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Story4 2人だけの秘密
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「もしもし?」
「タミオさんの携帯ですか?」
「ハイ、そうですけど…。
もしかして碧ちゃん?」
思い切ってかけてみたら物凄く早く出てくれた。
「ハイ。お忙しかったら
スミマセン。今、お時間
大丈夫ですか?」
「大丈夫。もう家にいるから」
「そうですか…良かった」
「また敬語になってるよ。
緊張してる?」
「あっ…確かに」
「ま、いっか。嬉しいよ。
ありがとうね。
電話待ってたんだ。
かけてくれるかなって」
本当に待っててくれたんだ。ちょっと嬉しかった。
「そうだ!今日は来てくれて
ありがとう。楽屋まで来て
くれたのに、ゆっくり
話せなくてゴメンね」
「いえいえ…こちらこそ。
お疲れのところ押しかけて
しまって…。ライブ、
とっても楽しかったです!
そういえば…新曲!一気に
書き上げたって言ってた
あの曲。とっても良かった
です!」
「ありがとう。あの曲は
碧ちゃんに会ってなかったら
書いてなかったから、
オレのほうこそ感謝だよ」
「そんな…それより私との
エピソード上げて大丈夫?
ファンもたくさんいるのに」
「大丈夫だよー。名前も、
性別も明かしてないから
わからないよ」
「そういう問題?」
「そういう問題!」
思わず2人で笑った。でも2人だけの秘密が増えたみたいで嬉しかった。
「でもデビュー前だし、
その話は控えた方が
良いんじゃないかな」
「確かにスタッフには少し
言われた。まぁオレは
隠したくないけどね」
「それからバイクも。余計な
お世話かもしれないけど、
気を付けて。今は特に大切な
身体だと思うので」
「ありがとう。優しいね」
「いえ。何となく…ケガとか
しないか気になっただけ」
「今度はオレからも…電話して
良いかな?」
「あっ…うん」
「ありがとう」
「ライブって…しばらく
続くんでしょ?」
「うん。もう少し続くかな…」
「それじゃあ、疲れている
だろうから休んで。
身体に気を付けて」
「うん。また電話する」
「今日はありがとう。
おやすみなさい」
「おやすみ」
本当は、緊張して何を話していたのかわからなかった。仕事の電話はスムーズにいくのに、なぜこういう電話は緊張するのだろう…。そんな事を考えながらも、それでも電話で話せたことが嬉しいと眠りについた。
タミオのライブは朝の情報番組にも取り上げられ、注目のアーティストとして、どんどん人気が出ていた。
時々…TVやネットでタミオの名前を見かけたが、忙しい日々が続いているのか電話がかかってくる事はなかった。
碧も同様に忙しい日々を過ごし話せる暇などなかった。それでも、ライブの夜の電話を思い出すと少し寂しかった。
数ヶ月経ち…碧は、タミオのライブが大成功に終わったというネットの記事を見た。ホッとしたその夜、一本の電話が鳴った。
「もしもし…」
「もしもし碧ちゃん?
忙しくて、なかなか連絡
出来なくてさ。やっと
終わったよ」
「いえ…私も忙しかったから。
それよりTV、観たよー!
ライブの成功おめでとう。
それからお疲れ様」
「ありがとう。あの、さ…
しばらく休みもらえたから
またツーリング行かない?」
「ごめんなさい。私の方は
しばらく忙しいんだ」
「そう…なんだ。残念。
明日は話せるかな?」
「明日は何時に終わるか
わからなくて、もしかしたら
夜中になるかもしれないけど
それでもいい?」
「待ってる。声が聴きたい」
碧は嬉しかった。私も話したい!と、ずっと思っていた。
「わかった。連絡するね」
「うん。仕事頑張って。
おやすみ」
「ありがとう。おやすみ」
そして次の日。
碧は仕事が長引いて帰りは深夜0時を過ぎていた。
「もしもし、碧ちゃん?」
「遅くなってごめんね。
今、帰って来たんだ」
「おかえり。お疲れ様。
電話してって言ったの
オレだし。ありがとうね。
声が聞けて本当に嬉しいよ」
「ありがとう。私も嬉しい」
「でもさ、大丈夫?こんな
遅くまで碧ちゃんを
働かせるなんて…」
「まあ、自分の会社だからね」
「身体壊さないようにね。
しっかり食べて、眠って…
碧ちゃん?」
「・・・」
「寝ちゃったか…電話して
くれてありがとう。また
話そうね…。おやすみ」
気づけば携帯を持ったまま碧は眠っていた。タミオは静かに電話を切り、次はいつ会えるだろう…と考えていた。
数日が経ったある夜…碧の携帯が鳴った。
「もしもし…」
「もしもし碧ちゃん?
久しぶり。どうしてるかな
と思って。今日は早いね」
「最近忙しかったから、
早く帰らせてもらったの。
もう横になってた」
「大丈夫?疲れた声してるね。
碧ちゃんは見かけによらず
結構頑張る人だからさ…。
心配だったんだけど。
やっぱり無理し過ぎだよー」
「体力には自信あるからね。
寝れば治る!」
「ちゃんと食べてる?」
「食べてるよ」
「それなら明日、一緒に
気分転換しない?」
「ごめん。さすがに疲れてて
明日は一日寝てる予定…」
「わかった。とにかく休んで。
また連絡するよ」
「ありがと」
電話を切って30分後。インターホンが鳴った。画面にはスタッフが映っていた。
「どうしたの?」
「実は会社にタミオさんが
いらっしゃいまして…」
「えっ…」
「お見舞いだとかで色々
置いていかれました。
突然行くのは迷惑になる
だろうからって、代わりに
渡してほしいとのことで…」
「わかった。待ってて」
碧が玄関の扉を開けるとたくさんの荷物を抱えたスタッフがいた。すぐに受け取ると、スタッフは話を続けた。
「私もびっくりしましたよ。
まさか有名人が来るとは
思わなかったし…。
パーティーでもあるのかって
量なんですから…」
「本当だね。届けてくれて
ありがとう。あっ、でも。
タミオさんが会社に
来たことは内緒ね」
「了解です。なんか私達まで
芸能人みたいですね。
それじゃあ、ちゃんと休んで
下さいね」
スタッフが帰ると、碧はタミオに連絡した。
「もしもし碧ちゃん?」
「もしもし?タミオさん、
たくさんのお見舞いを
どうもありがとう。
今、スタッフが家まで
届けに来てくれました。
でも何で…私の会社に?」
「家の場所を聞こうかとも
思ったけど、突然行ったら
警戒されると思ったから
会社の人に頼んだんだ。
とにかく心配だったから…」
「ありがとう」
「それだけだから。驚かせて
ごめんね…お大事に」
「待って。切らないで…」
「ん?」
「あの…」
「どうした?」
「会いたい…タミオさんに」
「今から?」
「ダメ…かな?」
「そこの場所を教えて。
スグに行くから」
誰かに甘えたのは初めてだった。
場所を教えるとタミオはバイクを飛ばして来てくれた。玄関チャイムが鳴り扉を開けると、タミオは家に入るなり突然、碧を抱きしめた。
「すごく心配だった。
本当はオレも…碧ちゃんに
会いたかったから」
「来てくれてありがとう」
しばらくタミオの腕の中にいた碧も静かに背中に腕を回した。
「タミオさんの携帯ですか?」
「ハイ、そうですけど…。
もしかして碧ちゃん?」
思い切ってかけてみたら物凄く早く出てくれた。
「ハイ。お忙しかったら
スミマセン。今、お時間
大丈夫ですか?」
「大丈夫。もう家にいるから」
「そうですか…良かった」
「また敬語になってるよ。
緊張してる?」
「あっ…確かに」
「ま、いっか。嬉しいよ。
ありがとうね。
電話待ってたんだ。
かけてくれるかなって」
本当に待っててくれたんだ。ちょっと嬉しかった。
「そうだ!今日は来てくれて
ありがとう。楽屋まで来て
くれたのに、ゆっくり
話せなくてゴメンね」
「いえいえ…こちらこそ。
お疲れのところ押しかけて
しまって…。ライブ、
とっても楽しかったです!
そういえば…新曲!一気に
書き上げたって言ってた
あの曲。とっても良かった
です!」
「ありがとう。あの曲は
碧ちゃんに会ってなかったら
書いてなかったから、
オレのほうこそ感謝だよ」
「そんな…それより私との
エピソード上げて大丈夫?
ファンもたくさんいるのに」
「大丈夫だよー。名前も、
性別も明かしてないから
わからないよ」
「そういう問題?」
「そういう問題!」
思わず2人で笑った。でも2人だけの秘密が増えたみたいで嬉しかった。
「でもデビュー前だし、
その話は控えた方が
良いんじゃないかな」
「確かにスタッフには少し
言われた。まぁオレは
隠したくないけどね」
「それからバイクも。余計な
お世話かもしれないけど、
気を付けて。今は特に大切な
身体だと思うので」
「ありがとう。優しいね」
「いえ。何となく…ケガとか
しないか気になっただけ」
「今度はオレからも…電話して
良いかな?」
「あっ…うん」
「ありがとう」
「ライブって…しばらく
続くんでしょ?」
「うん。もう少し続くかな…」
「それじゃあ、疲れている
だろうから休んで。
身体に気を付けて」
「うん。また電話する」
「今日はありがとう。
おやすみなさい」
「おやすみ」
本当は、緊張して何を話していたのかわからなかった。仕事の電話はスムーズにいくのに、なぜこういう電話は緊張するのだろう…。そんな事を考えながらも、それでも電話で話せたことが嬉しいと眠りについた。
タミオのライブは朝の情報番組にも取り上げられ、注目のアーティストとして、どんどん人気が出ていた。
時々…TVやネットでタミオの名前を見かけたが、忙しい日々が続いているのか電話がかかってくる事はなかった。
碧も同様に忙しい日々を過ごし話せる暇などなかった。それでも、ライブの夜の電話を思い出すと少し寂しかった。
数ヶ月経ち…碧は、タミオのライブが大成功に終わったというネットの記事を見た。ホッとしたその夜、一本の電話が鳴った。
「もしもし…」
「もしもし碧ちゃん?
忙しくて、なかなか連絡
出来なくてさ。やっと
終わったよ」
「いえ…私も忙しかったから。
それよりTV、観たよー!
ライブの成功おめでとう。
それからお疲れ様」
「ありがとう。あの、さ…
しばらく休みもらえたから
またツーリング行かない?」
「ごめんなさい。私の方は
しばらく忙しいんだ」
「そう…なんだ。残念。
明日は話せるかな?」
「明日は何時に終わるか
わからなくて、もしかしたら
夜中になるかもしれないけど
それでもいい?」
「待ってる。声が聴きたい」
碧は嬉しかった。私も話したい!と、ずっと思っていた。
「わかった。連絡するね」
「うん。仕事頑張って。
おやすみ」
「ありがとう。おやすみ」
そして次の日。
碧は仕事が長引いて帰りは深夜0時を過ぎていた。
「もしもし、碧ちゃん?」
「遅くなってごめんね。
今、帰って来たんだ」
「おかえり。お疲れ様。
電話してって言ったの
オレだし。ありがとうね。
声が聞けて本当に嬉しいよ」
「ありがとう。私も嬉しい」
「でもさ、大丈夫?こんな
遅くまで碧ちゃんを
働かせるなんて…」
「まあ、自分の会社だからね」
「身体壊さないようにね。
しっかり食べて、眠って…
碧ちゃん?」
「・・・」
「寝ちゃったか…電話して
くれてありがとう。また
話そうね…。おやすみ」
気づけば携帯を持ったまま碧は眠っていた。タミオは静かに電話を切り、次はいつ会えるだろう…と考えていた。
数日が経ったある夜…碧の携帯が鳴った。
「もしもし…」
「もしもし碧ちゃん?
久しぶり。どうしてるかな
と思って。今日は早いね」
「最近忙しかったから、
早く帰らせてもらったの。
もう横になってた」
「大丈夫?疲れた声してるね。
碧ちゃんは見かけによらず
結構頑張る人だからさ…。
心配だったんだけど。
やっぱり無理し過ぎだよー」
「体力には自信あるからね。
寝れば治る!」
「ちゃんと食べてる?」
「食べてるよ」
「それなら明日、一緒に
気分転換しない?」
「ごめん。さすがに疲れてて
明日は一日寝てる予定…」
「わかった。とにかく休んで。
また連絡するよ」
「ありがと」
電話を切って30分後。インターホンが鳴った。画面にはスタッフが映っていた。
「どうしたの?」
「実は会社にタミオさんが
いらっしゃいまして…」
「えっ…」
「お見舞いだとかで色々
置いていかれました。
突然行くのは迷惑になる
だろうからって、代わりに
渡してほしいとのことで…」
「わかった。待ってて」
碧が玄関の扉を開けるとたくさんの荷物を抱えたスタッフがいた。すぐに受け取ると、スタッフは話を続けた。
「私もびっくりしましたよ。
まさか有名人が来るとは
思わなかったし…。
パーティーでもあるのかって
量なんですから…」
「本当だね。届けてくれて
ありがとう。あっ、でも。
タミオさんが会社に
来たことは内緒ね」
「了解です。なんか私達まで
芸能人みたいですね。
それじゃあ、ちゃんと休んで
下さいね」
スタッフが帰ると、碧はタミオに連絡した。
「もしもし碧ちゃん?」
「もしもし?タミオさん、
たくさんのお見舞いを
どうもありがとう。
今、スタッフが家まで
届けに来てくれました。
でも何で…私の会社に?」
「家の場所を聞こうかとも
思ったけど、突然行ったら
警戒されると思ったから
会社の人に頼んだんだ。
とにかく心配だったから…」
「ありがとう」
「それだけだから。驚かせて
ごめんね…お大事に」
「待って。切らないで…」
「ん?」
「あの…」
「どうした?」
「会いたい…タミオさんに」
「今から?」
「ダメ…かな?」
「そこの場所を教えて。
スグに行くから」
誰かに甘えたのは初めてだった。
場所を教えるとタミオはバイクを飛ばして来てくれた。玄関チャイムが鳴り扉を開けると、タミオは家に入るなり突然、碧を抱きしめた。
「すごく心配だった。
本当はオレも…碧ちゃんに
会いたかったから」
「来てくれてありがとう」
しばらくタミオの腕の中にいた碧も静かに背中に腕を回した。
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