侍女の恋日記

桜 詩

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クリスの章

家族の団らん

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 王宮を辞して、帰宅してみれば……お届けものの山が、できていた!

「お、お、お、お母様… 」

「もう次次届いて裁き切れないのよ…」
母は頬に手をあてほんとに困ってるのか首をかしげる。
 
「どなたからなんですの?」
「侯爵家からよクリス」
「もうねぇ、あなたのドレスやら、弟たちの服やらあなたの靴やら」
ふうっと息をはいて
「揺りかごまできてるの。赤ちゃんの服とかおもちゃとか」
「お母様!私まだ妊娠なんてしてません!」
「それはもちろん私もわかっているし、侯爵家の方々もおわかりのはずなのにねぇ… 」

吹っ切るようにニッコリわらった母は
「まぁ、そのうちほんとに要るようになるでしょうから、お返しするのも気がひけるし贈り物をおく部屋をつくっておきましょうか」
「はい、すみませんお母様。」

ちゃんと手順を踏んで結婚するべきだと過去にもどって自分をひっぱたきたくなった 。

「あっ、ジェイク様からお手紙が届いていたから机においてあるわ 」
自室にはいると、趣味のよい、花模様のついた手紙があった
「…ジェイクからの手紙なんてはじめてかも…」

拡げるととても意外なことに流麗な文字が目に飛び込む。


『クリスへ
婚約から結婚まであわただしくて、ほんとにごめん
本当に親に言われたからじゃなくて、君にちゃんと告げて渡すつもりで
指環も用意していたんだよ
親に押しきられるなんて情けない男だけど、君を誰よりも愛しています
次の休みに訪ねます
ジェイク』


うゎジェイク甘すぎる。恥ずかしい!けど嬉しい!

『ジェイクへ
手紙をありがとう
今までほとんど毎日会っていたから手紙なんて本当に新鮮で嬉しかった。指環をありがとう。用意してくれていたなんて…
思いもしてなかった。
次の休みが待ち遠しいです。
私もジェイクを愛しています
あなたのクリスティン』

うゎ自分で書いて照れてしまう!
初恋文よーー!

手紙で悶えて、食卓へ向かう
「クリス、過ぎたことだが、ほんとにお騒がせ過ぎる」
父が苦言をいう。
大分怒りは収まったらしい。

「クリスはこれまでいるかいないかわからないくらい、良い子にしていたから、これで帳尻が合うのですよ父上」
一番上の兄エディがニッコリと言った。

何気に存在感が、ないことをグッサリ言われた気もする。
次兄のギルバートもうんうんとうなずく
「決まるときはこうして一気に決まることもあるんです」
「それに侯爵家と繋がりが出来て我が家も心強いんじゃないですか?」
後継ぎらしく冷静にエディが言った。

「そうねぇーちょっと変わった方だけど、見た目は!すごく素敵ですからねジェイク様」
母がいう。見た目を強調しましたね……
はぁもう、皆してグサグサと
アベルとアランは
「僕たちはかわいい女の子が生まれてほしいな!ね、アラン」
「うん!そしたらすっごく可愛がるんだ!」
「アベル、アランまだ赤ちゃんは出来てないからね? 」
ダメだ実家にいるのに何、この疲労感…
「でも結婚したら赤ちゃん生まれるでしよう? 」
「そうかもね」
実家でゆっくりもできやしない。
「クリスちゃんはさぞやかわいい花嫁姿でしょうね、楽しみだわ」
エディの妻シンシアが言う。21才のほんわかした女性で去年兄と結婚したばかりの新妻さん。
この方がお嫁にくることになり、侍女勤めをしようと決心したことも要因のひとつということは秘密。
小姑なんて嫌よね?

そういえばとエアハート家も兄弟七人と多いけど、ジェイクのウェルズ家も五人で大家族同士。
その環境もあって気があったのかしらと思う。

なんだか言葉の攻撃を受けつつ食事を済ませた。味がさっぱりわからなかった。
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