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魔王城に慣れるまで

村人、勉強させられる。

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午前中は魔物の歴史やら、種族やら、基礎知識を一通りゴートに説明された。城の中を回るとだいたい一人(?)はその種族がいた。

マミのときも思ったが、人間からするとオバケ感はある。夜に突然出会ったら怖い。馴れてないし。

ついでに、人間とは違う力も使えるらしい。いわゆる魔法。謎の通信手段とか、燃料もなく燃え続ける黄色い光の燭台とか、魔法的なパワーで動いているようだ。

そしてここは魔界ではなく、人間界らしい。人間界からわからないように魔法で隠しているのだとか。十代前の魔王が建てた城だという。


「覚えましたか?わかりましたか?」

「たぶんだいたい。ありがとう」

どんなもんだい、と胸を張るゴート。頭を撫でたくなるが、怒られてしまうのでぐっと我慢をする。

「では、そろそろお食事のお時間です。覚えたことを魔王様に話しておさらいするといいでしょう」

ははは偉そうだな。小さい子がイキってるのは可愛い。

顔が微妙に、目元の雰囲気とかだけなのだけど、子供の頃のハルに似ているのも親しみが沸いた。


あの頃のハルはいつも泣いてたなぁ。みんなにからかわれて。私もからかい倒してたし。

でも、べそべそしながら、最終的には私の後をついてくるのだ。邪魔にはならないけど金魚の糞というか……。

あの頃は可愛かった。しかし大人になっても変わらないのは困る。そして、大人になるとつきまとわれるだけで邪魔だった。こちらにその気はないのだ。


「大人になるのだぞ……」

しみじみと呟いてしまう。

「はぁ……?」と、ゴートは首を傾げた。



そんなわけでランチタイム。

サイファと同席させられた。

「お疲れになったことでしょう。魔王城をご見学されて、いかがでしたかな」

なるほど。威厳保ちモードなわけか。

アルカイックスマイルと口調と背筋を整えるだけで魔王のようになるのだから、顔の造りがいいとは素晴らしいことだ。

こっちはいつも通り。ゴートに偏った知識を吹き込まれる可能性もあるから、聞いたことは慎重に確認した。

フェンリルはしらっと他人のような顔をして仕事に従事している。他の使用人の手前、自分の威厳を崩せないのだろう。偉いというのも大変だ。

あと、食事がなに食べてもおいしい……だめ……体重増えそう、怖い……。
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