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第3章:帝国境への道――刻まれる宿命の足音
27話
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7.夜襲と決断
宿へ戻ったのは、すっかり日も落ちた頃だった。通りには明かりが灯されているが、昼間の賑わいとは打って変わって、まばらに人影が行き交うだけ。
アストリッドとクラリッサは周囲に警戒を怠らず、どうにか宿の二階へたどり着いた。ドアを開けて、中に転がり込むように入り、鍵をかける。
「ふう……無事に戻れましたね」
「ええ。だけど、気が抜けないわ。あの追跡屋たちが今夜中に動けば、明日には完全に封鎖されるかも……。商会の人たちは大丈夫なのかしら」
不安と焦りで頭が混乱してくる。商隊が潰される可能性だってあるし、自分たちが捕まるのも時間の問題かもしれない。
アストリッドは頭を振って、意識をはっきりさせる。――いざとなれば、自分の力を使ってでも突破しなければならない。
「クラリッサ、今夜は交代で寝ましょう。私は先に少し休むから、あなたは起きていて。2、3時間したら交代して」
「はい、分かりました……。お嬢様、どうか無理はしないでくださいね」
そうしてアストリッドはベッドに横になり、できるだけ警戒を緩めずに浅い眠りに落ちる。クラリッサはランプを小さく灯したまま、ドアの前で椅子に座り、時折窓の外を覗きながら夜の帳を見守った。
――それからどれくらい経っただろうか。夜更けも深まり、町の灯火が一層静かになった頃、廊下の先でドスドスと重い足音が響き始めた。
「……! お嬢様、起きてください!」
クラリッサの呼びかけに、アストリッドははっと目を覚ます。すぐに立ち上がり、荷物の袋を手に取る。
足音は複数。外から宿に入ってきたのか、階段を上がり、何かを探しているようだ。男たちの低い声が聞こえる。
「金髪の女が泊まっているはずだ……部屋を片っ端から当たれ」
「へへ、また一山当てられるかもしれねえな」
――来た。追跡屋か、あるいは彼らの仲間だろう。ドアを破られれば、もう逃げ場はない。
クラリッサは震えながら小声で呟く。
「ど、どうしましょう……お嬢様」
アストリッドは胸の奥の奇跡の力を意識する。何度か実戦で使ったが、今の自分にどれほどの威力があるか分からない。治癒魔法が中心のはずが、なぜか攻撃的な火花を帯びることもあった。
――もし襲いかかられたら、多少強引でも切り抜けなければならない。
(落ち着いて……魔法なんて大層なものじゃない。けれど、少しでも相手をひるませるぐらいはできるかもしれない)
ドアの外で、男たちが扉をひとつずつ開けながら確認している気配がする。隣の部屋の住人が悲鳴を上げ、罵声が飛び交う。いよいよ時間の問題だ。
「……クラリッサ、窓から逃げられるかしら」
「二階ですし、下に目立つような足場は……あっ、でも、裏庭側に古い蔦(つた)が這っていました。そこを伝って降りられるかもしれません」
僅かな望みにかけ、アストリッドとクラリッサは急いで窓へ向かう。カーテンを開けると、確かに壁に沿って蔦のような植物が伸びている。夜目で確認する限り、太さもそこそこあり、慎重に降りればなんとかなるかもしれない。
一方、ドアのすぐ外からは男の声が聞こえてくる。
「ここだ。まだ確認していない部屋は……」
アストリッドは喉がカラカラになるのを感じながら、窓枠に足をかける。
「クラリッサ、私が先に降りるから、あなたも続いて……!」
「は、はい……」
二人が窓から身を乗り出した瞬間、部屋のドアがガン! と大きく叩かれた。
「おい、いるんだろ! 開けろ!」
返事をしなければ、すぐにでも破られるだろう。
アストリッドは恐怖を必死に抑え、蔦に手を伸ばして慎重に外壁を降り始める。夜風が顔に当たり、心臓が爆音を立てている。
――ドアを破る音が聞こえた。奴らが勢いよく突入してきたのだろう。
「いないじゃねえか……? 窓……くそっ、逃げたか!」
男たちの怒声が聞こえる。いつ外に飛び出してくるか分からない。アストリッドは歯を食いしばりながら、できるだけ素早く蔦を伝う。
下まで数メートルほど。足を滑らせそうになるが、何とか着地できる位置まで降りる。
地面は草地で、そこまで硬くはなさそう。深呼吸して心を決め、最後は飛び降りる。
「っ……!」
着地の衝撃で膝を打ったが、何とか踏みとどまる。すぐ上を見上げると、クラリッサも必死に降りてきている。
――だが、そのとき。宿の窓から男が顔を出して、こちらを見下ろした。
「いたぞ! 下だ! おい、回り込め!」
乱暴な声が響き、上階から別の男が飛び降りてこようとしている。逃げ場はすぐに囲まれてしまうかもしれない。
アストリッドはクラリッサの腕を引き、「走って!」と叫ぶ。暗い裏庭を抜け、石壁の隙間を抜ければ、町外れへ続く路地に出られるはずだ。
足音と怒号がすぐ後ろまで迫ってくる。もう、魔力を使って相手をひるませるしかないか――と思いかけたとき。
「……そっちだ! 行かせるな!」
「はああっ!」
不意に、横合いから素早い影が現れ、追っ手の男たちを薙ぎ払うように剣を振るった。
月明かりの下に浮かぶ黒い外套――ジークだ。
「まだこんな夜中に行動するとは、ずいぶん手回しがいいじゃないか」
ジークは低く呟きながら、ひらりと身を翻して男たちの攻撃をかわす。鋭い斬撃が夜の空気を切り裂き、複数の男を一度に怯ませる。
そのあまりの華麗さに、アストリッドもクラリッサも一瞬見とれてしまう。追っ手たちは凶暴なわりに統率が取れておらず、ジークに次々と打ちのめされていく。
「今のうちだ。早く行け!」
ジークが短く叫ぶ。アストリッドはハッと我に返り、クラリッサとともに裏庭の外れを突破した。
真夜中のランフレアの街を駆け抜け、息を切らしながら物陰に身を潜める。どうやら追手はジークが引き受けてくれたのか、追ってくる気配はない。
クラリッサが肩で息をしながら、「はぁ、はぁ……助かりましたね……」と声を絞り出す。アストリッドも心臓の鼓動がなかなか収まらない。
「ええ……あの人、どうして……」
ジークが追っ手と戦う動機は分からないが、彼がいなければ捕まっていたのは確実だ。
――しかし、ここに留まるのはもう限界だろう。宿に戻るのも不可能。商隊の出発は明後日のはずなのに、それまで身を隠す場所がない。
「もう、こうなったら……商会の倉庫に行きましょう。あそこなら荷馬車が並んでるし、警備もいるはず。ファーレン商会の副長さんに相談して、一日早く出発させてもらえないか頼んでみるとか」
「で、でも、そんな無茶をして大丈夫ですか? 契約があるにしても、勝手に予定を変えられないんじゃ……」
「……それでも、じっとしていたら捕まるだけよ。もし商会がダメなら、私たちは別の道を探すまで」
暗闇の中、二人はしっかり手を握り合う。どんな危険があっても、一緒に切り抜けると誓ったからだ。
アストリッドはもう一度、深い呼吸で心を落ち着かせ、裏通りを使ってファーレン商会の倉庫を目指し始める。今はただ、そこに逃げ込むしか術がない。
――夜のランフレアは、まるで夜盗の住処(すみか)のように不気味な静寂に包まれていた。明け方までまだ数時間。追跡屋たちの検問が敷かれる前に、ファーレン商会へ辿り着くことができるのか――彼女たちの足音が、宿命を刻むように石畳を打ち鳴らした。
宿へ戻ったのは、すっかり日も落ちた頃だった。通りには明かりが灯されているが、昼間の賑わいとは打って変わって、まばらに人影が行き交うだけ。
アストリッドとクラリッサは周囲に警戒を怠らず、どうにか宿の二階へたどり着いた。ドアを開けて、中に転がり込むように入り、鍵をかける。
「ふう……無事に戻れましたね」
「ええ。だけど、気が抜けないわ。あの追跡屋たちが今夜中に動けば、明日には完全に封鎖されるかも……。商会の人たちは大丈夫なのかしら」
不安と焦りで頭が混乱してくる。商隊が潰される可能性だってあるし、自分たちが捕まるのも時間の問題かもしれない。
アストリッドは頭を振って、意識をはっきりさせる。――いざとなれば、自分の力を使ってでも突破しなければならない。
「クラリッサ、今夜は交代で寝ましょう。私は先に少し休むから、あなたは起きていて。2、3時間したら交代して」
「はい、分かりました……。お嬢様、どうか無理はしないでくださいね」
そうしてアストリッドはベッドに横になり、できるだけ警戒を緩めずに浅い眠りに落ちる。クラリッサはランプを小さく灯したまま、ドアの前で椅子に座り、時折窓の外を覗きながら夜の帳を見守った。
――それからどれくらい経っただろうか。夜更けも深まり、町の灯火が一層静かになった頃、廊下の先でドスドスと重い足音が響き始めた。
「……! お嬢様、起きてください!」
クラリッサの呼びかけに、アストリッドははっと目を覚ます。すぐに立ち上がり、荷物の袋を手に取る。
足音は複数。外から宿に入ってきたのか、階段を上がり、何かを探しているようだ。男たちの低い声が聞こえる。
「金髪の女が泊まっているはずだ……部屋を片っ端から当たれ」
「へへ、また一山当てられるかもしれねえな」
――来た。追跡屋か、あるいは彼らの仲間だろう。ドアを破られれば、もう逃げ場はない。
クラリッサは震えながら小声で呟く。
「ど、どうしましょう……お嬢様」
アストリッドは胸の奥の奇跡の力を意識する。何度か実戦で使ったが、今の自分にどれほどの威力があるか分からない。治癒魔法が中心のはずが、なぜか攻撃的な火花を帯びることもあった。
――もし襲いかかられたら、多少強引でも切り抜けなければならない。
(落ち着いて……魔法なんて大層なものじゃない。けれど、少しでも相手をひるませるぐらいはできるかもしれない)
ドアの外で、男たちが扉をひとつずつ開けながら確認している気配がする。隣の部屋の住人が悲鳴を上げ、罵声が飛び交う。いよいよ時間の問題だ。
「……クラリッサ、窓から逃げられるかしら」
「二階ですし、下に目立つような足場は……あっ、でも、裏庭側に古い蔦(つた)が這っていました。そこを伝って降りられるかもしれません」
僅かな望みにかけ、アストリッドとクラリッサは急いで窓へ向かう。カーテンを開けると、確かに壁に沿って蔦のような植物が伸びている。夜目で確認する限り、太さもそこそこあり、慎重に降りればなんとかなるかもしれない。
一方、ドアのすぐ外からは男の声が聞こえてくる。
「ここだ。まだ確認していない部屋は……」
アストリッドは喉がカラカラになるのを感じながら、窓枠に足をかける。
「クラリッサ、私が先に降りるから、あなたも続いて……!」
「は、はい……」
二人が窓から身を乗り出した瞬間、部屋のドアがガン! と大きく叩かれた。
「おい、いるんだろ! 開けろ!」
返事をしなければ、すぐにでも破られるだろう。
アストリッドは恐怖を必死に抑え、蔦に手を伸ばして慎重に外壁を降り始める。夜風が顔に当たり、心臓が爆音を立てている。
――ドアを破る音が聞こえた。奴らが勢いよく突入してきたのだろう。
「いないじゃねえか……? 窓……くそっ、逃げたか!」
男たちの怒声が聞こえる。いつ外に飛び出してくるか分からない。アストリッドは歯を食いしばりながら、できるだけ素早く蔦を伝う。
下まで数メートルほど。足を滑らせそうになるが、何とか着地できる位置まで降りる。
地面は草地で、そこまで硬くはなさそう。深呼吸して心を決め、最後は飛び降りる。
「っ……!」
着地の衝撃で膝を打ったが、何とか踏みとどまる。すぐ上を見上げると、クラリッサも必死に降りてきている。
――だが、そのとき。宿の窓から男が顔を出して、こちらを見下ろした。
「いたぞ! 下だ! おい、回り込め!」
乱暴な声が響き、上階から別の男が飛び降りてこようとしている。逃げ場はすぐに囲まれてしまうかもしれない。
アストリッドはクラリッサの腕を引き、「走って!」と叫ぶ。暗い裏庭を抜け、石壁の隙間を抜ければ、町外れへ続く路地に出られるはずだ。
足音と怒号がすぐ後ろまで迫ってくる。もう、魔力を使って相手をひるませるしかないか――と思いかけたとき。
「……そっちだ! 行かせるな!」
「はああっ!」
不意に、横合いから素早い影が現れ、追っ手の男たちを薙ぎ払うように剣を振るった。
月明かりの下に浮かぶ黒い外套――ジークだ。
「まだこんな夜中に行動するとは、ずいぶん手回しがいいじゃないか」
ジークは低く呟きながら、ひらりと身を翻して男たちの攻撃をかわす。鋭い斬撃が夜の空気を切り裂き、複数の男を一度に怯ませる。
そのあまりの華麗さに、アストリッドもクラリッサも一瞬見とれてしまう。追っ手たちは凶暴なわりに統率が取れておらず、ジークに次々と打ちのめされていく。
「今のうちだ。早く行け!」
ジークが短く叫ぶ。アストリッドはハッと我に返り、クラリッサとともに裏庭の外れを突破した。
真夜中のランフレアの街を駆け抜け、息を切らしながら物陰に身を潜める。どうやら追手はジークが引き受けてくれたのか、追ってくる気配はない。
クラリッサが肩で息をしながら、「はぁ、はぁ……助かりましたね……」と声を絞り出す。アストリッドも心臓の鼓動がなかなか収まらない。
「ええ……あの人、どうして……」
ジークが追っ手と戦う動機は分からないが、彼がいなければ捕まっていたのは確実だ。
――しかし、ここに留まるのはもう限界だろう。宿に戻るのも不可能。商隊の出発は明後日のはずなのに、それまで身を隠す場所がない。
「もう、こうなったら……商会の倉庫に行きましょう。あそこなら荷馬車が並んでるし、警備もいるはず。ファーレン商会の副長さんに相談して、一日早く出発させてもらえないか頼んでみるとか」
「で、でも、そんな無茶をして大丈夫ですか? 契約があるにしても、勝手に予定を変えられないんじゃ……」
「……それでも、じっとしていたら捕まるだけよ。もし商会がダメなら、私たちは別の道を探すまで」
暗闇の中、二人はしっかり手を握り合う。どんな危険があっても、一緒に切り抜けると誓ったからだ。
アストリッドはもう一度、深い呼吸で心を落ち着かせ、裏通りを使ってファーレン商会の倉庫を目指し始める。今はただ、そこに逃げ込むしか術がない。
――夜のランフレアは、まるで夜盗の住処(すみか)のように不気味な静寂に包まれていた。明け方までまだ数時間。追跡屋たちの検問が敷かれる前に、ファーレン商会へ辿り着くことができるのか――彼女たちの足音が、宿命を刻むように石畳を打ち鳴らした。
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