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二度目の話
両親にお願い 1
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今日、両親と話がしたいと言ったのには訳がある。
私から両親にお願いしたいことがあったのだ。
「アナ、今日は何か欲しいものをおねだりに来たのかな?」
「アナの好きな、お姫様と王子様の本の発売日は来月だったと思うのだけど。」
「あ…、そういう本は卒業しました。あんな夢だけを語ったような本は、私の人生には必要ないと判断致しましたので。
次に本を買って下さるなら、人生の糧になりそうな、実用的な本でお願いしますわ。」
「アナ…?一体何があったのだ?」
「そうよ。まるで結婚詐欺にでも遭った女性が言うようなことを口にするなんて…。」
あんなに大好きだった、王子様やお姫様、騎士様が出てくる女の子が大好きな本を、急に私が否定し出したので、両親は驚いているようだった。
「私も10歳ですから。もうすぐお茶会に招待されたり、淑女教育が始まったりしますのに、いつまでもあんな夢物語みたいな本を面白く感じる訳がありませんわ。」
「そ、そうか。アナは少しお姉さんになってきたようだな。」
「成長してくれるのは嬉しいけれど、何だか寂しいわね…。」
「お願いというのは、使用人達の健康管理についてなのですが。」
私は大好きなメイドのハンナが、私が15歳になる頃に、病死してしまうことを何とか食い止めたいので、使用人達の健康管理について、両親に相談したかったのだ。
「「使用人達の健康管理?」」
私がそんなことを口にすると思っていなかったようで、両親は更に不思議そうな目で私を見つめている。
そうよね…。10歳の普通の令嬢が、いきなり使用人達の健康管理について語り出したら、普通なら驚くわ。
でもこの話は、侯爵家の使用人達の雇用主である両親の協力がないと何も出来ないことだから、10歳だろうが、小娘だろうが、世間知らずだろうが、両親の協力を得るために語らさせて頂くわよ。
「はい。最近、私は熱で数日間寝込んで大変な思いをしましたわ。お父様やお母様、お義兄様には心配をお掛けしましたし、使用人達は、寝込む私に一生懸命にお世話をしてくれました。」
「そうだったな。元気になって良かったよ。」
「そうね。酷い熱だったわね。」
よし、食い付いてくれたわね…
「私達は定期的に侍医のスミス先生に診て頂いていますし、何かあった時もすぐに来て診察をしてくれるので心強いのですが、使用人達は定期的に診てもらう機会はありませんよね?」
「そうだな…。」
「ええ。そうね。何も考えていなかったわね。」
「私達のために一生懸命に働いてくれている使用人達も、私は大切な家族のように感じています。
使用人達に何かあったら、アナは……、悲しいです。
お願いです!使用人達も、スミス先生の定期的な診察を受けれるようにしてもらえませんか?
初期の病気や体調の変化などを、普段忙しく働いている使用人達がお医者様に診てもらったり、相談したりする機会があってもよいかと思うのです。
優しいお父様とお母様、どうかよろしくお願い致します!」
一度目の人生の時に観に行った、観劇のヒロインを真似て話してみた。
自分のことを「アナは…」なんて呼んでいて、少し痛いような気はするけど、ヒロインぽく見せるためには必要だった……よね。
「そうか、そこまでアナは考えていたのか!」
「アナは優しい子になってくれたのね。」
「使用人達みんなを診てもらうとなると、費用の面で高額になってしまいますか?
私のお小遣いを減らしてくれて構いませんので、何とかならないでしょうか?」
うちの侯爵家は自分で言うのもアレだけど…、名門で貴族の中でも金持ちの家門と言える方よね。だから一度目の人生では、王太子殿下の婚約者になれた訳だし。
「いや、費用は大丈夫だ。分かった!アナの優しい気持ちを尊重して、それを認めてあげよう。
スミス先生には私から話してみる。」
「お父様、本当ですか?」
「アナがそこまで言っているんだし、使用人達は家族みたいなものだからな。」
「そうね…。アナが使用人のことまで考えることが出来るようになるくらい成長してくれたことは、お母様も嬉しいわ!」
「お父様・お母様、ありがとうございます!!」
一つ目の願い事は何とかなったわね。
後はハンナを毎日、良く観察するようにして、何か変化を見つけたらすぐにスミス先生に診察してもらうようにすれば、何とかなるかしらね。
それと実はもう一つ、大切なお願い事があるのよね…
私から両親にお願いしたいことがあったのだ。
「アナ、今日は何か欲しいものをおねだりに来たのかな?」
「アナの好きな、お姫様と王子様の本の発売日は来月だったと思うのだけど。」
「あ…、そういう本は卒業しました。あんな夢だけを語ったような本は、私の人生には必要ないと判断致しましたので。
次に本を買って下さるなら、人生の糧になりそうな、実用的な本でお願いしますわ。」
「アナ…?一体何があったのだ?」
「そうよ。まるで結婚詐欺にでも遭った女性が言うようなことを口にするなんて…。」
あんなに大好きだった、王子様やお姫様、騎士様が出てくる女の子が大好きな本を、急に私が否定し出したので、両親は驚いているようだった。
「私も10歳ですから。もうすぐお茶会に招待されたり、淑女教育が始まったりしますのに、いつまでもあんな夢物語みたいな本を面白く感じる訳がありませんわ。」
「そ、そうか。アナは少しお姉さんになってきたようだな。」
「成長してくれるのは嬉しいけれど、何だか寂しいわね…。」
「お願いというのは、使用人達の健康管理についてなのですが。」
私は大好きなメイドのハンナが、私が15歳になる頃に、病死してしまうことを何とか食い止めたいので、使用人達の健康管理について、両親に相談したかったのだ。
「「使用人達の健康管理?」」
私がそんなことを口にすると思っていなかったようで、両親は更に不思議そうな目で私を見つめている。
そうよね…。10歳の普通の令嬢が、いきなり使用人達の健康管理について語り出したら、普通なら驚くわ。
でもこの話は、侯爵家の使用人達の雇用主である両親の協力がないと何も出来ないことだから、10歳だろうが、小娘だろうが、世間知らずだろうが、両親の協力を得るために語らさせて頂くわよ。
「はい。最近、私は熱で数日間寝込んで大変な思いをしましたわ。お父様やお母様、お義兄様には心配をお掛けしましたし、使用人達は、寝込む私に一生懸命にお世話をしてくれました。」
「そうだったな。元気になって良かったよ。」
「そうね。酷い熱だったわね。」
よし、食い付いてくれたわね…
「私達は定期的に侍医のスミス先生に診て頂いていますし、何かあった時もすぐに来て診察をしてくれるので心強いのですが、使用人達は定期的に診てもらう機会はありませんよね?」
「そうだな…。」
「ええ。そうね。何も考えていなかったわね。」
「私達のために一生懸命に働いてくれている使用人達も、私は大切な家族のように感じています。
使用人達に何かあったら、アナは……、悲しいです。
お願いです!使用人達も、スミス先生の定期的な診察を受けれるようにしてもらえませんか?
初期の病気や体調の変化などを、普段忙しく働いている使用人達がお医者様に診てもらったり、相談したりする機会があってもよいかと思うのです。
優しいお父様とお母様、どうかよろしくお願い致します!」
一度目の人生の時に観に行った、観劇のヒロインを真似て話してみた。
自分のことを「アナは…」なんて呼んでいて、少し痛いような気はするけど、ヒロインぽく見せるためには必要だった……よね。
「そうか、そこまでアナは考えていたのか!」
「アナは優しい子になってくれたのね。」
「使用人達みんなを診てもらうとなると、費用の面で高額になってしまいますか?
私のお小遣いを減らしてくれて構いませんので、何とかならないでしょうか?」
うちの侯爵家は自分で言うのもアレだけど…、名門で貴族の中でも金持ちの家門と言える方よね。だから一度目の人生では、王太子殿下の婚約者になれた訳だし。
「いや、費用は大丈夫だ。分かった!アナの優しい気持ちを尊重して、それを認めてあげよう。
スミス先生には私から話してみる。」
「お父様、本当ですか?」
「アナがそこまで言っているんだし、使用人達は家族みたいなものだからな。」
「そうね…。アナが使用人のことまで考えることが出来るようになるくらい成長してくれたことは、お母様も嬉しいわ!」
「お父様・お母様、ありがとうございます!!」
一つ目の願い事は何とかなったわね。
後はハンナを毎日、良く観察するようにして、何か変化を見つけたらすぐにスミス先生に診察してもらうようにすれば、何とかなるかしらね。
それと実はもう一つ、大切なお願い事があるのよね…
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