オメガも悪くない

みこと

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番外編:mission impossible II

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「哲雄、頼んだ。この借りは必ず返す。」

「頑張れよ~。」

哲雄にスマホを預けて教室の後ろからそっと出た。俺のスマホにはGPSが付いている。忠臣が勝手にやったものだ。まあ確かにそのおかげで助かった事もある。でも今は居場所を知られてはダメなのだ。気分はまるでトム・クルーズ。ミッション・インポッシブルのテーマが頭の中を流れる。

アイツは俺にべったりなので単独行動が難しい。俺だって一人になりたい時もある。足早に大学を出てバイト先に向かった。



「斎川君、はいこれ、頼まれてたものだよ。」

「ありがとうございます。」

「あの番君大丈夫?君も大変だね~。でも重い愛情は時に相手を苦しめるからね。」

マスターがしみじみと言う。さすが離婚経験者。言葉に重みがある。

「大丈夫です。ありがとうございました。」

店を出て何軒かハシゴして忠臣のマンションに帰った。ソファーにごろんと転がって時計を見る。もう授業は終わっている時間だ。今頃俺を探しているかもしれない。
一人の時間なんて久しぶりだ。この数ヶ月いつも忠臣が側に居た。ちょっと話が通じないところもあるが、何よりも俺を一番に考えてくれている。田舎にいた時は恋人なんていた事もなかったし、好きな人すら居なかった。そんなモノ作る気にもなれなかった。とにかく他のみんなと違うオメガという自分が嫌で仕方なかった。
必死に探す忠臣の顔を想像してなんだか可哀想になってきた。

「さてと、起きるか。」

むくりと起きた。忠臣が帰ってくるまであとどのくらい時間があるのか分からない。まあでもアイツのことだ。すぐにここだと分かるだろう。俺はのそのそと動き出した。


♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


ガチャガチャ、ガチャン!
勢いよく玄関のドアが開く音がした。ドタドタと廊下を走ってくるのが分かった。なんだ、もう帰ってきたのか。

リビングのドアを開けて忠臣を出迎えた。

「おかえり。早かったな。」

「おかえり、じゃないだろ。探したんだぞ……え?」

「誕生日おめでとう。」

「え?これ…雅人?」

リビングに入ってきた忠臣が驚くのも無理はない。部屋は飾り付けられていてダイニングテーブルにはケーキと豪華な食事が並んでいるのだ。ほとんどマスターにお願いして作ってもらったんだけどな。ケーキは駅前の人気店で予約したんだ。
今日は忠臣の誕生日だ。この日のためにバイトもしたしサプライズの準備もした。一日中べったりの忠臣に内緒で、サプライズパーティーを準備する事の難しさったら。

「どうだ!すごいだろ?ミッション成功?」

「雅人…。おまえ。」

「うわっ⁉︎」

ぎゅーっと抱きしめられた。忠臣?泣いてるのか?

「忠臣?」

「びっくりした。…ありがとう、ありがとう。」

とりあえず座ってテイクアウトしたご飯を食べた。エビドリアにサラダ、鶏肉のフリット、トマトとチーズのパニーニ。どれも忠臣の好物だ。

「哲雄からスマホ預かってない?」

「ん?ああ。ほら。マジで心配した。」

ポケットから俺のスマホを出してテーブルに置いた。

「ごめん。でもこうでもしないとミッションが成功しないから。」

「ん。いいよ。すげー嬉しかった。」

忠臣はご機嫌で全部平らげた。ケーキはリビングのソファーで食べることにした。




「あれやろうよ。ロウソクもあるし。」

『happy birthday 忠臣』と書いてあるチョコレートのプレートが乗ったケーキを、スマホで連写している忠臣に言った。

「ん?アレって?ああ、この生クリームをおまえの身体に塗って舐めるやつか?」

「違うよ!何でそーなるんだよ。ロウソク立てて電気消して吹き消すやつだよ!」

「そっちか。いいね、やろう。」

普通はそっちだろ。おまえの頭の中はどーなってるんだよ。






「子どもの頃以来だな。」

部屋を暗くしてロウソクに火をつけた。忠臣は嬉しそうに写メを撮っている。

「よし、じゃあ歌うからな。動画は止めろ。恥ずかしだろ。」

スマホを俺に向けて動画を取り出した。

「happy birthday to you~♪happy birthday day to  you~♪happy birthday dear 忠臣~  happy birthday  to  you~♪」

音楽は万年『2』の俺の大熱唱だ。忠臣は勢いよくロウソクを吹き消した。

「ありがとう。人生で一番幸せな日だ。」 

ケーキを切り分けて食べる。美味い!ここの店にして良かった。忠臣は部屋の飾り付けを見て目を潤ませ俺にキスをする。

「早く食えよ。美味いぞ。」

「ああ。」

「そうだ。もう一つ。」

俺は立ち上がって鞄から箱を取り出し忠臣の隣に座った。

「ほら、プレゼント。」

「え?ありがとう。開けていいか?」

「うん。」

プレゼントを開ける忠臣の手は少し震えている。中から小さな箱に入った指輪が出てきた。

「忠臣、俺、オメガで良かった。おまえのおかげでそう思える。本当にありがとう。」

「ああ、俺もだ。アルファで良かった。雅人に会えて良かった。」

指輪取り出し忠臣の左手の薬指にはめてやる。サイズはぴったりだ。寝てる間に計ったからな。おまえより後に寝るのは大変なんだぞ。
忠臣はその指輪を嬉しそうに撫でた。そのまま俺にキスをする。

「雅人、大好きだ。愛してる。」

ちゅっちゅっと何度もキスをする。

「知ってるよ。」

「いや、まだまだだ。もっと知ってもらわないとダメだ。」

そのままソファーに押し倒された。キスはどんどん深くなり忠臣の舌が俺の口の中を舐め回す。その舌は首筋、鎖骨を通り、乳首をベロンと舐め上げた。そのままじゅるじゅると音を立てて吸い付き甘噛みする。

「あぁん、はぁ、あっ!ダメ、噛んじゃやだっ!」

「雅人はこれが大好きだもんな。もっといっぱいしてやるからな。一晩中吸ったり噛んだりしてやるよ。」

「あっ!あっあっあっ!ダメっ!あーーーっ!」

「何だ、もうイッたのか?」

俺はズボンと下着を脱がされた。

「見ろ。雅人、エロすぎるだろ。」

放ったモノでぬるぬるになっている俺のアレが見えた。そのまましゃぶりつかれて後ろの穴まで舐め回される。

「はあ、ダメだ。雅人、我慢できない。挿れるぞ。」

「あーーーっ!」

忠臣が一気に押し入っていてめちゃくちゃに腰を振る。そのまま俺の白濁まみれの下着を手に取って舐めていた。

「やっ、やっ!やだっ!汚い、あっ、あっ、やめて!」

「ん?このおまえの精子まみれの下着がか?汚いわけないだろ。美味しい…」

パンパン音を立てて腰を動かしながら俺の下着を舐める姿に興奮してしまう。

「忠臣っ!あ、あ、あ、イク!好き好き、あーーー!」

「うっ!くぅ!雅人、雅人、好きだ!愛してる!うっ!」

腰を押し付けて俺の中に吐き出した。気持ち良くて堪らない。

「もっと、もっとして。」

「ああ、これで終わりなわけないだろ?朝までしような。」

あの目だ。獲物を捕らえた目。俺をオメガにするあの目。
俺たちは朝まで愛し合った。途中で俺は気を失ったけど…。

目が覚めると案の定、足腰が立たなかった。
バイト休みにしといて良かった~。

でもまぁサプライズは成功したし、忠臣はすごく喜んでくれたから良しとしよう。


mission impossible   任務完了だ。




~fin.~



リクエスト&お読みいただきありがとうございました♪皆様の応援、とても励みになります。仕事、家事、育児を適当にしながら少しずつ書いております(๑˃̵ᴗ˂̵)
アイデアはたくさんあるのですが、時間がない。゚(゚´Д`゚)゚。
いくつかリクエストを頂いているのでゆっくりですが、頑張りたいと思っております。
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