幼少期に相思相愛だった相手に婚約を申し込んだら袖にされた。 十二年疎遠だったから無理もない? 私たちは毎夜語らっていたのになぜ……。

川嶋マサヒロ

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33「出撃! 聖域部隊」

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 サンクチュアリアッツァの聖域の精鋭メンバーは難しい顔をしていた。
 魔獣狩りに執念を燃やすごく普通の学生たちだ。現在は男女共に同数の五対五。マッチングとしてはベストパーティー編成となっていた。
「ああんっ、もうっ! カンベンしてよね-」
 たまらないとばかりにグランドーニ・コンチェッタ嬢は窓を全開にした。女子たちが殺到し深呼吸する。
「戦士たちの血と汗が染みこんだ部屋さ。これが戦場の香りだよ……」
 リーダーは腕を組み、目をつむったまま呟く。やっと手に入れた拠点。今は使われていない離れの元体育用具倉庫を借り受けたのだ。
 クレートは同じ彫刻科のコンチェッタを誘って、この冒険サークルを立ち上げた。
「単に汚れ物の匂いでしょ、これ。もっと良い場所はなかったのかしら」
「学生自治会に頼み込んで、やっとここを貸りられたんだ。贅沢は言えない」
「実績ゼロのサークルだものね」
「今日はその実績の話をしたい」
「いよいよ本格的に始動か。腕が鳴るぜ」
 クレートに誘われ参加したオレステは当初からこの企画にノリノリであった。
「ああ、やってやるぜ! でその実績って何だ?」
 親友のバルドもまた積極的メンバーだ。意気盛んな二人である。しかし女子たちは、全員現実を理解していた。
「西の開拓地で大規模な戦闘があったそうだ。そこを調査して悪魔の陰謀を、僕たち【サンクチュアリ】が突き止める」
「知ってる?」
 コンチェッタは隣のフランチェスカに話を振る。
「さあ? 知らないわ」
 知らないと言いつつも狼狽を隠そうとする。フランチェスカは、まさか・・・と思ってしまった。
「どこで聞いたの?」
「僕の屋敷の使用人が酒場で耳打ちされたそうだ。確実な情報だよ」
「その人が目撃したのかしら?」
 皆に聞かせるため、コンチェッタはさら追求する。
「いや、その目撃者も誰かから聞いたそうだ」
「その人を目撃者とは言わないのよっ!」
 皆が笑いを噛み殺す。
「まっ、まあ。それもそうだね……」
「フランチェスカは西の教会によく行てるわよね。あそこってそんなに危ないの?」
「ううん、平和な開拓地よ」
「ねっ、ただの噂でしょ? 人から人に伝わるうちに話が大きくなったのよ」
「具体的にどんな戦闘だったんだい」
 オレステはまだまだ夢を見ている男だ。
「敵は見たこともない異形の魔獣。たった一人が戦いを挑んでいたようだ」
「無茶だよ。一人でなんて……」
「パーティー単位じゃなく一人はなあ……」
 バルドの呟きにオレステは揺らぐ。現実味のない話だったからだ。
 難敵には様々なスキルを複合的に使って挑む。それがパーティーを組む理由だ。騎士団とて魔導士や魔法使いと組むのが通常編成である。たった一人の最強伝説など夢物語なのだ。
「ふふっ、おそらくはパラディン聖騎士……」
「「「「オオッ!」」」」
 男子たちはどよめき、その夢は立ち直りをみせる。しかし女子たちはシラケ顔だ。フランチェスカだけが浮かない顔をしている。
「たぶん隠したい何があるんだね。僕らがそれを突き止めよう!」
「何もないわよ。お弁当を作ってピクニックをしましょうか」
 女子たちは目配せしながら頷き合う。なにより平和が一番だ。男子たちは拳を握ったり、不敵に笑ったりして気分を盛り上げている。
 明日の予定を今日決める。第一回やっつけ【サンクチュアリ】会議は終了した。
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