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ミューズの名
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「気持ち良かったでしょ?ほら、ぬるぬる落とそう」
するするとチャイナドレスを脱ぎ去ったセナに風呂場へと手を引かれる。確かにセナは下着をつけていなくて目のやりばに困った。
シャワーでローションを落としてもらっている間もセナの股間部分が気になって仕方がない。男同士だから恥ずかしがる必要も無い筈なのに、まじまじと見るのはやはり気が引けるのだ。
「ほら、お湯に浸かりなよ」
先に浴槽に使ったセナに手招きされ、横並びになるように浸かる。入浴剤が入ったお湯は白く濁っていて、さきほどよりも目が泳がなくて助かった。
「セナくん、さっきのって……」
「もーまだ言うの?ここのお店はセックス禁止!それ以上は何も言う事ありませーん」
口のところまでお湯に浸かると、ぶくぶくとお湯を慣らす。
セックス禁止で何も言わないという事は、セックスしたから口に出すな、秘密だという事だろうか。それとも、凌太が勘違いしただけでそんな事はしていないのだろうか。
「もう!暗い顔しないの!……気持ち良かったんでしょ?」
「は、はい!それはもちろん!」
「じゃあ、それでいいじゃん」
甘えるように肩に頭を乗せてきた。つむじが見えて、普段見下ろされる事が多いから新鮮に感じた。よく見ると、根元が若干黒くなってきていることに気付いた。そろそろ美容院に行く時期なのだろうか。
出した後男は賢者タイムになるなんて言うけれど、あれは言い訳だと思う。あんなに気持ち良くしてくれた存在をぞんざいに扱うなんて凌太には出来ないし、大切に扱わなければもうあんな風に気持ち良くしてもらえないかと思うと恐ろしすぎるからだ。
風呂から上がった二人は、風呂上りの長めのクールダウンを取るためにセナが綺麗なシーツを敷きなおしたベッドに座っていた。凌太があくびをすると、セナにも伝染し、大きな口を開ける。
「移っちゃった?」
「ほら、セナ達仲良しだし」
嬉しそうに膝を抱え、セナは言葉を続けた。
「てかさ、受付でセナの本名聞いちゃったよね」
「あ……」
随分前の出来事な気がしていたが、あれはつい数時間前の出来事だ。受付で怒号を飛ばしながら大声で『セナ』と確かにもう一つ名前らしき言葉を言っていた。
「えっと、はるか……?」
「せーかい!遥くんです」
「だ、大丈夫です。はるかって名前の人ならわりといるだろうし、俺ネットに情報流したりとかしないし」
慌てる凌太を目を細め見つめながら、セナは抱えた膝に頬を乗せる。
「りょーちんの事は信用してるよ。ちょっと名前知られたのが恥ずかしいだけ」
「変わらず、セナくんって呼びますから」
「まあそれも本名なんだけどね」
「ん?」
「瀬名遥っていうの。で、りょーちんは何凌太?」
「あえ?!」
「セナにだけ名乗らすの?」
「あ、な、夏木です。夏木凌太っ!」
「これで、お互いフルネーム知っちゃったね」
「は、はい……!」
「エッチなことはしてるのに、お互い本名知らないって、変な場所だよね。ここ」
確かに、セナの言う通りだ。名も、どんな人かも知らないで出会ってすぐに服を脱ぎ、陰部を晒し、気持ちよくしてもらうなんてほんとすごいところだと思う。
「外で見かけたら、遥って呼んでも良いよ」
「ええ?!こ、声かけませんよ!」
「えー?なんで?セナ達仲良しじゃん」
「いや、でも、だ、ダメでしょ?ここはお店で、割り切った関係というか……」
「ふーん……」
じっとりとした目で見つめられると、凌太は上手く口が回らない。何かまずい事を言ってしまったのだろうかと、必死で言い訳を探した。
するするとチャイナドレスを脱ぎ去ったセナに風呂場へと手を引かれる。確かにセナは下着をつけていなくて目のやりばに困った。
シャワーでローションを落としてもらっている間もセナの股間部分が気になって仕方がない。男同士だから恥ずかしがる必要も無い筈なのに、まじまじと見るのはやはり気が引けるのだ。
「ほら、お湯に浸かりなよ」
先に浴槽に使ったセナに手招きされ、横並びになるように浸かる。入浴剤が入ったお湯は白く濁っていて、さきほどよりも目が泳がなくて助かった。
「セナくん、さっきのって……」
「もーまだ言うの?ここのお店はセックス禁止!それ以上は何も言う事ありませーん」
口のところまでお湯に浸かると、ぶくぶくとお湯を慣らす。
セックス禁止で何も言わないという事は、セックスしたから口に出すな、秘密だという事だろうか。それとも、凌太が勘違いしただけでそんな事はしていないのだろうか。
「もう!暗い顔しないの!……気持ち良かったんでしょ?」
「は、はい!それはもちろん!」
「じゃあ、それでいいじゃん」
甘えるように肩に頭を乗せてきた。つむじが見えて、普段見下ろされる事が多いから新鮮に感じた。よく見ると、根元が若干黒くなってきていることに気付いた。そろそろ美容院に行く時期なのだろうか。
出した後男は賢者タイムになるなんて言うけれど、あれは言い訳だと思う。あんなに気持ち良くしてくれた存在をぞんざいに扱うなんて凌太には出来ないし、大切に扱わなければもうあんな風に気持ち良くしてもらえないかと思うと恐ろしすぎるからだ。
風呂から上がった二人は、風呂上りの長めのクールダウンを取るためにセナが綺麗なシーツを敷きなおしたベッドに座っていた。凌太があくびをすると、セナにも伝染し、大きな口を開ける。
「移っちゃった?」
「ほら、セナ達仲良しだし」
嬉しそうに膝を抱え、セナは言葉を続けた。
「てかさ、受付でセナの本名聞いちゃったよね」
「あ……」
随分前の出来事な気がしていたが、あれはつい数時間前の出来事だ。受付で怒号を飛ばしながら大声で『セナ』と確かにもう一つ名前らしき言葉を言っていた。
「えっと、はるか……?」
「せーかい!遥くんです」
「だ、大丈夫です。はるかって名前の人ならわりといるだろうし、俺ネットに情報流したりとかしないし」
慌てる凌太を目を細め見つめながら、セナは抱えた膝に頬を乗せる。
「りょーちんの事は信用してるよ。ちょっと名前知られたのが恥ずかしいだけ」
「変わらず、セナくんって呼びますから」
「まあそれも本名なんだけどね」
「ん?」
「瀬名遥っていうの。で、りょーちんは何凌太?」
「あえ?!」
「セナにだけ名乗らすの?」
「あ、な、夏木です。夏木凌太っ!」
「これで、お互いフルネーム知っちゃったね」
「は、はい……!」
「エッチなことはしてるのに、お互い本名知らないって、変な場所だよね。ここ」
確かに、セナの言う通りだ。名も、どんな人かも知らないで出会ってすぐに服を脱ぎ、陰部を晒し、気持ちよくしてもらうなんてほんとすごいところだと思う。
「外で見かけたら、遥って呼んでも良いよ」
「ええ?!こ、声かけませんよ!」
「えー?なんで?セナ達仲良しじゃん」
「いや、でも、だ、ダメでしょ?ここはお店で、割り切った関係というか……」
「ふーん……」
じっとりとした目で見つめられると、凌太は上手く口が回らない。何かまずい事を言ってしまったのだろうかと、必死で言い訳を探した。
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