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勇者と再会
勇者と対面。2
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さすがに暴れる空気でもなく、ハルはフェンリルをにらみつけて後ろへと下がった。
静まった空気の隙を突くように、黒い鎧をまとった女騎士という風体の女性が段差の下へ跪いた。騎士……いや、戦士かもしれない。身長が高いうえにヒールを履いているので迫力があった。
たっぷりとした赤色の髪を高い位置で一つに結んでいる。体つきは、乳!尻!太もも!すげえ!と、迫力のあるダイナマイトボディで、よく見ると腕とか足は脂肪ではなく筋肉が盛られている。
彼女がフェンリルいわく、ゴーレム系女子なのだろう。わかる!
「ヘルイーズ、予定より早くなりましたが無事に勇者を連れてきました!」
「大儀でした」
というのはサイファ。
「早くなった理由を話せ」
フェンリルは高圧的な言い方だ。立場上か、怒っているのか、両方か。
「それは、ハル……いえ、勇者が、そこの女が心配で心配でしょうがないと言うので……」
そこの女って言われた。めっちゃ睨まれておる。キリリとした目つきに嫉妬が滲んでいる。
まあ、慣れてるけど。ハルはけっこうモテた。相変わらず飛び火が酷い。
私は席を立った。一人だけ座っているのも変である。
数段のステップを下ると、広間の景色がよく見えた。やっぱりあのカーテンいらないな。
ゴーレム系女子のヘルイーズのほかに、金髪の白い服の美女と、眠そうな目のツインテールの幼女がいた。
幼女!?幼女を冒険の旅に出すの!?私の国は何を考えているの!!女の子ばかりでも相当酷いと思っていたけど、馬鹿じゃないの!?
「皆さん、ハルがお世話になっています。幼馴染のレミールです。レミィって呼んでください。助けに来ていただきありがとうございます」
視線がめちゃくちゃ突き刺さってきた。居心地が悪いことこの上ない。
「彼女面……」
幼女が私を指さして、ぼそぼそと小さな可愛らしい声で言った。
あ、どこにいても生き抜ける大丈夫なタイプの子だ。見た目に騙されてしまった。
「レミィ!会いたかった!」
ハルが完全に周囲を捨て置いて駆け寄ってきた。
私も駆け寄る。
飛び蹴りを食らわせるために……地面を蹴って足を突き出す!
「あっ」という声が複数聞こえた。
いい感じにハルのお腹に蹴りがクリーンヒットした。
しかし久々だから思うほどうまくは決まらなかった。魔王城では周囲が優しいから、暴力を使う必要がないんだよなぁ。
「う”っ……そうそう、これ。久しぶりだなぁ、懐かしいなあ……」
「うるさい!」
お腹を抱えて背中を丸めるハルの襟首を掴み、そのまま頬に張り手を食らわせる。
「あんたのせいで!色々苦労したの!そりゃもう色々!いい加減にしろお!」
①婚約者と勘違いされる。
②拉致される。
③一度殺される。
④嫉妬の目に晒される←new!
村の空気がハル以外と結婚したら非人間ムードになったのを含めると五つである。
魔王城暮らしは楽しいけど、まとめると散々だった。得るものが多くても、それとこれとは別の話だから!
「もしかして魔王?魔王に何かされたんだ!」
「誘拐されたけど」
「絶対変なことされただろ!だってヘルちゃんが魔王は女たらしだって言ってたし」
ヘルちゃん……ヘルイーズか。あのいかついガチムチレディをちゃん付けするのは、確かにハルらしい。ちゃんっていうか、さん、もしくは女史とか呼びたくなる。
「ハルも人のこと言えないでしょ!ハーレム作ってるじゃない!」
お願いだからそっちを見てくれ!
襟首を掴んでがくがく揺する。
ハルはされるがまま、無抵抗である。
「レミィ焼いてくれてるの!?やった!!こんなの初めてだ!勇者になってよかったー!」
「違うから!!本当に違うから!!」
くぅ~~~!!!
気持ちが伝わらねぇ~~~~~!!!!!
地元では諦めと疲れのせいで、この辺りで「はいはい」して自分の仕事を始めていた気がする。これが悪かったのかな……。
静まった空気の隙を突くように、黒い鎧をまとった女騎士という風体の女性が段差の下へ跪いた。騎士……いや、戦士かもしれない。身長が高いうえにヒールを履いているので迫力があった。
たっぷりとした赤色の髪を高い位置で一つに結んでいる。体つきは、乳!尻!太もも!すげえ!と、迫力のあるダイナマイトボディで、よく見ると腕とか足は脂肪ではなく筋肉が盛られている。
彼女がフェンリルいわく、ゴーレム系女子なのだろう。わかる!
「ヘルイーズ、予定より早くなりましたが無事に勇者を連れてきました!」
「大儀でした」
というのはサイファ。
「早くなった理由を話せ」
フェンリルは高圧的な言い方だ。立場上か、怒っているのか、両方か。
「それは、ハル……いえ、勇者が、そこの女が心配で心配でしょうがないと言うので……」
そこの女って言われた。めっちゃ睨まれておる。キリリとした目つきに嫉妬が滲んでいる。
まあ、慣れてるけど。ハルはけっこうモテた。相変わらず飛び火が酷い。
私は席を立った。一人だけ座っているのも変である。
数段のステップを下ると、広間の景色がよく見えた。やっぱりあのカーテンいらないな。
ゴーレム系女子のヘルイーズのほかに、金髪の白い服の美女と、眠そうな目のツインテールの幼女がいた。
幼女!?幼女を冒険の旅に出すの!?私の国は何を考えているの!!女の子ばかりでも相当酷いと思っていたけど、馬鹿じゃないの!?
「皆さん、ハルがお世話になっています。幼馴染のレミールです。レミィって呼んでください。助けに来ていただきありがとうございます」
視線がめちゃくちゃ突き刺さってきた。居心地が悪いことこの上ない。
「彼女面……」
幼女が私を指さして、ぼそぼそと小さな可愛らしい声で言った。
あ、どこにいても生き抜ける大丈夫なタイプの子だ。見た目に騙されてしまった。
「レミィ!会いたかった!」
ハルが完全に周囲を捨て置いて駆け寄ってきた。
私も駆け寄る。
飛び蹴りを食らわせるために……地面を蹴って足を突き出す!
「あっ」という声が複数聞こえた。
いい感じにハルのお腹に蹴りがクリーンヒットした。
しかし久々だから思うほどうまくは決まらなかった。魔王城では周囲が優しいから、暴力を使う必要がないんだよなぁ。
「う”っ……そうそう、これ。久しぶりだなぁ、懐かしいなあ……」
「うるさい!」
お腹を抱えて背中を丸めるハルの襟首を掴み、そのまま頬に張り手を食らわせる。
「あんたのせいで!色々苦労したの!そりゃもう色々!いい加減にしろお!」
①婚約者と勘違いされる。
②拉致される。
③一度殺される。
④嫉妬の目に晒される←new!
村の空気がハル以外と結婚したら非人間ムードになったのを含めると五つである。
魔王城暮らしは楽しいけど、まとめると散々だった。得るものが多くても、それとこれとは別の話だから!
「もしかして魔王?魔王に何かされたんだ!」
「誘拐されたけど」
「絶対変なことされただろ!だってヘルちゃんが魔王は女たらしだって言ってたし」
ヘルちゃん……ヘルイーズか。あのいかついガチムチレディをちゃん付けするのは、確かにハルらしい。ちゃんっていうか、さん、もしくは女史とか呼びたくなる。
「ハルも人のこと言えないでしょ!ハーレム作ってるじゃない!」
お願いだからそっちを見てくれ!
襟首を掴んでがくがく揺する。
ハルはされるがまま、無抵抗である。
「レミィ焼いてくれてるの!?やった!!こんなの初めてだ!勇者になってよかったー!」
「違うから!!本当に違うから!!」
くぅ~~~!!!
気持ちが伝わらねぇ~~~~~!!!!!
地元では諦めと疲れのせいで、この辺りで「はいはい」して自分の仕事を始めていた気がする。これが悪かったのかな……。
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