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第4章 ヤーベ、異世界で初めての街ではっちゃける!

第27話 ギルドマスターを納得させよう

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イリーナの横を走っている俺。
おお、町中を歩く感覚。
ちょっと感動だ。
結構人の往来があるな。人にぶつからない様に走ろう・・・、いや、なぜ走ってる?

「おい、イリーナ。そう言えばなぜ走ってる?」

「んん? キャサリンの店から慌てて出て来たからではないか?」

「じゃあもう急ぐ意味ねーよ!」

「ああ、そうか」

というわけで、ギルドへは歩いていこう。
ゆっくり歩くとなると大通りの屋台も気になって来るな。

「うまそーだなぁ・・・」

連なる屋台からは煮物や焼き物のいい匂いがしてくる。

「ヤーベ殿、何か食べようか?」

イリーナがにっこりして聞いてくる。

「魔物の換金はまだだが、お金は大丈夫か?」

「もちろんだ、それほどあるわけじゃないが、屋台で食べるくらいは問題ないぞ」

イリーナの言葉に早速屋台を覗きに行く。

「肉だぞ、肉」

「らっしゃい!今日は新鮮なホーンラビットの肉が入ってるから、串焼きうまいぜ!」

「こっちは珍しいジャイアントバイパーの串焼きだ!どうだい?」

「さらにこっちはオークの煮込みだ!定番だが病みつきな味ですぜ~」

お、オークはまだ食べたことないな。煮込み買うか。

「今日だけだよ~、フォレストリザードの新鮮肉は今日だけだ~、塩焼きタレ焼き二種類とも銅貨五枚だよ~」

ちょっとのんびりした親父が呼び込みしてる。フォレストリザードって森蜥蜴ってことだよな? トカゲって固そうなイメージあるけど、今日だけなんて言われると気になるよね~。限定に弱いの、俺。

「おっちゃん!タレ、塩、二本ずつね! こっちの子とそれぞれ一本ずつちょーだい!」

「あいよ!」

「イリーナ、お金よろしく」

「ああ。店主、これで頼む」

イリーナは銀貨を二枚渡す。

「まいどっ!」

景気よく返事して、出来上がった串を渡してくる。

「待ってました!」

待ちきれないとばかり、串を受け取ろうと手を伸ばす。

「うわわわっ!」

店主が串を頬り投げる。おっとアブナイ、俺はひょいひょいっと串をキャッチする。

「危ないな、どうした?」

と店主に声を掛けながら、あっ、と気がつく。俺の手、触手だよ~。俺のバカ!

「いやなに、昔、魔物にちょっとね・・・」

「お、おう・・・そうか、アンタも大変だったんだな。もう一本サービスしとくよ」

そう言って塩焼きを一本寄越してくれる。
変な同情を買ってしまったが、くれるならありがたく貰おう。

「はい、イリーナ」

「ありがとう! ハフハフ、なかなかおいしいんだな! フォレストリザードというやつは」

「うん、うまいっ!」

一切れをヒヨコ隊長にやって自分も食べきる。
ああ・・・町に来てよかった。

「あ、ヤーベ殿、そろそろギルドに行くとしようか」

「その前に雑貨屋へ行って手袋買おう」

俺は食べきった串を屋台の親父に返して、雑貨屋で皮手袋を買ってから冒険者ギルドに向かった。





バンッ!

ギルドの大扉を叩き開けるようにイリーナが飛び込む。

「ギルドマスターはいるか! 師匠を連れて来たぞ!」

「来たか・・・こっちへ来い」

といってカウンターを指さす。自身はすでにカウンターの反対側に座っていた。

「そこへ座れ」

イリーナはドカリと座ると早速ギルドマスターに食って掛かる。

「さあ!我が師匠のヤーベ殿を連れてきたぞ!」

イリーナさんめちゃくちゃ気合入ってるね。何で?
そんなに魔物の買取金が欲しいのかな?まあ、俺も買取金額で買い物しようって当て込んでるけどね!

「で、お前の師匠とやらがその怪しいローブの魔導士ってことか?」

「怪しいとは失礼な! 我が師匠のヤーベ殿は素晴らしい方なのだぞ!」

プリプリと怒るイリーナ。
そこまで言われると逆に恥ずかしくなってくるね。

「で、名前は?」

俺の方を向いて質問してくる。鋭い眼光だ。威圧してくるつもりか?

「・・・ヤーベだ」

魔導士の杖をカツンと床について名を答える。

「師匠は何でも知っている、まさしく森の賢者と言っても過言ではないぞ!」

イリーナが俺を賢者だと持ち上げる。

「いや、俺は賢者ではない」

「師匠?」

「そう、俺を呼ぶなら大魔導士と呼んでくれ」

昔大ファンだった某有名な伝説の冒険漫画の魔法使いが言うセリフを思い出す。

「何が大魔導士だ・・・」

むっ!コイツ、ぐるぐるエネルギーが右目に集中していく。

「ぐわわっ! やっぱり目がぁ! 目がぁ!」

再びどこかの大佐の様に目を抑えて苦しむギルドマスター。なんで?

「くそ・・・! やはり分離している・・・」

右目を抑え苦しそうに呟く。怪しいクスリやってるわけじゃないよね?

再びぐるぐるエネルギーが右目に集まって行く。
懲りない人だね。

「むうっ? ・・・たったの5だと・・・?」

イリーナを見ながら呟くギルドマスター。何が5なの?
そしてこっちを見る。



ブバッ!



いきなり鼻血を吹き出すギルドマスター。あれ? 前も吹いてた?


じょろろろろろ~


んんっ?

何かしら漏らした音してない? 大丈夫?

「ごごご・・・53万だと・・・? やはり間違いないのか・・・?」

超高速でぷるぷる震え続けるギルドマスター。

「ギ、ギルドマスター大丈夫ですか? 裏で少し休みましょう」

といってギルド職員の女性に肩を支えてもらい移動していく。
なんだが足元濡れてますけど?

「お、おおい! 換金はどうなるのだ!?」

イリーナががたんと椅子から立ち上がりギルドマスターの背中に声をぶつける。

「換金査定は終わっておる・・・カウンターで受け取れ」

そう言ってギルド職員の肩を借りながら奥の部屋へ入って行ってしまったギルドマスター。
なんか知らんが、話はこれで終わりのようだ。
それならカウンターで討伐した魔物の換金額を受け取って買い物に行こう。

「イリーナ、早速換金額を受け取ろう」

「わかった。早速だが買取金額を頼む」

買取カウンターの受付嬢に声を掛けるイリーナ。

「はい、承っております。こちらが買い取り額の金貨二百二十五枚となります」

「わわっ!」

ずっしりとした革袋を受け取るイリーナ。

「師匠!すごいぞ!」

「そうだな、やっと買い物できるし、宿に宿泊できるな」

「お師匠様のギルド登録はなさいますか?」

「いや、俺はいいよ」

事務的に尋ねてくるギルド嬢に俺は答える。

「さあ、行こうかイリーナ」

俺は魔導士の杖で床をコンコンと突いて立ち上がると、ギルドを後にした。

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