偽聖女と断罪された私、帝国で真の力に目覚めました  ――王国はもう、救いません

鍛高譚

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第4章:復讐の果てに待つ、煌めきの新世界

30話

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帝国領への突入と国王の嘆き

 ランフレアから先は、王国領内でも管理が甘い地域がしばらく続く。道中、魔物や追跡屋が出没する危険はあるものの、大所帯の商隊に手を出す強者はいない。
 アストリッドは馬車の中で体力を回復させながら、時折ジークに誘われて周囲の警戒も行った。幸い、大きな襲撃はなく進軍は順調だ。
 やがて大きな川を越えれば、そこは帝国との国境近く。関所が設置されているが、ファーレン商会の綿密な手続きのおかげで検問はスムーズに進んだ。

 帝国領に足を踏み入れると、風景が微妙に変わってくる。畑の配置や建物の様式も異なり、王国とは違う文化が息づいているのを肌で感じる。
「……本当に、ここまで来たのね」
 クラリッサがしみじみと呟く。アストリッドも馬車から外を見渡しながら、感慨深い思いで満たされる。

 こうして、“偽りの聖女”アストリッドは帝国へ亡命する形となった。元々はただ逃げてきただけだが、結果として亡命と変わりなくなったのだ。

 一方、その頃――王国では混乱が起きていた。
 追放されたはずの公爵令嬢アストリッドが、辺境の地で生存しているという報せが王城に届いていた。しかも、彼女には未だ強力な奇跡の力が残っており、追っ手を返り討ちにして帝国へ逃れたのだという。
 これを受けて国王や神殿、さらには第一王子ライナーは大いに揺れる。ミレーユが“真の聖女”だという建前が崩れかけているし、帝国との関係にも影響するかもしれない。

「くそ……あんな女を野放しにしておくなんて……!」
 ライナーは玉座の間で怒りを露わにするが、すでにアストリッドが帝国領に入った以上、王国の手出しは容易ではない。神殿の高司祭も、何とか彼女を闇に葬りたかった思惑が外れて苦い顔をしている。

 ――だが、これはほんの序章に過ぎない。
 アストリッドが帝国で力を取り戻すなら、いずれ王国に振り下ろされる復讐の刃は想像を絶するものになるだろう。
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