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龍月の嫉妬

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 だが、龍月の口付けを受けるとますます体が熱くなるような気がした。潤んだ金色の瞳で義兄を見ながら鳴麗は問う。

「龍月兄さん……水狼が……はぁっ、口付けしたんだよ。ねぇ……はぁっ、それって」
「水狼が?」

 義妹の告白に、龍月は一瞬その瞳を細めた。幼獣の頃から鳴麗と共に元気に遊び回っていた彼も、もうとっくに立派なロン族の成獣として成長したのは薄々感付いていた。
 少し歳は離れているが、龍月にとっても水狼は幼馴染み。彼の鳴麗への感情は、ただの幼馴染としての好意では無く、恋愛感情を抱いているのでないかと勘ぐっていた。
 しかし、実際にそのような話を聞くと常に冷静で感情を表に出さない龍月も、嫉妬のようなものが湧き上がってくるのを感じた。
 義兄という立場を思えば、最も彼女の傍にいて信頼され、一線を超えられる水狼に対して羨望せんぼうの眼差しと仄暗い気持ちが交差する。

「そうか。鳴麗……お前にその気が無いなら、水狼からの口付けは拒否しなさい」
「う、うん……ね、ねぇ……龍月兄さん、どうして怒ってるの?」

 龍月の静かな怒りのようなものを感じて、鳴麗は問いかけた。その質問には答えずもう一度深く口付けられて、舌先が優しく絡まるとうっとりと鳴麗は目を細めた。
 義兄は、鳴麗の体を抱き上げて膝に乗せてやると帯を緩める。上半身の服がだんだん肩からずれ落ち、褐色の肌があらわになると朱に染める鳴麗に、優しく耳元で囁いた。

「――――怖いのか、鳴麗。自分で慰める方法を教えるだけだから脱ぐ必要は無い。兄に任せて、安心しておきなさい」
「うん……はぁ……っ、恥ずかしくて……ひぁっ……あっ……ん」

 龍月は、大きな手のひらを上半身に忍ばせると優しく乳房を撫でた。
 手のひらに吸い付くような滑らかな褐色の肌は発情期に入って敏感に反応してしまうようで、胸の蕾を優しく触れるか否かで撫でるだけで甘い声が上がってしまう。
 羞恥に声を殺し、恥ずかしそうにまつ毛を震わせる義妹への欲情を、必死に押し殺し龍月は言った。

「ここは雌によっても異なるが……触れると気持ちが高ぶり、『月の印』の疼きを鎮める助けにもなる。鳴麗、お前はどうだろうか」
「ふっ、はぁ……っ、龍月兄さ、へんな感じ……んん、あっ……あっ、ああっ……やぁんっ」

 固くなった桃色の蕾を指先で優しくつねると、鳴麗は体を震わせて龍月の指先を衣服越しに抑えた。体を洗う時には今まで感じたことも無かったおかしな感覚に吐息が漏れて涙で目が潤んだ。
 義妹の愛らしい反応に、龍月は思わず溜息を洩らしたが、彼女を無闇に怖がらせないためにも欲情にまみれた感情を表に出さないようにして、ゆっくりと服の裾を上げていく。
 
「あっ、や、やだぁ……っ。そ、そこは……龍月兄さん、恥ずかしいよ。んっ、あっ、ま、待って……あっあっ」
「鳴麗、この状況に陥ると雌の部分に触れる事が重要になってくる……腟内なかの入口も、お前にはまだ分からないだろうし無闇むやみに触れて傷つける可能性があるので、表面をなぞろう」

 龍月の膝の上で、鳴麗は真っ赤になりながら瞳を潤ませていた。綺麗な義兄の指先が恥毛のない花弁の亀裂をゆっくりと撫でると、今までに無いくらい甘い吐息が漏れた。
 義兄は月の印の疼きを抑えるためだと言っていたのに、不浄の場所を優しく指で撫でられると、さらに体が熱くなって感情が乱れ、初めて経験するどうにもならない快感が、体を駆け巡って意識がそのまま飛びそうになって、むせび泣いた。

「あぁっ、あっ、だめ、そこ、汚いよ……あっ……やぁ、はぁ、なに、これ、気持ちいい、変だよぉ……んっ、あっあっ……龍月兄さんっ」
「大丈夫だ。お前は『月の印』が初めてでも、ずいぶん敏感なようだから、直ぐに自分で疼きを抑えられるようになるだろう。ゆっくり体を慣らしていけばいい」

 丁寧に指の腹で表面をなぞり、揉み込むように左の乳房を愛撫されると小水しょうすいを漏らしたのか、徐々に濡れ始め義兄が指を動かすたびに、ちゅく、ちゅくと淫らな音が響き渡った。

「あっ、あんんっ、龍月兄さっ……何かあふれ、はぁぁっ、恥ずかしい音が、あっ、ああっ、いやぁ、そこ、だめぇ」
「……暴れたら膝から落ちる。ここは陰核いんかくだ。雌は感じると交尾に必要な潤滑油が溢れてくる。快感を感じやすい場所だが、ここは繊細なので強く擦らないようにしなさい」

 汗ばんだ首筋から、鳴麗の柔らかな華の香りがして、思わずその首筋や髪に口付けそうになったが思いとどまった。
 濡れた小さな花芯の周りをゆっくりと撫で、下から擦るように愛撫すると、鳴麗は太腿ふとももを震わせながら電流が走ったように背中を反らせた。
 生まれてはじめて感じる、頭が真っ白になるような感覚。激しい快楽にどう対処して良いのか分からず、鳴麗は恐怖さえ感じていた。

「ああっ、あっあっあっ、はぁぁ、ぁ、気持ちいいっ、龍月兄さん、はぁ、なんか、きちゃう、怖いよ、んっ、あっあっあっ、――――っ!!」

 兄の指先の愛撫が、激しく感じた花芯に集中して撫でられる、愛液と指が擦れる音で蜜音が激しくなり、下腹部から這い上がってくる快感にだんだんと追い詰められ、鳴麗の体に電流が走ったように震えると頭が真っ白になった。
 義妹が自分の胸板で震えて涙を飛び散らせると、龍月は溜息をついた。
 愛らしい義妹の反応に、陰茎が反応してしまった罪悪感と、何も知らない無垢な鳴麗の処女雪のような純潔に自分の足跡を残してしまったと言う優越感で目を閉じた。
 濡れた花弁を優しく布で拭いてやると、義妹の耳元で囁く。

「鳴麗、少しは楽になったんじゃないか?」
「……う、うん。疼いてたのが楽になった。あんな風になったら……あ、あそこを触ったらいいの?」
「――――出来るだけ、家で処理するようにしなさい。月の印が現れ始めた頃は、昼夜問わず衝動しょうどうが襲ってくるが、徐々に制御できるようになってくるだろう。まだ……自分で上手く出来ないようなら、私が手伝う」

 甘い囁きに、鳴麗は頬を染めてうなだれた。
 水狼も龍月もなんだか何時もとは違い、自分だけが幼獣のまま取り残され、止まってしまっているような気がする。
 成獣として、大人になったと思っていたのは自分だけかも知れないと思うと、恥ずかしくてみるみる尻尾と耳がしなってしまった。

「汗をかいただろう、湯浴みに行きなさい。私が夕飯の準備をしておくから」
「う、うん。今週二回もお料理サボっちゃった。明日は私が作るからねっ」
「構わない、早くいっておいで」

 衣服を整え、申し訳なさそうにすると龍月は座ったまま義妹を見上げるとわずかに微笑んだ。鳴麗に見えないよう、下腹部を隠して両手を置く。
 いつもの龍月に戻っていたのを確認すると、鳴麗は気を取り直して汗ばんだ体を綺麗にするために湯浴みへと向かった。
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