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魔王城に慣れるまで

小さい執事。2

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「本当のぼくはもっとしっかりしています。下準備は誰よりもします。ただ、今回は急な変更があったのです」

「なに?」

「本来担当のメイドから、急にぼくへ変更になりまして。なんでも魔王様親衛隊で、魔王様とお近づきになる女性を片っ端からいじめていたとか……」

「あー、そういう女いるね。たまにね」

言い訳としても、なんで私はこんな内々の話を聞かされているんだ?

「本人は冤罪と言い張っていますが、もうじき実家へ送り返されることでしょう。なので、レミール様はご安心ください」

この子供、笑顔でなんか変なこと言ってるぞ?

「ん?どゆこと?なんで私が安心するの?昨日飲んだのがそんなに噂になってるとか?」

嫉妬は……まあされる可能性はあるな。立場上簡単にはいじめられることもないだろうけど。

「あ、いえ……そうです」

はたとして、困り眉を更に困らせる。

まあ、人質と魔王が会食してたら話題にはなる。内部では打ち合わせもされているだろうし。

「魔王様はきっとレミール様に夢中だと思い……失言いたしました」

ペコリと頭を下げるゴート。


……なんか変だな?フェンリルの部下だからと言って安易に信頼はできなさそうだ。サイファも何度も毒盛られたって言ってたからな。

揺さぶってみるか。何を考えているか知りたい。


「ダメよ。私は勇者の婚約者なんだから。ハルを裏切ることなんかできないよ。確かにサイファは素敵だから、ちょっと惹かれてるけどね。なんちゃって」

てやんでぃ。べらぼうめぃ。

ゴートはキリッとした視線がこちらへ向けた。澄んだ目をしている。

「ぼくは心に素直に生きたほうがいいと思います。本当に勇者でいいんですか?」

味方がいた!そうなのよ!勇者でよくないです!


でもこいつ、サイファの目的からしたら裏切り者だな。サイファ本人がよくわからんことは除いたとしても……フェンリルは私とハルをくっつけようとしてるし。

本当に、ゴートが個人的にそう思って悪気なく言っているだけかもしれない。それはそうとしても、万が一もある。

もし裏切り者だった場合、今、直接言って変な魔法とか使われても困るな。武器になるものとかないしし、そもそも戦えないし。

タイミングを見計らってフェンリルにそれとなく密告しよう。万が一のため。


「ありがとう」

私はゴートの頭をポンポンと叩いた。

「子供扱いしないでください」

「はいはい。で、私は今日、何をすればいいの?」

風船みたいにぷくーと頬を膨らますゴートに、私は尋ねた。
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