97 / 102
二度目の話
閑話 義兄 ルーク
しおりを挟む
10歳になったアナに、二人目の家庭教師を呼ぶことになる。
一人目は、義父に色目を使うはしたない女だったのですぐにクビにしたのだが、二人目の若い家庭教師も第一印象から最悪だった。
その家庭教師は、まだ幼いアナに馬鹿にしたような態度をとってきたので、腹が立った私は、アナの実力を試してもらう為にテストを依頼することにしたのだ。
結果、アナはそのテストで高得点を取り、家庭教師を驚かしていた。
こんな男はアナの家庭教師に相応しくないと判断した私は、その家庭教師もすぐにクビにして、アナは私と一緒に、私の家庭教師の先生方から学ばせることにした。
クビにしたあの若い家庭教師のように、きっとこれからも、小さなアナを馬鹿にするような者が出てくるに違いない。
私がアナを守ると決めているが、アナ自身にも自分を守る力が必要だ。
そう判断した私は、アナに積極的に勉強させることにした。令嬢が侮られないようにするには、令息に負けないくらいの学力が必要だろうと考えたのだ。
努力家のアナは、すぐに私の家庭教師の先生方からも認められるようになる。
勉強で忙しい日々を過ごしていたら、あっという間にアナがお茶会にデビューする年齢となっていた。
アナは、同世代の令嬢よりも小柄なことを気にしているようだった。
私から見たら、そんなところが妖精のように可憐で可愛いと思うのだが、本人は全く気がついていないようなのだ。
可愛いアナが茶会で着るドレスにまで気になってしまった私は、ついドレス選びに口を出してしまっていて、気がつくとアナのドレス選びは、私の大切な仕事の一つになっていた。
アナがお茶会デビューした後日…
「ルークは義妹と婚約するのか?」
「…は?」
学園で突然そのようなことを友人から聞かれた私は、衝撃のあまり言葉を失ってしまった。
「お茶会でルークとコールマン嬢を見ていたら、恋人とか婚約者のような雰囲気に見えた。
ルークはコールマン嬢の婚約者とか、将来の婿養子として侯爵家に迎えられたのかと思ったよ。」
更に別の友人までも…
「私もそう思ったぞ。
コールマン嬢のドレスはルークが選んだと言っていたが、ルークの色を意識したようなドレスだったし、普段は令嬢に全く興味を示さないルークが、コールマン嬢に対しては相当な溺愛だと思ったよ。
いつもは無表情でクールなルークも、好きな人にはあんなに独占欲を丸出しにするんだな。」
私は友人に指摘されて、初めてアナへの気持ちに気付いてしまった。
私はアナを好きだから、他の令嬢に興味を持てなかったのか…。
そう言えば、お茶会でアナがブレア公爵令息に助けてもらっていたのも面白くなかったし、可愛いアナをチラチラと見ている令息達の視線も不快でしかなかった。
今後は、アナをお茶会には連れて行きたくないと思ってしまったほどだった。
私はアナが好きすぎて、独占したいと無意識に考えていたようだ。
「コールマン嬢は、家柄が良くてあれだけ可愛いのだから、時期が来たら縁談の話が沢山来るだろう。
本当に好きなら早く自分の気持ちを伝えておいた方がいいと思うぞ。
ルークくらい優秀なら、義両親は認めてくれるだろ?」
「…考えたことはなかったな。」
もし今、私がそのことを義両親に伝えれば、義両親は認めてくれそうな気はする。
あの義両親は養子の私を大切にしてくれているし、信頼してくれているのが分かるからだ。
しかし義両親が認めてくれたとしても、アナの気持ちはどうなるのだろうか…。
アナは私を義兄として慕ってくれている。
まだ恋も知らないであろう純粋なアナに、いきなり義兄の私と婚約して欲しいだなんて伝えたら、アナはどう思うのだろう?
この今の良好な関係が壊れてしまうのではないか…。
そう考えたら不安になってしまい、アナや両親に私の気持ちを伝えようとは思えなかった。
しかしその可愛いアナに、ブレア公爵令息や王太子殿下が近付いてくるのである。
うちは名門の侯爵家であるので、貴族の中でも身分は高い方で力もある家門であると思う。
しかし、時期国王である王太子殿下や、筆頭公爵家の跡取りであるブレア公爵令息は、流石に無視することは出来ない。
よりによって、なぜあの二人…?
しかしアナ自身は、普通の令嬢なら誰でも憧れるはずのあの二人とは関わりたがらないのである。
まるで何かに怯えるように強く拒否するのだ。
一体、アナは何を恐れているのか?
アナが一人で何を抱えているのかが分からずに、私自身も悩むことになるのであった。
一人目は、義父に色目を使うはしたない女だったのですぐにクビにしたのだが、二人目の若い家庭教師も第一印象から最悪だった。
その家庭教師は、まだ幼いアナに馬鹿にしたような態度をとってきたので、腹が立った私は、アナの実力を試してもらう為にテストを依頼することにしたのだ。
結果、アナはそのテストで高得点を取り、家庭教師を驚かしていた。
こんな男はアナの家庭教師に相応しくないと判断した私は、その家庭教師もすぐにクビにして、アナは私と一緒に、私の家庭教師の先生方から学ばせることにした。
クビにしたあの若い家庭教師のように、きっとこれからも、小さなアナを馬鹿にするような者が出てくるに違いない。
私がアナを守ると決めているが、アナ自身にも自分を守る力が必要だ。
そう判断した私は、アナに積極的に勉強させることにした。令嬢が侮られないようにするには、令息に負けないくらいの学力が必要だろうと考えたのだ。
努力家のアナは、すぐに私の家庭教師の先生方からも認められるようになる。
勉強で忙しい日々を過ごしていたら、あっという間にアナがお茶会にデビューする年齢となっていた。
アナは、同世代の令嬢よりも小柄なことを気にしているようだった。
私から見たら、そんなところが妖精のように可憐で可愛いと思うのだが、本人は全く気がついていないようなのだ。
可愛いアナが茶会で着るドレスにまで気になってしまった私は、ついドレス選びに口を出してしまっていて、気がつくとアナのドレス選びは、私の大切な仕事の一つになっていた。
アナがお茶会デビューした後日…
「ルークは義妹と婚約するのか?」
「…は?」
学園で突然そのようなことを友人から聞かれた私は、衝撃のあまり言葉を失ってしまった。
「お茶会でルークとコールマン嬢を見ていたら、恋人とか婚約者のような雰囲気に見えた。
ルークはコールマン嬢の婚約者とか、将来の婿養子として侯爵家に迎えられたのかと思ったよ。」
更に別の友人までも…
「私もそう思ったぞ。
コールマン嬢のドレスはルークが選んだと言っていたが、ルークの色を意識したようなドレスだったし、普段は令嬢に全く興味を示さないルークが、コールマン嬢に対しては相当な溺愛だと思ったよ。
いつもは無表情でクールなルークも、好きな人にはあんなに独占欲を丸出しにするんだな。」
私は友人に指摘されて、初めてアナへの気持ちに気付いてしまった。
私はアナを好きだから、他の令嬢に興味を持てなかったのか…。
そう言えば、お茶会でアナがブレア公爵令息に助けてもらっていたのも面白くなかったし、可愛いアナをチラチラと見ている令息達の視線も不快でしかなかった。
今後は、アナをお茶会には連れて行きたくないと思ってしまったほどだった。
私はアナが好きすぎて、独占したいと無意識に考えていたようだ。
「コールマン嬢は、家柄が良くてあれだけ可愛いのだから、時期が来たら縁談の話が沢山来るだろう。
本当に好きなら早く自分の気持ちを伝えておいた方がいいと思うぞ。
ルークくらい優秀なら、義両親は認めてくれるだろ?」
「…考えたことはなかったな。」
もし今、私がそのことを義両親に伝えれば、義両親は認めてくれそうな気はする。
あの義両親は養子の私を大切にしてくれているし、信頼してくれているのが分かるからだ。
しかし義両親が認めてくれたとしても、アナの気持ちはどうなるのだろうか…。
アナは私を義兄として慕ってくれている。
まだ恋も知らないであろう純粋なアナに、いきなり義兄の私と婚約して欲しいだなんて伝えたら、アナはどう思うのだろう?
この今の良好な関係が壊れてしまうのではないか…。
そう考えたら不安になってしまい、アナや両親に私の気持ちを伝えようとは思えなかった。
しかしその可愛いアナに、ブレア公爵令息や王太子殿下が近付いてくるのである。
うちは名門の侯爵家であるので、貴族の中でも身分は高い方で力もある家門であると思う。
しかし、時期国王である王太子殿下や、筆頭公爵家の跡取りであるブレア公爵令息は、流石に無視することは出来ない。
よりによって、なぜあの二人…?
しかしアナ自身は、普通の令嬢なら誰でも憧れるはずのあの二人とは関わりたがらないのである。
まるで何かに怯えるように強く拒否するのだ。
一体、アナは何を恐れているのか?
アナが一人で何を抱えているのかが分からずに、私自身も悩むことになるのであった。
応援ありがとうございます!
4
お気に入りに追加
8,221
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる