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幼い推しと新天地①
しおりを挟む今日も推しが美しくてご飯が美味しい。
推しと同じ空気を吸えるだけで五体投地で神に感謝したい。
前世では無宗教。しいて言えば推しを全力で信仰していた。
こんにちは。オタク女子から人外転生、綾瀬寧々子ことアヤネコです。
推しが王宮から追放されてしまったので、その道を見守ります。
多めのオゼゼを握らせた御者は、相手が怪しい仮面マントでもちゃきちゃきと前向きにお仕事をしてくれています。
いい仕事をするたびに、ポッケに追加チップが効いている。
チャリンチャリン増える銅貨や銀貨に、日に日に動きが良くなっていく御者。
最初は推したちも訝しんでいたが、カバディカバディいう掛け声が聞こえてきそうなほど目を爛々とさせながらせっせと世話をしてくれる。
推したちはまだ子供なので、変な御者でも大人の力は貴重なので頼らないといけません。
私はそんな推したちの馬車を追いかけながら、襲おうとした魔物を根絶やしにしたり、盗賊を見つけたらアジトごと根こそぎ殲滅したりしています。
推しの行き先はフェルゼン辺境伯の御屋敷らしいです。
公式で推しの味方です。
ならば安心。
ですが、その公式で推しの味方の辺境伯は、スタンピードや天災が重なり没落し、推したちを保護しきれなくなってなけなしの金銭を握らせて、治安のいい場所へ行くように見送るのです。
その後、スタンピードが再度発生し、魔物の討伐に失敗して親子ともども領民のために奮闘したものの戦死。
ここまでが、推しの回想で知っている知識である。
あ、ゴブリン発見。小石を投げれば眼窩から頭蓋骨までパーンと貫通してぶっ倒れた。
あんまりこの辺の魔物強くないけど、やっぱり数ヤバいと大変なのかしら。
そんなこんなでフェルゼン辺境伯領までつきました。
途中何度か来た暗殺者は、草原の土と仲良くなっているはずです。時間とともに自然に還るでしょう。
フェルゼン辺境伯は、良くも悪くも王族は平等に尊びます。
たとえ母親が愛妾といっていい立場であり、もともとが侍女であっても、その姿勢は変わりません。
御者には途中、道すがら倒しまくった魔物から取れたクズ魔石を押し付けて元の場所にハウスさせる。売れば平民にはそこそこの値段になるらしい。
そっと推しの乗っていた馬車荷に、魔物の討伐部位でも高級らしいものを詰めておく。
ナマモノだと腐ってしまうから、角だの魔石だの爪だのといった類だ。
一応お世話になるところだし、先立つもんは必要だろう。
推しへの投資はお布施である。
しかし、辺境伯って伯爵より上、公爵より下で侯爵とどっこいレベルって聞いたんだけど、なんだか割と襤褸屋である。
もとは大きくて立派なお屋敷だったんだろうけれど、経年劣化が激しい気配。
うひょぅ、これは腕が鳴るぜ。
洗浄魔法と修繕魔法が唸る。
今回屋根は赤に塗ろう。推しのアイカラー。
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