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二度目の話
久しぶりの王太子殿下
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ああ…、本当に留学生活は最高だった…。
また戻りたいわね。
「アナ…。久しぶりに会えて私はこんなに嬉しいのに、君はあまり嬉しそうには見えないな。
マニー国は楽しかったんだって?」
「ええ。私にはどうやらマニー国の空気が合っているのかもしれませんわね。
逆ホームシックみたいな状態なのです。」
帰国早々、婚約者候補の一人として、王太子殿下からお茶会という名のお呼び出しをされた私。
「へぇ、それは良かった。」
「王太子殿下。マニー国の第三王子殿下は、私が王太子殿下の婚約者候補だからと、かなり気を遣って頂きましたわ。
王子殿下からお聞きしましたが、私が留学する前に、王太子殿下から長すぎる文が届いたと話しておられましたの。
その長すぎる文とやらには何を書いたのでしょうね?」
殿下が眩しいくらいの笑顔を私に向けている…
普通の御令嬢ならば、この笑顔にやられてしまうのだろうけど、長い付き合いの私は騙されないのよ。
その笑顔は余計なことは聞くなってことなのよね。
「ふっ!第三王子殿下は、そんなことまでアナに話をしたのか。
私はただ、他国の王族への手紙に適当なことを書くことは許されないだろうと判断して、内容を丁寧に書いただけだ。
それより…、アナはマニー国の学園で優秀な成績だったと聞いたよ。良く頑張ったな。」
上手く話題を変えて来たわね。
「お義兄様の力ですわ…。
マニー国で恥をかかないようにと、ひたすらお義兄様とガリ勉の日々でしたから。」
「コールマン侯爵令息も、アカデミーで凄い結果を出してきたらしいな。それに外交官のクラーク伯爵令嬢も優秀だったと報告を受けているよ。
君たちのお陰で、マニー国での我が国の評価が上がりつつある。」
自分のことで精一杯だったけど、お義兄様はやはり凄いのね。
私の勉強を指導しながら、いつ自分の勉強をしていたのよ?
「そうだ!マニー国の王子殿下から文が届いたんだ。
王子殿下は、アナが私の婚約者にならなかった場合には、卒業後に自分の秘書官にアナを雇いたいらしい。
留学前に、私から王子殿下にアナを頼むとは伝えたが、そのアナを自分の側近の一人として迎えたいと言い出すくらい、アナと王子殿下は仲良く過ごせたのだな?…それは良かったよ。」
この棘のある言い方…。これは殿下が面白くない時の言い方だわ。
しかしそれよりも…、王子殿下はそのことを我が国の王太子殿下に伝えてくれたのねー!
ちょっと迫力があって怖いって思っていたけど、根はいい人なのね!
「王子殿下とは同じクラスでしたが、特別仲が良いという関係ではありませんでしたわ。
これは王太子殿下にだけお話することですが、絶対に秘密ですわよ!
実はマニー国の王子殿下は、何というか…。男の世界で逞しく生きる、男の中の男って感じの方で、凄く迫力があるお方なのですわ。
私のようなちんちくりんが、馴れ馴れしく話しかけられるような雰囲気の方ではなかったのです。
根はお優しい方のかもしれませんが、怒ると怖そうでしたし、マニー国の貴族達も威圧されているように見えましたわ。」
王子殿下は私の話を聞いて、ため息をつく。
「……アナ。その男の中の男で、馴れ馴れしく話しかけることすら出来ない、迫力のある第三王子殿下が、アナなら側に置いてもいいと言っているんだ。
第三王子殿下は、王家の剣と言われる凄い方だと聞いている。だから迫力があって怖そうに見えたのだろう。」
「あっ!そう言えば、王子殿下の特技は剣術だと聞いたことがありますわ。
頭がいいくせに、特技を聞かれて剣術だと言うあたりが嫌味ったらしいなって、その時少しだけ思ってしまいましたの。
なるほど、王家の剣と言われるほどに凄い方だから、その辺にいる騎士団長よりも、威厳がおありになったのですね。
…あ、この話も秘密ですわよ!王子殿下が怖いので。」
「……その話を聞いて、アナが王子殿下には全く興味がないことが分かったからもういい。
王子殿下には、アナは他国にはやらないと手紙に書いておいた。」
ええー!勝手に断ってしまったの?
「え?私はマニー国で働きたいのですが、駄目でしょうか?」
「は?何のために?
ダメに決まっているだろう!」
「国外逃亡したいのですわ!
死にたくないのです!」
私が死にたくないと言った瞬間に、殿下の表情が変わったのが分かった。
「…アナ。君は私が思っている以上に、辛い思いをしたんだな。
もう君を不幸にはにはさせない。だから、国外逃亡したいだなんて言わないでくれ。
私を信じてくれ!」
「殿下のことは信じております。
でも…、あの男が婚約を申し込んできたりして、意味が分からなすぎて怖いのですわ!
あの男と結婚したら、また愛人を囲うかもしれないし、愛人にまた命を狙われるかもしれない。
あの男とは絶対に関わりたくないのです!
その為に一番安心なのは、あの男がいない国外に逃亡することなのです!」
ハァ、ハァ…。
つい興奮してしまったわ。
殿下とは付き合いが長いせいか、つい自分の感情をむき出しにして話をし過ぎてしまうのよね…。
気を付けないといけない。
また戻りたいわね。
「アナ…。久しぶりに会えて私はこんなに嬉しいのに、君はあまり嬉しそうには見えないな。
マニー国は楽しかったんだって?」
「ええ。私にはどうやらマニー国の空気が合っているのかもしれませんわね。
逆ホームシックみたいな状態なのです。」
帰国早々、婚約者候補の一人として、王太子殿下からお茶会という名のお呼び出しをされた私。
「へぇ、それは良かった。」
「王太子殿下。マニー国の第三王子殿下は、私が王太子殿下の婚約者候補だからと、かなり気を遣って頂きましたわ。
王子殿下からお聞きしましたが、私が留学する前に、王太子殿下から長すぎる文が届いたと話しておられましたの。
その長すぎる文とやらには何を書いたのでしょうね?」
殿下が眩しいくらいの笑顔を私に向けている…
普通の御令嬢ならば、この笑顔にやられてしまうのだろうけど、長い付き合いの私は騙されないのよ。
その笑顔は余計なことは聞くなってことなのよね。
「ふっ!第三王子殿下は、そんなことまでアナに話をしたのか。
私はただ、他国の王族への手紙に適当なことを書くことは許されないだろうと判断して、内容を丁寧に書いただけだ。
それより…、アナはマニー国の学園で優秀な成績だったと聞いたよ。良く頑張ったな。」
上手く話題を変えて来たわね。
「お義兄様の力ですわ…。
マニー国で恥をかかないようにと、ひたすらお義兄様とガリ勉の日々でしたから。」
「コールマン侯爵令息も、アカデミーで凄い結果を出してきたらしいな。それに外交官のクラーク伯爵令嬢も優秀だったと報告を受けているよ。
君たちのお陰で、マニー国での我が国の評価が上がりつつある。」
自分のことで精一杯だったけど、お義兄様はやはり凄いのね。
私の勉強を指導しながら、いつ自分の勉強をしていたのよ?
「そうだ!マニー国の王子殿下から文が届いたんだ。
王子殿下は、アナが私の婚約者にならなかった場合には、卒業後に自分の秘書官にアナを雇いたいらしい。
留学前に、私から王子殿下にアナを頼むとは伝えたが、そのアナを自分の側近の一人として迎えたいと言い出すくらい、アナと王子殿下は仲良く過ごせたのだな?…それは良かったよ。」
この棘のある言い方…。これは殿下が面白くない時の言い方だわ。
しかしそれよりも…、王子殿下はそのことを我が国の王太子殿下に伝えてくれたのねー!
ちょっと迫力があって怖いって思っていたけど、根はいい人なのね!
「王子殿下とは同じクラスでしたが、特別仲が良いという関係ではありませんでしたわ。
これは王太子殿下にだけお話することですが、絶対に秘密ですわよ!
実はマニー国の王子殿下は、何というか…。男の世界で逞しく生きる、男の中の男って感じの方で、凄く迫力があるお方なのですわ。
私のようなちんちくりんが、馴れ馴れしく話しかけられるような雰囲気の方ではなかったのです。
根はお優しい方のかもしれませんが、怒ると怖そうでしたし、マニー国の貴族達も威圧されているように見えましたわ。」
王子殿下は私の話を聞いて、ため息をつく。
「……アナ。その男の中の男で、馴れ馴れしく話しかけることすら出来ない、迫力のある第三王子殿下が、アナなら側に置いてもいいと言っているんだ。
第三王子殿下は、王家の剣と言われる凄い方だと聞いている。だから迫力があって怖そうに見えたのだろう。」
「あっ!そう言えば、王子殿下の特技は剣術だと聞いたことがありますわ。
頭がいいくせに、特技を聞かれて剣術だと言うあたりが嫌味ったらしいなって、その時少しだけ思ってしまいましたの。
なるほど、王家の剣と言われるほどに凄い方だから、その辺にいる騎士団長よりも、威厳がおありになったのですね。
…あ、この話も秘密ですわよ!王子殿下が怖いので。」
「……その話を聞いて、アナが王子殿下には全く興味がないことが分かったからもういい。
王子殿下には、アナは他国にはやらないと手紙に書いておいた。」
ええー!勝手に断ってしまったの?
「え?私はマニー国で働きたいのですが、駄目でしょうか?」
「は?何のために?
ダメに決まっているだろう!」
「国外逃亡したいのですわ!
死にたくないのです!」
私が死にたくないと言った瞬間に、殿下の表情が変わったのが分かった。
「…アナ。君は私が思っている以上に、辛い思いをしたんだな。
もう君を不幸にはにはさせない。だから、国外逃亡したいだなんて言わないでくれ。
私を信じてくれ!」
「殿下のことは信じております。
でも…、あの男が婚約を申し込んできたりして、意味が分からなすぎて怖いのですわ!
あの男と結婚したら、また愛人を囲うかもしれないし、愛人にまた命を狙われるかもしれない。
あの男とは絶対に関わりたくないのです!
その為に一番安心なのは、あの男がいない国外に逃亡することなのです!」
ハァ、ハァ…。
つい興奮してしまったわ。
殿下とは付き合いが長いせいか、つい自分の感情をむき出しにして話をし過ぎてしまうのよね…。
気を付けないといけない。
応援ありがとうございます!
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