侍女の恋日記

クリスの章

母になりました

　夏がそろそろ終わる頃。
クリスの出産はいよいよ近づいていた。

お腹が大きくなり、クリスは歩くのもつらいほどだ。
ローレンシアは毎日きて、クリスの様子をみていた。
「クリスティン様は小柄ですし、早めに生まれるとよろしいのですけど」
母たちの言うとおり、クリスはまた悪阻の時のように食べれなくなっていた。
「いつ生まれてももうおかしくはないと思いますよ！」

クリスはどきどきしながら、その日をまった。
レースで編んだベビー服の帽子と靴下は、双子だから２つずつ完成して、大満足！！
母とシエラやシンシアもたくさんの服をつくってくれたし、足りないものは無さそうだった。
クリスの過ごす部屋にベビーベットも２つ置かれていつでもいらっしゃいという状態になった。

ちょうどジェイクの休みで来ているときに、クリスはお腹がいたくなりいよいよ出産となったのだ！

時間はかかったが、その日の夜に無事男の子と女の子が生まれて、屋敷中が浮き足だった。
「ジェイク様！生まれましたよ！」
広間にいたジェイクにクリスの母ディアナが喜びの声をかけてジェイクは急いでクリスの元にやって来た。
「さぁ、ジェイク様こちらが若君ですよ」 
リアンが小さな赤ちゃんをジェイクに抱かせた。

「うっわちっさい！！」
そのままクリスにより
「クリス、見た？すーっごくかわいい！」
「ほんとに？おさるにしかみえないよ」
疲れきった表情でいうクリスに
「ほんとにありがとうクリス。お疲れさまだったね、ゆっくり休んで」
リアンに赤ちゃんを返して、
「こちらが姫様ですよ」
とロレインがジェイクに抱かせた。
「二人とも、そっくりで見分けがつかないな…」
「そうね私も、自信がないわ…」
ふたりで苦笑しあった

ジェイクは生まれた翌日に、男の子にライナス、女の子にエスターと名付けてくれた。
生まれたてはサルだった双子だけど、日にちとともに、皮膚がすべらかになり、目がぱっちりすると金色の髪に青い瞳をした天使のような可愛さで、大人たちは夢中になった。