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二度目の話

留学生活終了

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 マニー国での留学生活も残り一ヶ月を切った。

 そんな私は、第三王子殿下の主催する茶会に招待されてマニー国の王宮に来ている。

 私とチェルシーが帰国する前に、クラス皆んなで交流をしようと王子殿下が招待して下さったのだ。


 さすがマニー国の王宮だわ。
 どのスイーツも美味しそう!


「コールマン侯爵令嬢。スイーツが大好きなのは分かるが、クラスメイト達は君と沢山話がしたいようだから、食べる方に夢中にならないでくれよ。」

 王子殿下から厳しい指摘を受けてしまった。
 この方は周りをよく見ているし、隙が全くないし、いかにも王族って感じの方だと思う。

「…勿論ですわ。後少しで帰国ですから、クラスメイトの皆様との時間は大切にしたいと思っております。」

「コールマン侯爵令嬢は、我が国の留学はどうだった?
 他国の人間から見た我が国は、どのように見えただろうか?」

「留学先をマニー国にして良かったと思える一年でしたわ。
 治安がとても良く、平民の方々が我が国の平民よりも裕福そうに見えましたし、国力の違いを感じましたわ。
 女性で爵位を持っている方がいたり、文官として男性と対等に働いている方がいたりして、女性が活躍出来る国で羨ましいと感じました。
 このままマニー国に残りたいと思えるくらい、素敵な国だと思いましたわ。」

「……なら、そうするか?」

「…いいのですか?」

「私はコールマン侯爵令嬢がそうしたいと思ってくれるなら、残ってもらって構わないと思っているのだが、君の義兄君やアーヴル国の王太子殿下は許してくれないだろう。
 私はアーヴル国とは揉めたくないからな。
 もし王太子殿下や君の家族からきちんと許可を取ってくるなら、考えてやってもいい。」

「王太子殿下の許可ですか…。」

 ですよねぇ。
 留学生活があまりに楽しすぎて、本気で帰りたくなかったから、このまま永住したいくらいだったわよ。

 どうせ帰国しても私を待っているのは、意味の分からない死神と、優しいけど何を計画しているのか分からない王太子殿下だけ…

 お義兄様は、秘密の恋人と再会するのか分からないけど、いつかは誰かと結婚する。
 末期のブラコンの私は、お義兄様の幸せを応援すると言いながら、お義兄様を取られたくないって気持ちもある。

 こんな私は、お義兄様の近くにいない方がいいのかもしれない…


「君がアーヴル国の王太子殿下の婚約者候補でなければ、王宮の文官や私の秘書官として雇ってやりたかったが残念だ。
 もし、王太子殿下と婚約しないような時は連絡してくれ。」

 ウソー!本当に?
 本気の国外逃亡が叶ったりする?

「王子殿下。その時はどちらに手紙を出せばよろしいでしょうか?
 王宮の王子殿下宛に直接送っていいのですか?
 採用担当者がいらっしゃるなら、その方の部署とお名前を教えて頂きたいですわ。
 私の名前で手紙を出して大丈夫でしょうか?」

「少し揶揄って言っただけなのだが……。
 君は、王太子殿下の婚約者にそこまでなりたくないのか?
 それとも、そこまで我が国を気に入ってくれたのか、どっちなんだ?」

 やはりこの王子殿下も鋭い方なのね…

「王子殿下には、バレてしまうので正直にお話ししますが……両方ですわ。
 もし、私を雇って下さるというなら、残りの学生生活も必死にガリ勉しますし、この国の秘書官や文官になるために必要な学問があるのなら、本気になって修得したいと考えておりますので、何が必要なのかを教えて下さると助かります。」

「……両方って。…ガリ勉するだって?
 ぷっ!……くっ、くっ。」

 えー!私は本気で話しているのに!

「…わ、悪い!
 アーヴル国の名門侯爵家の御令嬢なのだから、そこまで必死になる必要はないはずなのに…。
 アーヴル国にこんな面白い令嬢がいるとは思わなかった。」

「王子殿下。私は偶然、実家が侯爵家だっただけですわ。
 ただそれだけです…。私、個人には何もないので、生きていくために必死なのです。
 ですから、この国で私に仕事を与えて下さるというのなら、私は自分自身の力で進んでいける新しい道なのではと期待してしまいますわ。」

「…そこまで言うなら分かった。
 後で特別に連絡先を教えよう!
 …ほら、みんな君と話がしたいようだから、行ってやれ!」

「ふふ…。よろしくお願いします。」

 コネが出来たってことよね。
 ラッキーだわ!

 王宮でのお茶会は、クラスメイト達と色々な話で盛り上がり、楽しい時間を過ごすことが出来た。








 そして、一年の留学生活はあっという間に終わりを迎えたのであった。





 
 
 
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