか、聴いたことある声の
人が喋ってるな…とは思ったん
ですけど…名前を紹介されたら
メモと同じ名前で驚きましたよ。
ミュージシャンなんですね」
「まだデビューしてないけどね。
今度ライブも聴きに来てよ。
今日は?また海へ行くの?」
「いえ、今日と明日休みなので、
たまには山の方まで走りたいなと
思ってます」
「それなら一緒に行こうよ!」
「えっ?一緒に?」
「絶景ポイントがあるんだ。
行こう!」
そういうとタミオは碧の手を引きバイクへ向かった。3か月ぶりに相棒を走らせたら意外と早く着いた。3度目の偶然。それだけでも驚くべき出来事なのに、一緒に山へ行くことになるなんて…。
「一緒に行くのが心配?」
「いえ、そんな…」
「絶対気に入ると思うよ」
タミオの後ろを追いかけて、バイクを走らせ山へ向かった。辿り着いた先には、息を呑むほどの絶景が待っていた。
「凄い…」
疲れているのだろうか…いや…違う。碧は絶景を見た瞬間、涙があふれた。
「ありがとう。これは嬉しい」
「凄いでしょ?絶景だよねー。
何度来ても感動するわぁー。
そうだ!今度はキャンプにも
行こうよ」
「キャンプ?」
「そう。現地で一通りレンタル
出来るから揃える必要もなくて
初心者でも安心して利用できる
所なんだよ。だから今度一緒に
行こうよ!」
「えっ…あっ…ハイ」
「それと、その敬語…やめない?
多分変わらないでしょ?」
「この間、ラジオで話してるの
聞いたら1つしか違わないから
ビックリしま…いや、した」
「でしょ?もうこの年齢になったら
同年代一緒だよ。だから敬語は
ナシ!OK?」
「ありがとう」
碧は積極的なタミオに戸惑っていたが、次にまた会える約束が楽しみになっている自分もいた。でも連絡先を交換するのは早いと思い、約束の日にちと場所を決めて待ち合わせる事にした。
そしてキャンプ当日。
待ち合わせの場所に向かうと、すでにタミオが待っていた。
「おはよう。お待たせ!」
「おっ!おはよう。行こうか」
タミオの後ろ姿を追うように、碧もバイクを走らせた。目的地に到着すると、整備されたキレイなキャンプ場だった。タミオは受付もキャンプのセッティングも、手慣れた様子でサクサクとこなしていた。
「何か手伝うこと…ない?」
「料理の時に少し手伝って
もらうから、今は大丈夫。
とりあえずオレに任せて」
碧は女の子として扱ってもらえていることが新鮮で嬉しかった。
「ハイ、熱いうちにどうぞ」
あっという間に料理までしてくれた。
「ありがとう。ほとんど
手伝えなくてゴメンね」
「オレがやりたくてやってる
だけだから気にしないで。
女の子に危ない事は
させられないから」
久しぶりにそんな事を言われて碧はドキッとした。
「女の子って…年でもないよ」
「オレにとって碧ちゃんは
女の子だよ。でも今度は、
何か作ってほしいな」
「いいですよ。何、作ろっかなー」
どうせ冗談だろうと思い、何となく返事をしてみたものの…本当は次の約束があるみたいで嬉しい気持ちを隠すのに精一杯だった。
「そうそう!今度ライブやるんだ!
招待するから碧ちゃんも来てよ」
「えっ…うん。ありがとう」
健全なキャンプデートを楽しんだ2人は同じ道をたどり、いつものカフェまでバイクを走らせた。
「楽しかったー!誘ってくれて
どうもありがとう」
「オレも楽しかったよ。ライブも
必ず観に来て。碧ちゃんが
来てくれたら頑張れるからさ」
「うん、楽しみにしてる」
「それじゃあ、碧ちゃんまたね」
「タミオさんも気を付けて…」
普段なら相手のペースに合わせるなんて仕事以外は絶対しないけど、タミオとは違った。ライブにも行ってみたかった。タミオのペースで次々と予定が決まっていく事に戸惑いながらも、いつもと違うワクワクした気持ちもあった。
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