侍女の恋日記

桜 詩

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エセルの章

すべてはその日の為に

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冬になり、エセルはいよいよ忙しくなった。
結婚式の披露宴の招待状を、書いていた。
毎日毎日たくさん!
カリカリカリカリ。カリカリカリカリ。

そして、ドレスの仮縫い……
長く後ろのトレーンを引くそのドレスにエセルはひきつった。
「あのぅ。これ私歩けないんじゃ…」
「大丈夫ですよ、ヴァージンロードさえ歩ければ」
「このヒールもう少し低く…」
「なりませんね、殿下もが背が高くていらっしゃいますし、あまりにエセル様が小さく見えましても、見映えがよろしくありません」
ひぇぇ。みんな、怖いんだけど、
ドレス職人も王家の婚礼衣装には、お金を気にせずまた、国の威信と、そこに任されたプライドがあるため、エセルの希望はほとんど無視だった。
ベールもまた、とてつもなく長く、
「あのぅ、首の骨折れそうなんですけど…」
「何をおっしゃいます。おれませんよ!」
「ほんとに面白いですわね、エセル様は」
とほほほっとみんなが笑う。

ずっしりとしたシルクに、銀糸で、刺繍を施されたとても素敵なドレスで前はすっきりシンプルなラインで、後ろにはたっぷりのフリルとレースで、長く長くトレーンが引くように非常に素晴らしいドレスだ。
自分でもが着るのでなければ…… 
ティアラと共につけるレースのベールも身長をこす長さだった。
ヒールはほとんど垂直型ですか?という角度で、底も厚くなっている。

「あのぅ、皆さんこれ着て歩けます?」
「まぁ」
とおかしそうにわらう
「私たちには、無理ですわ~」
「エセル様は王子妃に、なられるのですから、これくらい着こなしていただかなくては!」
「……はぃ、そぉですね」
王子妃なんて、王子妃なんて、王子妃なんてーー! 
心の中で絶叫した。
それでもやめようとは思わないなんて……
やっぱり頑張ると約束したからかしら?
「大丈夫ですわ、当日は支えがありますから一人で歩けなんてだれももうしませんし」
ふふふっ、と仕立て屋は笑った 

衣装は、式とパレード 用 、披露パーティ用、晩餐会用と作られる。どれだけかかるのかっ!アクセサリーは王族の所有の中から合うものも遣うと、聞いてちょっとほっとする。

料理長と晩餐会とパーティの料理の相談。これは王妃様がつききりで教えてくださる。
ほとんどうなずくだけだ。

こうして、着実にアルベルトとの婚礼の日は近づいていった。
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