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出会い
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寮へ向かうアネリと別れ、私は大講堂へと向かった。
「わあ、確かに綺麗だわ」
門をくぐった途端、色とりどりの花々が生徒たちを出迎えるように咲き誇っていた。その中では、生徒たちの着ている白い制服がとても映える。
「白い制服なんてすぐ汚れるのにって思ってだけど……このコントラストは最高ね」
ニコニコしながら花々の美しさを満喫する。だが、ふと我に返った。花々に見惚れていた自分に気付いてしまったのだ。
『はっ、しまった。これじゃ私が人とぶつかっちゃうじゃない』
呆けた顔を元に戻し、今度こそと大講堂へ向かう。すると、ずっと大人しく抱かれていたクーが、突然私の腕の中から飛び出した。
「クー?まだ本調子じゃないんだからそんなに走っちゃ」
慌ててクーを追いかけると、思いっきり誰かにぶつかってしまった。
「すみません」
ぶつかった衝撃で目の前をチカチカさせながらも咄嗟に謝ると、私の頭上からテノールの声が聞こえた。
「すまない、呆けていた。大丈夫か?」
「こちらこそ。余所見をしていて……」
そう返事をした瞬間、私の身体がピキリと固まる。
『え?ちょっと待って。これって……』
ギギギと錆び付いた顔を恐る恐る上げる。ああ、ジーザス。そこには金色の髪をなびかせ、深紅の瞳を煌かせた嫌味な程綺麗な男性が、私の身体を支えていたのだった。
「あ、あ、ありがとうございます。それでは、急ぎますので失礼いたします」
焦った私は碌に目を合わせる事もなく、マッハで男性から離れた。
『ああ、なんて事なの。どうして私が出会いを体験しちゃってんのよ。ヤバい、ヤバいわ』
クーを探しながら、今のは夢だったと現実逃避する。だが、死にそうな程激しく打ち付けている鼓動が、夢ではなかったと主張していた。
『いや、あれは夢よ。幻よ』
それでも自分にそう言い聞かせながら進んでいると、噴水の水を覗き込んでいたクーが私に気付いて飛びついて来た。
「ああ、良かった。クーったら、ダメじゃない。まだ完全に元気になった訳じゃないんだから無闇に走ったりしちゃ」
するとエメラルドの瞳をキラキラさせて、私の頬にすりすりしてくる。これではもう怒れない。
「ふふ、もう。甘え上手め」
笑いながらも逃げ出さないようにしっかりと抱きかかえ、今度こそ大講堂へ向かった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「大丈夫でしたか?」
パウルとミアノが私の元へ駆け寄って来る。
「ああ、大丈夫だ」
私よりも彼女の方が大丈夫ではなかっただろう。
『高い鼻を打ち付けていたからな』
鼻を押さえながら、目を白黒させていた姿を思い出す。実は、彼女が花に見惚れているところから見ていた。金色の小さな動物を愛おしそうに抱きしめながら、咲き誇る花々を見つめている彼女から目が離せなくなったのだ。時折、風に煽られた銀の髪が揺れる姿は、何とも形容しがたい美しさを醸し出していた。光を浴びたイエローダイヤのような瞳が、キラキラ輝いているのを見た瞬間、心臓が鷲掴みされたような衝撃を感じた。彼女の腕から金色が零れ落ちたのを見て、思わず彼女の方へと駆け出してしまったせいで、彼女とぶつかってしまった。
「あっという間に居なくなってしまったな」
ぼそりと呟くと、ミアノが反応した。
「もしかして今の令嬢の事ですか?彼女は多分、ティガバルディ公爵家のご令嬢だと思いますよ。ティガバルディ公爵も、ヴィート様も銀髪でしたからね。それにしても……なんとも言えない美しさを持った令嬢でしたね」
パウルも反応する。
「噂では、ミケーリア嬢は魔力も高く剣の腕も相当なものだとか。なんでも兄のヴィート様にも数回に1回は勝つことがあるそうですよ」
「そうか……」
知っているのだという事実を隠して返事をする。そう。私は彼女を知っているのだ。
『勿体ない事をしてしまったようだ』
そう心の中で思いながら、二人を伴い大講堂へ向かった。
「わあ、確かに綺麗だわ」
門をくぐった途端、色とりどりの花々が生徒たちを出迎えるように咲き誇っていた。その中では、生徒たちの着ている白い制服がとても映える。
「白い制服なんてすぐ汚れるのにって思ってだけど……このコントラストは最高ね」
ニコニコしながら花々の美しさを満喫する。だが、ふと我に返った。花々に見惚れていた自分に気付いてしまったのだ。
『はっ、しまった。これじゃ私が人とぶつかっちゃうじゃない』
呆けた顔を元に戻し、今度こそと大講堂へ向かう。すると、ずっと大人しく抱かれていたクーが、突然私の腕の中から飛び出した。
「クー?まだ本調子じゃないんだからそんなに走っちゃ」
慌ててクーを追いかけると、思いっきり誰かにぶつかってしまった。
「すみません」
ぶつかった衝撃で目の前をチカチカさせながらも咄嗟に謝ると、私の頭上からテノールの声が聞こえた。
「すまない、呆けていた。大丈夫か?」
「こちらこそ。余所見をしていて……」
そう返事をした瞬間、私の身体がピキリと固まる。
『え?ちょっと待って。これって……』
ギギギと錆び付いた顔を恐る恐る上げる。ああ、ジーザス。そこには金色の髪をなびかせ、深紅の瞳を煌かせた嫌味な程綺麗な男性が、私の身体を支えていたのだった。
「あ、あ、ありがとうございます。それでは、急ぎますので失礼いたします」
焦った私は碌に目を合わせる事もなく、マッハで男性から離れた。
『ああ、なんて事なの。どうして私が出会いを体験しちゃってんのよ。ヤバい、ヤバいわ』
クーを探しながら、今のは夢だったと現実逃避する。だが、死にそうな程激しく打ち付けている鼓動が、夢ではなかったと主張していた。
『いや、あれは夢よ。幻よ』
それでも自分にそう言い聞かせながら進んでいると、噴水の水を覗き込んでいたクーが私に気付いて飛びついて来た。
「ああ、良かった。クーったら、ダメじゃない。まだ完全に元気になった訳じゃないんだから無闇に走ったりしちゃ」
するとエメラルドの瞳をキラキラさせて、私の頬にすりすりしてくる。これではもう怒れない。
「ふふ、もう。甘え上手め」
笑いながらも逃げ出さないようにしっかりと抱きかかえ、今度こそ大講堂へ向かった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「大丈夫でしたか?」
パウルとミアノが私の元へ駆け寄って来る。
「ああ、大丈夫だ」
私よりも彼女の方が大丈夫ではなかっただろう。
『高い鼻を打ち付けていたからな』
鼻を押さえながら、目を白黒させていた姿を思い出す。実は、彼女が花に見惚れているところから見ていた。金色の小さな動物を愛おしそうに抱きしめながら、咲き誇る花々を見つめている彼女から目が離せなくなったのだ。時折、風に煽られた銀の髪が揺れる姿は、何とも形容しがたい美しさを醸し出していた。光を浴びたイエローダイヤのような瞳が、キラキラ輝いているのを見た瞬間、心臓が鷲掴みされたような衝撃を感じた。彼女の腕から金色が零れ落ちたのを見て、思わず彼女の方へと駆け出してしまったせいで、彼女とぶつかってしまった。
「あっという間に居なくなってしまったな」
ぼそりと呟くと、ミアノが反応した。
「もしかして今の令嬢の事ですか?彼女は多分、ティガバルディ公爵家のご令嬢だと思いますよ。ティガバルディ公爵も、ヴィート様も銀髪でしたからね。それにしても……なんとも言えない美しさを持った令嬢でしたね」
パウルも反応する。
「噂では、ミケーリア嬢は魔力も高く剣の腕も相当なものだとか。なんでも兄のヴィート様にも数回に1回は勝つことがあるそうですよ」
「そうか……」
知っているのだという事実を隠して返事をする。そう。私は彼女を知っているのだ。
『勿体ない事をしてしまったようだ』
そう心の中で思いながら、二人を伴い大講堂へ向かった。
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