98 / 102
二度目の話
閑話 義兄 ルーク
王太子殿下とアナが図書館で一緒にいる姿を見た時があったが、ずっと前からお互いを知っていたかのような、仲の良さそうな雰囲気であった。
アナは私以外の男とも楽しそうに会話をするんだな…。
殿下にとってもアナは特別なのか?あんな風に嬉しそうに会話する殿下を初めて見た。
そんなアナは、ブレア公爵家から茶会に熱心に誘われたり、縁談の話が来たりする。
更に王太子殿下の婚約者候補に選ばれてしまったり…。
本人は二人を避けようとしているのに、なかなか上手くいかないようだった。
その頃には、私はアナには内緒で義両親にある頼み事をしていた。
もしこの先、アナに婚約したいと思える人物が現れなかった場合や、義両親から見てアナの婚約者に相応しいと思える人物がいなかった場合、私とアナの婚約を認めて欲しいということだ。
義父上は、アナが殿下やブレア公爵令息との縁談を嫌がっているのだから、今すぐに私と婚約してもいいのではと言ってくれた。
しかしそれでは、アナの気持ちを無視してしまうので、まだ待って欲しいことを私からお願いした。
義母上の方は、反対はしないが、王家やブレア公爵家の縁談が捨てがたいという考えのようだった。
確かにあの二人は、血筋に家柄、容姿も能力も、皆が欲しがるものを全て持っている。義母上が縁談を受けたいという気持ちは理解できた。
王太子殿下やブレア公爵令息と学園で関わりたくないという考えのもと、アナは留学までしたが、留学先での成績が良かったこともあり、我が国の王妃殿下から気に入られてしまったアナ。
留学から帰って来ると、アナは王太子殿下の婚約者に内定しているのではと噂話が流れてしまっていたのだ。
そして、恐れていたことが起きてしまう。
アナは安全であるはずの貴族学園内で暗殺者に狙われてしまうのでる。
その報告を聞いた私は、凄まじい怒りと、アナを失うかもしれないという例えようのない恐怖に襲われていた。
しかし暗殺者に襲われたアナ本人は、ショックは受けつつも、どこか諦めたような表情をしていた。
普通なら、取り乱して泣き出してもおかしくはないはずなのにだ。
その様子を見て、アナは何かを知っているのだと私は確信した。
もう黙って見ていることは出来なかった私は、アナの苦しみを私も分かち合いたいことを、必死に伝えていた。
そしてそんな私にアナが打ち明けてくれたことは、想像以上のことであった。
「お義兄様…。私は…二度目の人生を送っているのです…」
アナは一度目の人生で、殿下の婚約者だったこと、殿下と婚約解消になりブレア公爵令息と王命で結婚したことを話す。
嫁ぎ先のブレア公爵家のメイド長に毒を盛られ、そんなアナを助けに私が公爵家に向かったことや、毒で死にゆくアナを私が看取ったこと。
普通の人間なら、そんな話は信じられないと思うだろう。
しかし私は、何の疑いも持たなかった。
私が見ていた夢の疑問が解けたからだ。
私が見ていたのは、私が一度目の人生で経験した不幸な出来事の夢。
だからアナは、王太子殿下やブレア公爵令息との婚約をあんなにも嫌がっていたのだろう。
殿下とアナが親しげに話していたのは、殿下にも記憶があって、アナとは協力関係のようなものだからということなのだろう。
しかし王太子殿下は、隣国の第二王女とフロスト卿が暗殺の首謀者だと言って監視はしていたらしいが、結局、こうやってアナが危険な目に遭っているではないか!
フロスト卿も隣国の王女も、フロスト侯爵家も潰してやる。
誰に手を出したのか後悔させてやろう。
学園に暗殺者を送るほど愚かなことをする隣国の王女は、余程時間がないのだろう。それを考えると、暗殺者は近いうちに必ずこの邸に来るはず。
そう考えた私は、暗部の人間と騎士達に厳戒態勢を敷くようにと命じた。
結果、暗殺者達はあっさり捕まえることに成功した。
アナが孤児院から連れてきた、騎士のアーサーが大活躍したことと、私がマニー国のアカデミーで作ってきた痺れ薬がとても役に立ったのだ。
更に、捕まえた暗殺者の中にはアーサーの孤児院の友人がいたらしい。
私はアーサーに、すぐにその友人の説得を命じることにした。
暗殺者達は侯爵家で面倒を見ると言ったら、私達に協力してくれることになり、そのお陰で、暗殺者組織の壊滅と、隣国王女とフロスト侯爵家が暗殺者を依頼した証拠も掴むことが出来た。
しかし、気になることがあった。
私達に協力してくれた元暗殺者達の話だと、暗殺者組織のボスの右腕だと言われていた凄腕の暗殺者がすでに死んでいたことや、他の主要な暗殺者達も何人か消えていたらしい。
そのお陰で、簡単に組織の壊滅に成功したのだが、フロスト侯爵家が贔屓にするくらいなのだから、元々は手練れ揃いの暗殺者集団であったはずなのだ。
その凄腕暗殺者達を始末出来るほどの力を持つのは、王家以外だと……
ブレア公爵家が動いたか?
アナは私以外の男とも楽しそうに会話をするんだな…。
殿下にとってもアナは特別なのか?あんな風に嬉しそうに会話する殿下を初めて見た。
そんなアナは、ブレア公爵家から茶会に熱心に誘われたり、縁談の話が来たりする。
更に王太子殿下の婚約者候補に選ばれてしまったり…。
本人は二人を避けようとしているのに、なかなか上手くいかないようだった。
その頃には、私はアナには内緒で義両親にある頼み事をしていた。
もしこの先、アナに婚約したいと思える人物が現れなかった場合や、義両親から見てアナの婚約者に相応しいと思える人物がいなかった場合、私とアナの婚約を認めて欲しいということだ。
義父上は、アナが殿下やブレア公爵令息との縁談を嫌がっているのだから、今すぐに私と婚約してもいいのではと言ってくれた。
しかしそれでは、アナの気持ちを無視してしまうので、まだ待って欲しいことを私からお願いした。
義母上の方は、反対はしないが、王家やブレア公爵家の縁談が捨てがたいという考えのようだった。
確かにあの二人は、血筋に家柄、容姿も能力も、皆が欲しがるものを全て持っている。義母上が縁談を受けたいという気持ちは理解できた。
王太子殿下やブレア公爵令息と学園で関わりたくないという考えのもと、アナは留学までしたが、留学先での成績が良かったこともあり、我が国の王妃殿下から気に入られてしまったアナ。
留学から帰って来ると、アナは王太子殿下の婚約者に内定しているのではと噂話が流れてしまっていたのだ。
そして、恐れていたことが起きてしまう。
アナは安全であるはずの貴族学園内で暗殺者に狙われてしまうのでる。
その報告を聞いた私は、凄まじい怒りと、アナを失うかもしれないという例えようのない恐怖に襲われていた。
しかし暗殺者に襲われたアナ本人は、ショックは受けつつも、どこか諦めたような表情をしていた。
普通なら、取り乱して泣き出してもおかしくはないはずなのにだ。
その様子を見て、アナは何かを知っているのだと私は確信した。
もう黙って見ていることは出来なかった私は、アナの苦しみを私も分かち合いたいことを、必死に伝えていた。
そしてそんな私にアナが打ち明けてくれたことは、想像以上のことであった。
「お義兄様…。私は…二度目の人生を送っているのです…」
アナは一度目の人生で、殿下の婚約者だったこと、殿下と婚約解消になりブレア公爵令息と王命で結婚したことを話す。
嫁ぎ先のブレア公爵家のメイド長に毒を盛られ、そんなアナを助けに私が公爵家に向かったことや、毒で死にゆくアナを私が看取ったこと。
普通の人間なら、そんな話は信じられないと思うだろう。
しかし私は、何の疑いも持たなかった。
私が見ていた夢の疑問が解けたからだ。
私が見ていたのは、私が一度目の人生で経験した不幸な出来事の夢。
だからアナは、王太子殿下やブレア公爵令息との婚約をあんなにも嫌がっていたのだろう。
殿下とアナが親しげに話していたのは、殿下にも記憶があって、アナとは協力関係のようなものだからということなのだろう。
しかし王太子殿下は、隣国の第二王女とフロスト卿が暗殺の首謀者だと言って監視はしていたらしいが、結局、こうやってアナが危険な目に遭っているではないか!
フロスト卿も隣国の王女も、フロスト侯爵家も潰してやる。
誰に手を出したのか後悔させてやろう。
学園に暗殺者を送るほど愚かなことをする隣国の王女は、余程時間がないのだろう。それを考えると、暗殺者は近いうちに必ずこの邸に来るはず。
そう考えた私は、暗部の人間と騎士達に厳戒態勢を敷くようにと命じた。
結果、暗殺者達はあっさり捕まえることに成功した。
アナが孤児院から連れてきた、騎士のアーサーが大活躍したことと、私がマニー国のアカデミーで作ってきた痺れ薬がとても役に立ったのだ。
更に、捕まえた暗殺者の中にはアーサーの孤児院の友人がいたらしい。
私はアーサーに、すぐにその友人の説得を命じることにした。
暗殺者達は侯爵家で面倒を見ると言ったら、私達に協力してくれることになり、そのお陰で、暗殺者組織の壊滅と、隣国王女とフロスト侯爵家が暗殺者を依頼した証拠も掴むことが出来た。
しかし、気になることがあった。
私達に協力してくれた元暗殺者達の話だと、暗殺者組織のボスの右腕だと言われていた凄腕の暗殺者がすでに死んでいたことや、他の主要な暗殺者達も何人か消えていたらしい。
そのお陰で、簡単に組織の壊滅に成功したのだが、フロスト侯爵家が贔屓にするくらいなのだから、元々は手練れ揃いの暗殺者集団であったはずなのだ。
その凄腕暗殺者達を始末出来るほどの力を持つのは、王家以外だと……
ブレア公爵家が動いたか?
あなたにおすすめの小説
【完結】恋は、終わったのです
楽歩
恋愛
幼い頃に決められた婚約者、セオドアと共に歩む未来。それは決定事項だった。しかし、いつしか冷たい現実が訪れ、彼の隣には別の令嬢の笑顔が輝くようになる。
今のような関係になったのは、いつからだったのだろう。
『分からないだろうな、お前のようなでかくて、エマのように可愛げのない女には』
身長を追い越してしまった時からだろうか。
それとも、特進クラスに私だけが入った時だろうか。
あるいは――あの子に出会った時からだろうか。
――それでも、リディアは平然を装い続ける。胸に秘めた思いを隠しながら。
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
もう、今更です
もちもちほっぺ
恋愛
伯爵令嬢セリーヌ・ド・リヴィエールは、公爵家長男アラン・ド・モントレイユと婚約していたが、成長するにつれて彼の態度は冷たくなり、次第に孤独を感じるようになる。学園生活ではアランが王子フェリクスに付き従い、王子の「真実の愛」とされるリリア・エヴァレットを囲む騒動が広がり、セリーヌはさらに心を痛める。
やがて、リヴィエール伯爵家はアランの態度に業を煮やし、婚約解消を申し出る。
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
嘘つきな貴方を捨てさせていただきます
梨丸
恋愛
断頭台に上がった公爵令嬢フレイアが最期に聞いた言葉は最愛の婚約者の残忍な言葉だった。
「さっさと死んでくれ」
フレイアを断頭台へと導いたのは最愛の婚約者だった。
愛していると言ってくれたのは嘘だったのね。
嘘つきな貴方なんて、要らない。
※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。)
11/27HOTランキング5位ありがとうございます。
※短編と長編の狭間のような長さになりそうなので、短編にするかもしれません。
1/2累計ポイント100万突破、ありがとうございます。
完結小説ランキング恋愛部門8位ありがとうございます。
「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚
きぬがやあきら
恋愛
「私に愛まで望むな。褒賞に王子を求めておいて、強欲が過ぎると言っている」
新婚初夜に訪れた寝室で、レオノールはクラウディオ王子に白い結婚を宣言される。
それもそのはず。
2人の間に愛はないーーどころか、この結婚はレオノールが魔王討伐の褒美にと国王に要求したものだった。
でも、王子を望んだレオノールにもそれなりの理由がある。
美しく気高いクラウディオ王子を欲しいと願った気持ちは本物だ。
だからいくら冷遇されようが、嫌がらせを受けようが心は揺るがない。
どこまでも逞しく、軽薄そうでいて賢い。どこか憎めない魅力を持ったレオノールに、やがてクラウディオの心は……。
すれ違い、拗れる2人に愛は生まれるのか?
焦ったい恋と陰謀+バトルのラブファンタジー。
【完結】望んだのは、私ではなくあなたです
灰銀猫
恋愛
婚約者が中々決まらなかったジゼルは父親らに地味な者同士ちょうどいいと言われ、同じ境遇のフィルマンと学園入学前に婚約した。
それから3年。成長期を経たフィルマンは背が伸びて好青年に育ち人気者になり、順調だと思えた二人の関係が変わってしまった。フィルマンに思う相手が出来たのだ。
その令嬢は三年前に伯爵家に引き取られた庶子で、物怖じしない可憐な姿は多くの令息を虜にした。その後令嬢は第二王子と恋仲になり、王子は婚約者に解消を願い出て、二人は真実の愛と持て囃される。
この二人の騒動は政略で婚約を結んだ者たちに大きな動揺を与えた。多感な時期もあって婚約を考え直したいと思う者が続出したのだ。
フィルマンもまた一人になって考えたいと言い出し、婚約の解消を望んでいるのだと思ったジゼルは白紙を提案。フィルマンはそれに二もなく同意して二人の関係は呆気なく終わりを告げた。
それから2年。ジゼルは結婚を諦め、第三王子妃付きの文官となっていた。そんな中、仕事で隣国に行っていたフィルマンが帰って来て、復縁を申し出るが……
ご都合主義の創作物ですので、広いお心でお読みください。
他サイトでも掲載しています。