魔族のペット(ネコちゃん)の調教記録

えい

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8.飼いネコ

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ノラは野良だった。
餌を貰うためにだけ適当な男と交尾して、それ以外は木の上にいた。外敵から身を守りながら、寝ている時ですら気が抜けない。隠れ家を点々として、一箇所には留まらないようにしていたのに。

「ふ、やめ、やじゃ、やじゃぁあっ、っ」
「中でイくのじょうず。かわいいねぇ、かわいい。ひどくされた分うんと舐めてあげるからね」

起きた時には首輪を嵌められていた。
『言っておくが、それはオレの独断だ。あそこまでされて尚、野良のままにさせる気はない。よかったな。お嬢も喜んでいる。喜びすぎて、ずっとこの状態なんだが』
ずっと、身体を舐められている。身体中にある傷は重点的に。とくに穴は念入りに。
切り傷だらけの身体の割には、医者の判断も舐めとけば治るレベルだったようで、それを素直に受けたシィロがひたすら舐めている。
他では不感症に近いのに、シィロには弱い。
そのシィロに数日ずっと舐められていたせいで、ひくりひくりと反応を見せる。穴の浅いところで舌が出たり入ったりを繰り返すそれは特によく、散々それを繰り返した後に細い指で中を触られると簡単にイくようになった。
余計、勃起に時間がかかるようになった代わりに、中の感度が上がっていく。
射精できないので中でイっても熱が引かなかった。

「完治したら、ココでたくさん遊びたいな。きっと前より気持ちいい」
じゅっじゅっと穴を吸う。
「やめ、わしが、するから、もう」
「だめだめ。治るまではボクが全部してあげるの」
飽きもせずに、ずっとこの状態の自分たちを眺めて隠居が笑う。
「前とどれだけ違うか、味見するのが楽しみだな。お嬢は教えるのが上手い」
「……隠居のは、入りきらぬので、できれば遠慮した」
「入るようにボク頑張るね?たくさんここで気持ちよくなれるようにするね?他のとこに行きたくないようにするからね?」
可愛い顔して恐ろしいことを言ってる自覚は……おそらくないのだろう。
隠居はまた喉を鳴らして笑った。




ヤシャは欠伸を噛み殺しながら、その苦情を聞いていた。
シィロがネコを殺しただの、同胞を殺しただの。危険だから処分してくれだの。
わざとシィロがわざと生かした者が騒ぎ立てていた。
あいつは危険だ、近づくなと言わせるためだけ、ノラに手を出せばあいつが黙っていないと周知させるだけの道具が、動き方を間違えたらしい。
ヤシャは下らないと思う。

「ネコがしたことだ。許せ」
「…し、しかしご隠居さま!」
「ほう、まだ続くか。お嬢のお気に入りと知ってノラに乱暴をした挙句、顔を見せるとは余程の阿呆よ。そのままお嬢に震えていればよかったものを」
「ご隠居さ」

これ以上は面倒だと、指を弾いた。
それだけでその男の首が飛び、心臓が抉られる。
さて、無駄な時間を過ごした。


戻ればシィロが飛びついて来た。
「おかえりなさいませ。ヤシャさま、シィロに構ってくださいませ」
「ノラはいいのか?」
「ノラは……ボクがやりすぎて、イきすぎてしまい、ちょっと休ませてあげないと、と思いまして」
褥の中のノラを見ると、一人でひくひくと身体を震わせていた。身体を抑えようと必死で肩を掴み悶えている。
「よくもまぁ、ノラをあそこまでできる。執念というか意地というか」
「だってボク以外とは遊んでほしくないんですもの」
口付けして、それが深くなった。
そこで明るい声を出す。
「あ、ヤシャさまはいいのですよ?ちゃんとボクがヤシャさまにも気に入っていただけるようにしますので」
「…それは楽しみだが、いまも気に入ってはいるぞ」
手を伸ばせば、鬱陶しそうに、けれどきちんと擦り寄ってくる。それ以上はしない。勝手にやってろと言わんばかりの態度だ。
口をくすぐっても開こうとはしないノラに、シィロが口を口で覆う。
「んんんんっっ」
ぢゅっと音を立てて吸って舌を引き出して、そのまま絡ませる。
「もぅ、やじゃ」
泣きが入ったところで、シィロが満足してヤシャの舌に吸い付いた。
「口の中柔らかい、ですよ」
半開きになったノラの口に指を近づけると大人しく咥えて弱々しく吸う。
「お前もかわいそうにな、ノラ。お嬢の手のひらで転がされて。お前にとっては姫か。まぁでも諦めろ」
今更シィロがノラを逃すとも思えない。
気に入られたら最後。地獄の果てまで追ってくる。


シィロは教えた。
優しく根気よく。いやがるノラに手取り足取り。
もともと飢餓状態でもなければ咥えることのなかった男のソレを、シィロと一緒であればどうにか口にする。
ヤシャは己のペニスを交互に咥えるネコを見て、可愛いと思う反面、半ば呆れた。
「お嬢、あまり無理強いはするなよ」
「無理?ノラ、おいしくない?ボクのはすきなのに」
「気持ちの、問題じゃ…」
「ボクのこと大好きってことだね」
うれしいうれしいと、たくさん顔にキスをして一緒に舐める。舐めてはキスをする。
隠居がシィロの頭を掴んだ。シィロは喜んで喉奥に入れる。
「ふ、ぐ、ん、ん、ふ」
口の奥で受け止めて、そのままノラに口付ける。
分け与えて飲む。溢れたそれをお互い舐め合った。
これならまぁ悪くはない。


「どう?」
「はるかに良いな。さすがだお嬢。ちゃんと良さそうな顔をするようになったではないか、ノラ」
「~~~゛」
口を抑えているとそれを取られてシィロに塞がれた。
完治してからシィロは根気よくそこを広げ、開発した。玩具は嫌がったのでシィロ自身でドロドロに溶かして。
奥になるとシィロだけではどうも届かないので隠居に頼みこうなっている。
「痛くない?痛かったら言ってね?」
「は、ふはっ、いたくは、ないが」
広がりすぎていやだ。
「いつもより、おくに、来ているん、じゃが」
「餌をやってる頃は浅いところで食わせてたからな。なに、安心しろ。全部は入れとらん」
「全部は入ってないけど、大きく開けて呑み込んでるね」
結合部を触りながら、実況はやめてくれ。それには「お嬢」と隠居も息を詰まらせた。
「入れられながらね、お腹触るとゴリゴリして気持ちいよね?」
腹を押されて、当たる。
ノラは息を詰めて、隠居はさらに奥への入る。
「出すぞ」
シィロがノラの口付けをして、ノラはそのまま受け止めた。
濃い、多い。
隠居がそこから引き抜く。
「おそろい、うれしいね」
シィロがぺちゃぺちゃとそこを舐めた。




完治して、さらにしばらく経てば外に出してもらえるようになった。
シィロに髪を結いあげてもらい、爪を整えられる。爪は紅色に塗るのがお気に入りだった。
首には仕方なくつけている首輪がある。シィロとお揃いのものだ。
庭で池の中の鯉を眺めたり、木に登ったりして遊んでいるのはよく見る光景だ。
ヒト前ではあまり肌を見せたがらないのは相変わらずだったが、縁側で日向ぼっこをしながら毛繕いはよくしている。
側から見ると微笑ましい光景で屋敷に従事する者たちの癒しになっていた。


野良はノラだった。
今は、寝床の心配もなければ胎を空かせる心配もない。疲れれば可愛いシィロに抱かれたまま眠り、たまに隠居にもたれかかって眠る。
たまに狙われることもあるので、気は抜かないが隠居がいれば適当に守ってくれる。
案外飼いネコも悪くないとは思った。
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