上 下
538 / 574
第14章

第42話 ルースside

しおりを挟む


 一方のルースは、エンバス商会で起こって居るドタバタを知は知ることもなく…。

 パトリシアたちの仕事を手伝う気満々で気合いを入れた。

 それに…自由を手に入れた気がして、気分も晴れ晴れ…これで私も自由ですかね?

 実家では、どんな話し合いがされてるのかは少し興味がありますが。
 でも私には関係ありませんし、金輪際仕事の事以外でエンバス商会と関わりたくはありません。

 思えば、兄があの女と結婚してから私は本当に堪え忍んで来ました。(まぁ、耐えなくても良かったかも知れませんが…)

 ですが唯一、行商で家を開ける期間もあってその間は家に居るよりは、少しだけ気分転換出来る旅でした…。
 それでも油断はできない旅の仕事。
 馬車で小さな村を回らないと為らない旅でしたから…辛い旅です。

 何せ護衛4名と手伝い一人の6人旅…。
 旅先での御者も、自分と手伝いで交代しながらだし立ち寄る村々は、そうひなびてはいませんがそれでも必要な物は私達が行かないと、手に入れられないような物が多い村々を渡ります。
 その道中魔物も出ますし用心しながらの旅。
 それでも、実家から出ていけたので率先して行きましたが……。

 ですが、それももうしなくて良いと思うと心が晴れるって物です。

 若干行く先々の村で、親しく為った方々の事は気になりますがね…。

 父が拗ねて城から出ていき、商会に戻って行くとベルガモット王家、三兄妹殿たちと宰相様の話しを聞くのですが…。
 なんとも私には、別世界の話しが多く…ハッキリ言いますと…訳が分からず頭が回りません。

 例えば……。

「ルース様には、私付きの第二執事を付けますわね。それとメイドなのですが…お兄様何方か良い人を回して下さいな」
「メイドか…考えておくよ」
「お願いしますわね?」

 えっ?私に執事?メイドですか…ですがそんな方たちは私には要らないような気もします。

「ええ、私に執事?メイドですか?ですが…」

 と言い淀めば…反対に言い返されました。

「ですが、ルース様には必要な人事ですわよ?」

 へっ?必要な…それは何故でしょうか?

「そうだな…必要だな。何せ一人だと、城では動けないぞ?執事が側に居ないとな。それに不便だと思うぞ」
「は、はぁ?」

 何ででしょうか?

「そうだな、執事もメイドも居ないと城で移動は無理だしな?下手に慣れない城内を一人で歩くと迷う」
「迷うですか?」
「ええ、迷うわよ」
「はぁ……?」
「城で迷ってるとねぇ……危険ですから。フフフ」
「「フフフ」」

 とパトリシア様たちが笑います。
 何故笑うのかが分かりません。

 と、兎に角何かにつけて私に話す話題がちんぷんかんぷんです。

 これは本当に覚える事が多くて大変そうです。

 それに……父との事も、このままでは駄目な気もしますし、何より兄さんが悲しみますからね。
 そこはちゃんと話をしないと為りませんよね?

 何気に父たちとの話しが一番厄介な気がしますが。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【立場逆転短編集】幸せを手に入れたのは、私の方でした。 

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:6,149pt お気に入り:825

邪魔者というなら私は自由にさせてもらいますね

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:269pt お気に入り:3,663

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:44,957pt お気に入り:35,284

ぶりっ子男好き聖女ヒロインが大嫌いなので悪役令嬢やり遂げます!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:3,408

婚約破棄の翌日に謝罪されるも、再び婚約する気はありません

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,927pt お気に入り:6,430

ちーちゃんのランドセルには白黒のお肉がつまっていた。

ホラー / 完結 24h.ポイント:596pt お気に入り:15

グラティールの公爵令嬢

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:15,443pt お気に入り:3,371

処理中です...