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第14章
第5話 兄達の相談事。
しおりを挟む一方のアレクはルースからの手紙をパトリシアから読ませて貰い平静を保ったが心の中では複雑な気持ちだった。
だが手紙を貰ったシアが丸切り同様していなかったのには驚いた。
ましてや直ぐに断ると、言い出す始末だ。
これには少しルースを哀れに思ったのも本当だが。
同じ男として思うに、多分あの手紙は決心して……少し周りくどかったが。
だが、ちゃんとルースは誠意を持ってシアに思いを告げたのだろうとは思う。
にも拘らずシアのあの態度だ……あれは完全に動揺して居る節も見えた。
さて、どうするか…シアはかわいい!がいつまでも子供のままでは無いしな…。
これは兄上にも相談だろうな。
それと……ルースは平民だ先ずこれをどうにかしないとだろうな。
アルクは部屋を出て兄の執務室に赴く。
【トントン】
と部屋の扉をノックすると中から返事が返ってくる。
「誰だ?」
「兄上私です」
「アレクか?入れ」
「失礼兄上、忙しい所悪いね」
「嫌構わんよ?ま、座れよ」
「それでは失礼」
「陛下私は少し外れますね…」
「ああ、ダルト宰相君もここに居てくれ、相談したいことが有って来たんだ」
「そうですか?それでは同席させて頂きますますが…?」
「アレクどうした?相談とは?」
「ええ、兄上……またシア絡みです」
「………またか?」
「またですよ……」
「はぁ~」
と大きな溜め息をついて両手で頭を抱える兄上である。
その気持ちは良く分かるがね。
毎回何かが起きると必ず、その中心にはパトリシアが居るのだから。
兄上も堪らないのだろう。
本来ならば、この苦労は父がする筈なのに。
と思う兄弟である。
「それで、今度はなんだ?魔物でも狩って来たか?」
「いや、違いますよ兄上。先日ルース殿が城に来たのは御存じでしょ?」
「ああ、私は忙しく会えては無いが…それがなんだ?」
「それで、私達と契約した金を納めに来たのと、その……シアにどうやら結婚前提で……」
「はあ?婚約を申込んで来たと?」
「ええ、直接ではなく手紙に託して来ましたよ……フフフ」
「とは言ってもなぁ……平民に嫁がせるわけにも行かないし。ましてや、あれを外に出すことは出来ないだろうし……。で、肝心のパトリシアは?なんと」
「手紙を見て、動揺はしていたものの断ると、言ってましたが……」
「なんだそれなら……?えっ断ると?パトリシアが?」
「ええ、今回はあっさり言い出しましたね」
「はぁ?あの態度でか!まさか自分の気持ちに気付いて無いのか?」
「ええ、そのまさかです」
「………誠にそれは………。だったら、エンバス商会を呼び話しを聞かないとな。パトリシアにもルース殿と話す機会を儲けさせるか?」
「ええ、そうですね。ですがもし、話が進んだらどうするかのですか?まさか平民に嫁がせるわけにも」
「まあ…こちらに入って貰うのは当然なのだが……」
「あの……僭越ながら…陛下?」
「ん、ダルトなんだ?」
「差し出がましいかとは思いますが…宜しければ、ルース殿を私の家に養子に入れますか?」
「ん?ダルトの家にか?」
「だがそれでは、お前の父が納得するか?」
「するもしないも……陛下、そんなものは一時です。誰も反対などしませんよ」
「そうか……ではそれを含めて話を進めるか?アレクはそれで良いか?」
「良いも悪いも……シアも、良い年だし行き遅れたら可愛そうだろ?それに嫁に出す訳では無いしな。婿に入って貰うならシアは側に居るんだ。反対はしないよ。ルースなら、仕事も出来るしな。今までのバカ者達とは大違いだろ?」
王子と言うだけで何も出来ないバカよりは何倍もいい。
「馬鹿ね……まあそうか……なら、一度エンバス商会を呼ばないとな」
「「はぁ~また仕事が増える」」
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