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第二章 私は笑顔の下で牙を剝く
まずはブロンズを目指します
しおりを挟むほんと、驚きました。
まさか、ジェイクがギルドマスターなんて。教官って言ってたのに……大まかにくくれば、そうかもしれませんが。
実技試験を進行していた試験官は、副ギルドマスターのヨシュアさん。そして、一緒に試験を受けていたのが、シルバーランクのキョウ。さんを付けるべきですね。想像してた通り、高ランクの冒険者でした。一回、手合わせをお願いしたいですわ。
因みに、一番上、最高ランクがプラチナです。私が目指してるランクですわ。英雄王様もこのランクでした。この大陸で、プラチナは五人しかいないそうです。
二番目はゴールドです。超一流の冒険者ですね。王都などの大支部に、一人いるかいないかの人数ですね。小支部なら、まずいません。大体、百人程度ですね。
三番目がシルバーです。一流の冒険者ですわ。大支部に一人はいるくらいの人数ですね。当然、小支部にはいませんね。大体、三百人程度らしいです。
四番目がブロンズです。このランクに昇格すると、一人前だと認められます。冒険者の大半がこのランクですね。そして、昇格できずに引退するそうです。
最後に五番目がカッパー。今、私のランクはここですね。
つまり、冒険者の八割はブロンズとカッパーが占めていることになります。
「シア、プラチナを目指すなら、依頼を大量にこなさいとな」
ジェイクが言います。
「それはわかる。量と質、どっちが早く上がる?」
かなり生意気なことを言っていると自覚してるけど、大事なことです。
私が自由に動けるのは、学園に入学するまでの一年間。ここで、ポイントを稼がないといけません。目標は、シルバーが狙える位置までですね。
「そうだな、ブロンズまでは量をこなすことだな。ブロンズからは七割が量、残り三割は質にこだわればいい。まぁ、まずはブロンズに上がることだな」
確かに、ブロンズに上がれないと話になりませんね。
「わかった。参考になった。感謝する、ギルマス」
喋り方が慣れないから、どうしても片言のようになりますわ。
「まずは、簡単な依頼でも受けてみたらどうだ?」
ジェイクはそう言うと、依頼書が貼ってある掲示版まで連れて来ました。ざわついていたギルド内が静かになります。
ジェイクが下りて来たから? さすが、大支部のギルマスですね。
特に気にもとめずに、私は話しを続けました。
「今日、合格したばかりなのに、いいのか?」
私がそう尋ねると、ジェイクは私の胸にあるカッパーのブレートを指差し言いました。
「それを受け取った時点で、お前は冒険者だ」
「そうか……なら、あれとあれにする」
指差したのは、魔犬の討伐と薬草採取。期限は両方とも一週間。場所も同じ。地理的にも問題はありません。往復に掛かる時間は、強化魔法を使用して一日程度。それに、私には探知魔法があります。できないことはありません。
依頼書を取りたいのだけど……う~ん、届かない。背伸びしても無理です。
すると、ジェイクが持ち上げてくれました。
「ありがとう」
私はお礼を言ってから、依頼書を剥がしました。
「言ってなかったけど、依頼が達成できなかったら罰金、もしくはペナルティーが付くからな。ペナルティーが溜まると降格だ」
それ、剥がしてから言う!?
ギルマスじゃなかったら、絶対、文句言ってましたわ。
「別に問題ない。達成すればいいだけ」
「なら、それを持って、中央のカウンターに行け。プレートも一緒に出せよ。すると、正式に依頼を受けたことになる。依頼を終えたら、中央カウンターに戻って来い。魔物の買い取りもするからな。運良くドロップ品があったら、自由にしたらいいぞ」
「わかった」
詳しく教えてくれて助かります。
「これが流れだな。質問はあるか?」
「討伐した魔物の証拠品を提出しなくていいのか?」
依頼を受ける度にドロップ品とか、討伐した魔物を見せないといけないのなら、かなり面倒くさいですわ。
「その必要はない。このプレートが記録しているからな。討伐した魔物全てを」
私は貰ったプレートを思わず触ります。
プレートを受け取った時、魔力と血を一滴使用したから、何かしらの魔法具だと思っていたけど、かなり凄いものでした。さすが、冒険者。
「凄い……」
「だろ?」
ジェイクはニカッと笑いました。静かだったギルド内がざわつきます。気にはなりましたが、時間がもったいないので、サクサクと進みます。
「じゃあ、今から行って来る」
「準備はいいのか?」
「問題ない。すでに終えている。ギルマス、色々教えてくれてありがとう」
私はギルマスに軽く頭を下げてから、冒険者ギルドをあとにしました。
一応、必要な物はマジックバッグに全部入ってます。回復ポーションに魔力回復ポーション、麻痺を含む毒消しに地図と図鑑。後は数日分の食事に飲料水。あと諸々。ほんと、アンには感謝しかありませんわ。
とりあえず、冒険者になれたこと、一週間帰らない旨だけはお祖父様に知らせておかないと。レク様のお茶会も不参加の返事を出してもらわないといけませんわ。あと、アリシアお姉様とリストお兄様にも連絡しとかないと。まずは、アリシアお姉様たちですね。
私はクスリと笑うと、ピアス型の通信魔法具に魔力を流しました。
『アリシアお姉様――』
『どうだったの!?』
『フリーシア、どうだった!?』
まだ話している途中で、アリシアお姉様とリストお兄様が被せて訊いてきました。結構な大声で、耳がキーンとなりましたわ。それだけ、心配してくださったのですね。
『おかげさまで、合格しましたわ。それで、今から魔物討伐と薬草採集に行って来ます。一週間後に戻りますわ』
『『えっ!? ちょっと!?』』
焦っている姉兄の声が聞こえてきましたが、さっさと切って、お祖父様に連絡を入れました。
なんで、一週間家を留守にするって告げると、焦るのでしょう。なので、要点だけ伝えます。冒険者なら、珍しくもないのに。過保護ですね
最初の達成料は、皆にプレゼントを買おうと決めてますの。喜んでもらえると、とてもとても嬉しいですわ。
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