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番外編:mission impossibleⅠ
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「いらっしゃいま……何だおまえかよ。」
「客に向かっておまえとは何だ。」
俺と忠臣は番になった。今のところ順調だ。俺は念願のアルバイトを始めた。もう番持ちになったからフェロモンで誰かに迷惑をかけることもない。週三でカフェで働いている。
もう一度言わせてくれ、カフェで働いている。
……カフェ、お洒落の極みじゃないか?もちろん俺の田舎にはカフェどころが喫茶店すらない。
バイトを始める時、忠臣は大反対した。
「何でだ。そんなに金が必要なら俺が…」
「いらねーよ。俺はヒモじゃない。自分の小遣いくらい自分で稼ぎたいんだ。」
「じゃあ、セックスするごとに俺が金を払うってのはどうだ?」
「忠臣、おまえ…それ犯罪だぞ。」
忠臣はバイトで一緒にいる時間が減る事と、他のアルファに近づかれることがイヤだといって泣いて暴れて反対した。
もう本当に三歳児だ…。
学校も一緒だし、もう同棲しているようなもんだし、俺みたいなオメガに近づく物好きなんて忠臣くらいだろ。第一、俺たちは番だ。誰にも切ることのできない繋がりがあるのだ。
どうやって忠臣を説得したかはご想像にお任せする。俺は三日間起きられなかったとだけ言っておこう。
そんな訳で無事バイトができる事になった。本当は週四が希望だったが忠臣がどうしてもと言うので週三になってしまった。
そしてなんと、忠臣は俺のバイトの日には毎回こうやって来る。毎回毎回だ。
「いらっしゃいませ~。お好きな席へどうぞ~。」
俺は営業スマイルを顔に貼り付けて言ってやった。ヤツは既に定位置となった窓際の席に座る。そしてそこに俺のバイト終わりまで居座るのだ。
「マスター、すいません。毎回毎回。」
「いや、全然良いよ~。いろいろ頼んでくれるし。それにカッコいいから客寄せにもなるしね。」
カウンターの中に戻ってマスターに謝った。四十代のイケオジなマスターは、いつもこう言ってくれる。ペコペコ頭を下げて何度もお礼を言った。
オーダーだろう、忠臣が手を挙げてこちらを見ていた。
「ご注文はお決まりですか?」
俺はブスッとした顔だ。
「お勧めはあるか?」
「全部だよ!一日おきに来てお勧めも何もねーだろ。上から順番に頼めよ。」
「感じの悪いウエイターだな。クビにしてもらうぞ。」
「そんな事したら口利かないからな。」
「ぐっ…。」
忠臣のオーダーをとってカウンターに戻りマスターに伝えた。
一番奥に座っていた男性客に呼ばれたのでそっちのオーダーも取りに行く。
「お待たせしました。ブレントとホットサンドです。」
美味しそうに湯気を立てているその二つを忠臣のテーブルに置いた。マスターがネルドリップで淹れたコーヒーと人気のホットサンドだ。コーヒーの芳しい匂いが漂う。
「雅人、さっきの男と何話してたんだ。」
「は?」
「あの奥の席の男だ。アイツはアルファだろ。」
はぁ…本当にコイツは…。
「何話してたか教えてやろうか?」
「ああ。」
「『ご注文はお決まりですか?ブレントひとつお願いします。』だよ!バカ!」
まったく…ウエイターなんだから客と話すに決まってるだろ。
カウンターに戻り忠臣を見るが何食わぬ顔でコーヒーを飲んでいる。俺が見ているに気付いたのか、こっちを向いた。その途端、蕩けそうな笑顔になった。
番バカってアイツのことだな。
「斎川君、ラブラブだね。」
マスターがこっそりと話しかけてきた。
「ははは…。すいません。」
「いや、全然。アルファなんてあんなもんだよ。僕の従兄弟もオメガでね。番のアルファに24時間365日追い回されてるよ。」
やっぱりどこの番カップルもそうなんだな。哲雄もそんな事言ってたし。
「彼氏、お金持ちなんでしょ?何でバイト始めたの?あ、ウチとしてはありがたいんだけどね。」
「うーん、アイツの金で買いたくないって言うか…。」
「へー。偉いねぇ。」
「そうですかね。」
その後店が混み始めて俺は忙しく働いた。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「雅人、お疲れ。」
「うん。待ってなくてもいいのに。」
「ダメだ。おまえに何かあったら困るからな。」
俺の腰を引き寄せてこめかみにキスする。心配性だな、GPS付けてるくせに。俺は知ってるんだぞ。
何も言わずそのまま手を繋いで帰った。
「あっ、あっ、あーーっ!」
「雅人、雅人っ!好きだっ!」
座ったまま俺を膝に乗せて下から突き上げてくる。そのまま乳首を吸ったり甘噛みしたりされると痺れるように気持ちいい。
「ああっ、イキそう、イクっ!イクっ!」
「はぁ、雅人、すげー良い。気持ちいい!」
「イクっ!好きっ!忠臣好きっ!あーーーっ!あっ!」
「雅人っ!好きだ、好きだ、くぅーーっ!はぁーっ!」
思いっきり出されて中が熱くなる。気持ちいい…。
「もうダメだからな。」
「んー。」
またその返事。終わった後もしつこく頸や背中にキスしてくる。そのまま二回戦なんてのもざらだ。でも今日はダメだ。明日も授業があるし、それに……。
「雅人、明日は金曜だ。一晩中イチャイチャしような。」
「え?うん。」
あー、そっちか。コイツは金曜日をイチャイチャdayと名付けて何よりも楽しみしている。
…じゃあ今のこれは何なんだ?イチャイチャじゃないのか?
しつこい忠臣を引き剥がして寝た。
「客に向かっておまえとは何だ。」
俺と忠臣は番になった。今のところ順調だ。俺は念願のアルバイトを始めた。もう番持ちになったからフェロモンで誰かに迷惑をかけることもない。週三でカフェで働いている。
もう一度言わせてくれ、カフェで働いている。
……カフェ、お洒落の極みじゃないか?もちろん俺の田舎にはカフェどころが喫茶店すらない。
バイトを始める時、忠臣は大反対した。
「何でだ。そんなに金が必要なら俺が…」
「いらねーよ。俺はヒモじゃない。自分の小遣いくらい自分で稼ぎたいんだ。」
「じゃあ、セックスするごとに俺が金を払うってのはどうだ?」
「忠臣、おまえ…それ犯罪だぞ。」
忠臣はバイトで一緒にいる時間が減る事と、他のアルファに近づかれることがイヤだといって泣いて暴れて反対した。
もう本当に三歳児だ…。
学校も一緒だし、もう同棲しているようなもんだし、俺みたいなオメガに近づく物好きなんて忠臣くらいだろ。第一、俺たちは番だ。誰にも切ることのできない繋がりがあるのだ。
どうやって忠臣を説得したかはご想像にお任せする。俺は三日間起きられなかったとだけ言っておこう。
そんな訳で無事バイトができる事になった。本当は週四が希望だったが忠臣がどうしてもと言うので週三になってしまった。
そしてなんと、忠臣は俺のバイトの日には毎回こうやって来る。毎回毎回だ。
「いらっしゃいませ~。お好きな席へどうぞ~。」
俺は営業スマイルを顔に貼り付けて言ってやった。ヤツは既に定位置となった窓際の席に座る。そしてそこに俺のバイト終わりまで居座るのだ。
「マスター、すいません。毎回毎回。」
「いや、全然良いよ~。いろいろ頼んでくれるし。それにカッコいいから客寄せにもなるしね。」
カウンターの中に戻ってマスターに謝った。四十代のイケオジなマスターは、いつもこう言ってくれる。ペコペコ頭を下げて何度もお礼を言った。
オーダーだろう、忠臣が手を挙げてこちらを見ていた。
「ご注文はお決まりですか?」
俺はブスッとした顔だ。
「お勧めはあるか?」
「全部だよ!一日おきに来てお勧めも何もねーだろ。上から順番に頼めよ。」
「感じの悪いウエイターだな。クビにしてもらうぞ。」
「そんな事したら口利かないからな。」
「ぐっ…。」
忠臣のオーダーをとってカウンターに戻りマスターに伝えた。
一番奥に座っていた男性客に呼ばれたのでそっちのオーダーも取りに行く。
「お待たせしました。ブレントとホットサンドです。」
美味しそうに湯気を立てているその二つを忠臣のテーブルに置いた。マスターがネルドリップで淹れたコーヒーと人気のホットサンドだ。コーヒーの芳しい匂いが漂う。
「雅人、さっきの男と何話してたんだ。」
「は?」
「あの奥の席の男だ。アイツはアルファだろ。」
はぁ…本当にコイツは…。
「何話してたか教えてやろうか?」
「ああ。」
「『ご注文はお決まりですか?ブレントひとつお願いします。』だよ!バカ!」
まったく…ウエイターなんだから客と話すに決まってるだろ。
カウンターに戻り忠臣を見るが何食わぬ顔でコーヒーを飲んでいる。俺が見ているに気付いたのか、こっちを向いた。その途端、蕩けそうな笑顔になった。
番バカってアイツのことだな。
「斎川君、ラブラブだね。」
マスターがこっそりと話しかけてきた。
「ははは…。すいません。」
「いや、全然。アルファなんてあんなもんだよ。僕の従兄弟もオメガでね。番のアルファに24時間365日追い回されてるよ。」
やっぱりどこの番カップルもそうなんだな。哲雄もそんな事言ってたし。
「彼氏、お金持ちなんでしょ?何でバイト始めたの?あ、ウチとしてはありがたいんだけどね。」
「うーん、アイツの金で買いたくないって言うか…。」
「へー。偉いねぇ。」
「そうですかね。」
その後店が混み始めて俺は忙しく働いた。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「雅人、お疲れ。」
「うん。待ってなくてもいいのに。」
「ダメだ。おまえに何かあったら困るからな。」
俺の腰を引き寄せてこめかみにキスする。心配性だな、GPS付けてるくせに。俺は知ってるんだぞ。
何も言わずそのまま手を繋いで帰った。
「あっ、あっ、あーーっ!」
「雅人、雅人っ!好きだっ!」
座ったまま俺を膝に乗せて下から突き上げてくる。そのまま乳首を吸ったり甘噛みしたりされると痺れるように気持ちいい。
「ああっ、イキそう、イクっ!イクっ!」
「はぁ、雅人、すげー良い。気持ちいい!」
「イクっ!好きっ!忠臣好きっ!あーーーっ!あっ!」
「雅人っ!好きだ、好きだ、くぅーーっ!はぁーっ!」
思いっきり出されて中が熱くなる。気持ちいい…。
「もうダメだからな。」
「んー。」
またその返事。終わった後もしつこく頸や背中にキスしてくる。そのまま二回戦なんてのもざらだ。でも今日はダメだ。明日も授業があるし、それに……。
「雅人、明日は金曜だ。一晩中イチャイチャしような。」
「え?うん。」
あー、そっちか。コイツは金曜日をイチャイチャdayと名付けて何よりも楽しみしている。
…じゃあ今のこれは何なんだ?イチャイチャじゃないのか?
しつこい忠臣を引き剥がして寝た。
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