勇者パーティー追放された解呪師、お迎えの死神少女とうっかりキスして最強の力に覚醒!? この力で10年前、僕のすべてを奪った犯人へ復讐します。

カズマ・ユキヒロ

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11.策略 【勇者side④】

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 夜。


 ホープタウンの街中を。



「クソッタレがああぁぁ! どうしてこんなことになっちまったんだよおおぉぉ!」



 オレたち勇者パーティーは。


 フードやら何やらで変装し。


 城の兵士たちをまきながら、こそこそとさまよっていた。



「ダイト、どうするんだ! このままでは、この国に兵力は出してもらえない! ハンター・ハルカを探し出すのは、不可能になるぞ!」



 サリィがわめくと。



「だいたいさー、ダイトくんがいけないんだよ?」



 シャル姉がオレに、白い眼を向けてきた。



「あのガキんちょお姫様に、ダイトくんが指なんか突きつけるから! 城の人たちが怒っちゃったんじゃない!」



「オレだけのせいじゃねえだろ! サリィにシャル姉も、乗っかったじゃねえか!」



「わ、私は違う! ああいうことをするのは、よくないと思っていた! ただ、ダイトは勇者で幼なじみだ! だから、意見を支持してやろうと思ったんだ!」



「ま、まあまあ! 落ち着いてくださいよ!」



 ツカサが割って入る。



「それよりも、不思議だと思いませんか? あの解呪師が生きていたこと」



「ああ……まったくだ。オレにも、サッパリわけがわからない」



 ツカサの問いに、オレは首をひねった。



「確かにオレたちは、『封印の塔』でマモルを殺した。そうだよな?」



「間違いない。私のレイピアは、ヤツの太ももを貫通した。あの傷と出血で、動き回れるとは思えない」



「それにシャルちゃん、マヒの呪文をかけてたよ? 傷とか関係なしに、動けなかったんじゃない?」



「アタシの毒魔法も、確かに入りました。人間には、自然解除できないはずです」



 となると。


 責任がありそうなのは……。



「ツカサの呪文選択ミスじゃないか?」



 サリィがツカサをにらんだ。



「毒じゃなくて別の魔法で、一撃で殺せば終わりだった」



「……そういうこと言います?」



 ツカサがサリィをにらみ返す。



「それなら、サリィさんにも責任がありますよね? 太ももなんか狙わないで、心臓を刺せばよかったんです」



「私はただ、みんなの楽しみを残しておこうと思っただけなんだが?」



「へーえ……」



 サリィとツカサが、バチバチと火花を散らす一方で。



「そもそもだけどさー」



 シャル姉がオレに、冷たい視線を向ける。



「用済みになったら殺そうとか、ダイトくんが言い出したのがいけないんじゃないの?」



「んだと!? オレのせいだってのかよ」



「生かしておけば、首輪だって解呪してもらえたじゃん! そしたら今みたいに、ハンター・ハルカなんて探さなくてもよかったじゃん!」



「おいシャル姉! ふざけんじゃねえぞ!」



 オレはブチ切れた。



「今さら何言ってんだ! これまでだって何十回も、協力者は消してきただろうが! シャル姉だってサリィだってツカサだって、喜んで用済みの連中をブチ殺してたじゃねえかよ!」



「今までは今まででしょ! 今回だけは生かしておけば、こんなことにはならなかったじゃん! リーダーの判断ミスだよ!」



「てめっ、この野郎! いいじゃねえかよ! 結果的にマモルは生きてたんだから……って」



 ん?


 お?


 あ!



「くくくくくく……! ハハハハハハハハ!」



 オレは高らかに笑った。



 シャル姉も。


 火花を散らしていたサリィとツカサも。


 きょとんとした顔で、オレを見ている。



「そうだ! そうだよ! マモルは生きてるんだ! それならハンター・ハルカなんて、探す必要はねえ!」



「あ……そうか!」



 サリィの顔にも、希望の光が灯った。



「オレたちがハンター・ハルカを探す理由は、首輪の呪いを解くためだ! つまり! 首輪の呪いを解く方法が別にあるなら、ハンター・ハルカはどうでもいい!」



「なるほどぉ!」



 シャル姉の声が弾んだ。



「今オレたちが探すべき相手は、マモルだ! ヤツを見つけ出して、テキトーにだまして首輪を解呪させる!」



 んでもって!



「その後で口封じのために、あらためてブチ殺す! これぞカンペキな策略だ!」



「ほうほうほう……」



 ツカサが不気味な笑みを浮かべた。



「それから魔王城に乗り込み、今度こそ魔王ジョウカーをブチ殺す! 英雄になったオレは、権力を手に入れてウハウハ!」



 トドメに!



「手にした権力を使い、オレに恥をかかせた『ホープ・キャッスル』の連中を排除する! これにて完全勝利、っていうわけだ!」



「素晴らしい……素晴らしいアイデアだぞ! ダイト!」



 サリィは感動したように、瞳を輝かせながら。



「何といっても私たちは、天下の『勇者パーティー』だからな!」



 うんうんと、何度も何度もうなずく。



「いくら命を狙われたとはいえ、我らが頼みさえすれば! 愚かな解呪師マモルは過去を水に流し! 首輪を解呪するに違いない!」



「そのあとで、もう一回だまし討ちにしちゃおうってわけだね! ダイトくん、悪い子だ~! 乗っちゃう乗っちゃう~!」



 シャル姉も、機嫌はすっかり直ったらしい。


 ひとりで勝手にはしゃぎ回っている。



「いろんな意味で、おもしろいモノが見られそうですね。たまったストレスが、イイ感じに解消できそうです……ふふふふっ♪」



 ツカサは含み笑いをしながら、残虐な表情を浮かべていた。


 どうやら異論はないらしい。



「よーっし! 方針は決まったな! さっそくマモルを探そうぜ!」



「アテはあるのか? 時間をかけすぎると、追手の兵士に見つかってしまう危険があるぞ?」



 サリィに向かい、オレはうなずく。



「この時間なら、そのへんの宿屋に泊まってんじゃねえの? 片っ端から探せば、どっかで見つけられるだろ!」



「え~~~~~~。メンドくさいなぁ。向こうからシャルちゃんの前に、出てきてくれればいいのにねぇ」



 シャル姉がブーたれる。


 思わず。



(メンドくせえのはテメエもだよ!)



 と、心の中でツッコミを入れてしまった。



「まあまあシャルロッテさん、いいじゃないですか! 少しぐらい焦らされた方が、ラストシーンの快楽は大きくなりますよ♪」



 ツカサが暗く笑った。



「いいこと言うじゃねえか、ツカサ! よっしゃ! そろそろ行こうぜ!」



 オレは先頭に立って歩き出した。



「クククク……」



 頭の中には、いくつもの妄想が浮かんでは消えていく。



 マモルに、首輪を解呪させる場面。


 マモルをだまし討ちで、ブチ殺す場面。


 魔王ジョウカーを、ブッ倒す場面。



 最後にオレが、英雄として人々の賞賛を浴びる場面。



「クククククククク……!」



 オレは笑いながら、歩みを進める。



「勇者ダイトの英雄物語。第2幕のスタートは、ここからだぜ……!」
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