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お茶
王女殿下のあの目を見た私は、これ以上あの方と関わることは危険だと思ってしまった。
この状態でまたお茶会に誘われたらどうすれば……?
「アリエル、いつもと様子が違うな……
王女殿下のお茶会で何かされたか?」
旦那様は私の様子がおかしいことにすぐに気付いたようだった。
「いえ。何もされていません。
ただ……、王女殿下が私を嫌っていることに気付いてしまいました。
王太子殿下のことがあるので、好かれることはないだろうと思っていましたが、王女殿下は私のことを憎んでいると思います」
「王女殿下に何か言われたのか?
あまりに理不尽なことを言われたならば、いくら王族であっても、筆頭公爵家として苦言を呈することくらいは出来るのだぞ」
旦那様は私のことを心配してくれているようだが、そんなことをして王家と揉めることはしたくない。
「王女殿下に酷い態度を取られたり、侮辱されるようなことを言われたことはありませんわ。
恐らく王女殿下は、王太子殿下から私に近づくように言われて仕方なくお茶会をしているだけなのです。
お茶会では旦那様と離縁するようにさり気なく話をしてくる程度ですから、旦那様から苦言を呈する程のことはありません。
でも王女殿下の私を見る目がヴィーと同じでした……」
ヴィーの名前を出したからなのか、旦那様の表情が一変する。
「もう茶会は行かなくていい。
私から断っておくよ」
旦那様がそう言ってくれたのは嬉しかったが……
「いずれは国母となられる方からのお誘いを断れませんわ」
「私なりにあの王女のことは調べているのだが、情報として入ってくるのは、アシュベリー国にいた時の話ばかりなんだ。
敵国から嫁いで来た側妃の娘だから、国王や王妃、異母兄弟から冷遇されていたようだし、評判が悪かったのは、そういう生い立ちから酷い噂を流されただけなのか、本当に何か問題のあることをしてきたのかが今ひとつ分からないから不気味なんだ。
王宮では誰とも交流することなく部屋に引きこもっているようだし……
アリエルがあの女と王女が同じ目をしていると感じるならば避けた方がいい」
「気をつけるようにしますわ」
とは言ったものの、それから数日後には何事もなかったかのように、また王女殿下からお茶会の招待状が届く。
旦那様は断ると言ってくれたが、来月からしばらく領地に行くことになっているので、今回で最後ということにしてお茶会に行かせてもらうことになった。
「アリエル。来月から領地に行くから、しばらくは茶会には行けないということはすでに私の方から伝えてある。
茶会で何かあったら、すぐに私を呼んでくれ。王宮の執務室にいるようにするから」
「はい。分かりました」
そしてお茶会の日を迎える。
王女殿下はいつものように笑顔で私を迎えてくれた。
しかし何を考えているのか分からないから、どうしても警戒してしまう。
「シールズ公爵夫人はもうすぐ領地に行ってしまうのでしょう?
こうやってお茶を一緒に出来るのは夫人だけだから寂しくなるわね」
「王女殿下にお会い出来なくなるのは私も残念です。
しかし、王女殿下とお茶をご一緒したいと考えている御令嬢や夫人は沢山いらっしゃいますので、お誘いしてみるのもいいかもしれません。きっと皆、お喜びになりますわ」
「ふふ……。殿下に相談してみますわ」
この日もいつものように、当たり障りのない会話をして時間が過ぎていく……
「ねぇ、シールズ公爵夫人はやはり考えは変わらないのかしら?
公爵様とは離縁するつもりはない? 殿下は貴女を待っているようだけど」
やはりその話……
「申し訳ありません。私は夫と一緒にいたいと思っておりますので、離縁はしませんわ」
「そう……、残念だわ。
夫人は、殿下より公爵様を選ぶくらい愛しているのね。公爵様も夫人を大切にされているみたいだし、殿下の入る隙はなさそうね。
仲の良い夫婦で羨ましいわ」
その時にゾッとしてしまった。
王女殿下は笑顔で穏やかに話しているのに、嫌悪感に満ちた目で私を見ていたからだ。
「お、お恥ずかしいですわ……」
「あら、お茶が冷めてしまったようね。淹れなおしてもらいましょうか」
「ありがとうございます」
私がお茶に手をつけていないことに王女殿下は気づいていたようだった。
それから数分後、王女殿下の侍女が新しいお茶を運んでくる。
「そのティーカップは私が国から持って来たのよ。とても気に入っているの」
「アシュベリー国は食器が有名でしたわね。素敵なティーカップですわ」
「ふふっ……。ありがとう」
ティーカップの話題をされたら、一口くらいは飲まないといけないわね……
カップに手を伸ばそうとした時、勢いよくドアが開き、旦那様と近衛騎士が数人が入って来た。
旦那様の横にいるのは近衛騎士団長?
「アリエル、そのお茶を飲むな!」
「え……?」
その瞬間、近衛騎士が王女殿下と侍女を取り押さえていた。
この状態でまたお茶会に誘われたらどうすれば……?
「アリエル、いつもと様子が違うな……
王女殿下のお茶会で何かされたか?」
旦那様は私の様子がおかしいことにすぐに気付いたようだった。
「いえ。何もされていません。
ただ……、王女殿下が私を嫌っていることに気付いてしまいました。
王太子殿下のことがあるので、好かれることはないだろうと思っていましたが、王女殿下は私のことを憎んでいると思います」
「王女殿下に何か言われたのか?
あまりに理不尽なことを言われたならば、いくら王族であっても、筆頭公爵家として苦言を呈することくらいは出来るのだぞ」
旦那様は私のことを心配してくれているようだが、そんなことをして王家と揉めることはしたくない。
「王女殿下に酷い態度を取られたり、侮辱されるようなことを言われたことはありませんわ。
恐らく王女殿下は、王太子殿下から私に近づくように言われて仕方なくお茶会をしているだけなのです。
お茶会では旦那様と離縁するようにさり気なく話をしてくる程度ですから、旦那様から苦言を呈する程のことはありません。
でも王女殿下の私を見る目がヴィーと同じでした……」
ヴィーの名前を出したからなのか、旦那様の表情が一変する。
「もう茶会は行かなくていい。
私から断っておくよ」
旦那様がそう言ってくれたのは嬉しかったが……
「いずれは国母となられる方からのお誘いを断れませんわ」
「私なりにあの王女のことは調べているのだが、情報として入ってくるのは、アシュベリー国にいた時の話ばかりなんだ。
敵国から嫁いで来た側妃の娘だから、国王や王妃、異母兄弟から冷遇されていたようだし、評判が悪かったのは、そういう生い立ちから酷い噂を流されただけなのか、本当に何か問題のあることをしてきたのかが今ひとつ分からないから不気味なんだ。
王宮では誰とも交流することなく部屋に引きこもっているようだし……
アリエルがあの女と王女が同じ目をしていると感じるならば避けた方がいい」
「気をつけるようにしますわ」
とは言ったものの、それから数日後には何事もなかったかのように、また王女殿下からお茶会の招待状が届く。
旦那様は断ると言ってくれたが、来月からしばらく領地に行くことになっているので、今回で最後ということにしてお茶会に行かせてもらうことになった。
「アリエル。来月から領地に行くから、しばらくは茶会には行けないということはすでに私の方から伝えてある。
茶会で何かあったら、すぐに私を呼んでくれ。王宮の執務室にいるようにするから」
「はい。分かりました」
そしてお茶会の日を迎える。
王女殿下はいつものように笑顔で私を迎えてくれた。
しかし何を考えているのか分からないから、どうしても警戒してしまう。
「シールズ公爵夫人はもうすぐ領地に行ってしまうのでしょう?
こうやってお茶を一緒に出来るのは夫人だけだから寂しくなるわね」
「王女殿下にお会い出来なくなるのは私も残念です。
しかし、王女殿下とお茶をご一緒したいと考えている御令嬢や夫人は沢山いらっしゃいますので、お誘いしてみるのもいいかもしれません。きっと皆、お喜びになりますわ」
「ふふ……。殿下に相談してみますわ」
この日もいつものように、当たり障りのない会話をして時間が過ぎていく……
「ねぇ、シールズ公爵夫人はやはり考えは変わらないのかしら?
公爵様とは離縁するつもりはない? 殿下は貴女を待っているようだけど」
やはりその話……
「申し訳ありません。私は夫と一緒にいたいと思っておりますので、離縁はしませんわ」
「そう……、残念だわ。
夫人は、殿下より公爵様を選ぶくらい愛しているのね。公爵様も夫人を大切にされているみたいだし、殿下の入る隙はなさそうね。
仲の良い夫婦で羨ましいわ」
その時にゾッとしてしまった。
王女殿下は笑顔で穏やかに話しているのに、嫌悪感に満ちた目で私を見ていたからだ。
「お、お恥ずかしいですわ……」
「あら、お茶が冷めてしまったようね。淹れなおしてもらいましょうか」
「ありがとうございます」
私がお茶に手をつけていないことに王女殿下は気づいていたようだった。
それから数分後、王女殿下の侍女が新しいお茶を運んでくる。
「そのティーカップは私が国から持って来たのよ。とても気に入っているの」
「アシュベリー国は食器が有名でしたわね。素敵なティーカップですわ」
「ふふっ……。ありがとう」
ティーカップの話題をされたら、一口くらいは飲まないといけないわね……
カップに手を伸ばそうとした時、勢いよくドアが開き、旦那様と近衛騎士が数人が入って来た。
旦那様の横にいるのは近衛騎士団長?
「アリエル、そのお茶を飲むな!」
「え……?」
その瞬間、近衛騎士が王女殿下と侍女を取り押さえていた。
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