獣人アイスクリーム 獣人だらけの世界で人間のボクがとろとろにされちゃう話

谷村にじゅうえん

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45,類とイイコト*

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 元同僚に送ったメッセージ『今夜は類とイイコト』……。虎牙はそれをしっかり現実にした。

「虎牙さんの部屋、久しぶり」

 会社帰り、一緒にスーパーに寄ってから、類は虎牙の部屋へ足を踏み入れた。
 ここへ来たのはあの嵐の日以来だ。

「急だったから片付いてねーけど。って、前来た時も同じ感じだったか」

 虎牙はブツブツ言いながら、その辺に散らかった衣類やチラシを片付ける。
 けれども1分とたたずに片付けを切り上げ、類の手首をつかんだ。

「こっち来いよ。ふたりきりの時間は貴重だ」

 類はそのままベッドに押し倒される。
 ベッドから、彼の匂いが強く香った。それだけで類の胸は躍る。

「類……」
「虎牙さんっ」

 キスをしながら、大きな手で体をまさぐられる。素肌の上を滑る、硬い手のひらの感触にゾクゾクした。

(もっと……もっと触って……!)

 類は彼の手のひらに、自ら体を押しつける。
 類の体も、そして触れてくる彼の手のひらも、どんどん熱くなっていった。
 キスを終え、一緒にはき出す吐息も……。

 虎牙が、困ったように笑って言った。

「ヤバいな、牙がうずく。おまえのここに噛みつきたい!」

 類のうなじを彼の指が行き来する。

「……っ、ぼくもガブガブしてほしい……!」

 首に噛みつき背後から挿入されることを想像すると、類の下半身はむず痒い熱に侵された。

「けど、あれ始めたら、なかなかやめられないからな」

 虎牙は外の物音を気にするように、頭の上の丸い耳を斜めに傾ける。

「やだ、噛んで」
「類……」
「虎牙さんが噛んでくれないなら、ぼくがしちゃうよ?」

 類は彼の首に両腕を回すと、牙のない歯をそこに当てた。

「はあ……!」

 彼の香りを堪能しながら、しっとりと汗ばむ首筋を存分に味わう。
 金色の毛先が、思わせぶりに類の鼻先をくすぐった。

「こら、類、くすぐったい」

 苦笑いで引きはがされ、両肩をベッドに押しつけられる。
 けれども一度離れたその距離は、すぐに彼の方から埋められた。

「食われるのはおまえの方だ」

 のけぞった首筋に食らいつかれた。

「ひあん!」

 ベッドの上で、類の背中は弓なりにしなる。

「おまえはおれの獲物……。骨の髄までしゃぶりつくしてやりたい」

 首の周りを何度も舐めて甘噛みされた。
 それをされるたび、まだ触れられてもいない類の股間が張り詰める。

「もうダメ、ヤだ、いっちゃう……から!」
「ねだったのはそっちだろ?」
「でもっ、ぼくだけイキたくない」

 お尻の中に、熱い精液をたくさん注がれたい。さっきからその妄想でおかしくなりそうだ。
 腰ががくがくと震える。

「仕方ねーな!」

 虎牙が類のパンツの前立てに手をかけた。

「はやく!」

(はやくぼくをぐちゃぐちゃにして!)

「時間は!?」

 二人同時に壁の時計を振り向く。
 長針が10の数字を指していた。

「あと10分! いけるか!?」

 虎牙がそう言った次の瞬間――。

「くそっ!」

 彼の舌打ちと前後して、玄関で呼び鈴が鳴った。

「おーい、虎牙のアニキー!?」

 冬夜の声だ。
 実は彼を呼んだのは、他でもない虎牙自身だった。
 帝の監視がある中、類とふたりきりで会うのは難しい。だったら他のヤツらも呼ぼうと……。
 だがまだ約束の時間の10分前だ。

「早えよ!」

 虎牙は泣き笑いの顔で玄関へ向かった。
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